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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第五幕その十一

「オーストリアもね」
「カトリックの国だね」
「あの宗派の人が殆どだね」
「じゃあ女の人はカトリックかな」
「男の人はドイツの人だから」
「プロテスタントかもね」
「その辺り聞こうかな」
 先生は考えるお顔で言いました。
「ここは」
「それがいいね」
「日笠さんに聞いてみよう」
「このこと大事だからね」
「宗派の違いは」
「そうしよう」
 こう言ってでした。
 先生は実際に日笠さんにお二人のそれぞれの宗派を尋ねました、すると次の日日笠さんがおお昼前に研究室に来てお話してくれました。
「今日お聞きしたんですが」
「そうですか」
「お二人共カトリックです」
「そうなのですね」
「実は宗派まではです」 
 日笠さんはしまったというお顔になってお話しました。
「私もです」
「確認されていませんでしたか」
「はい」 
 そうだったというのです。
「これが」
「そうでしたか」
「意識していませんでした」
 日笠さんは正直に告白しました。
「宗派までは」
「ドイツとオーストリアというだけで」
「同じ言語で民族なので」
「意志の疎通が容易だとですね」
「思って」
 そうしてというのです。
「終わっていました、ですが欧州では」
「はい、これがです」
 先生は確かなお顔で答えました。
「かなりです」
「宗派の違いで戦争も起こっていますし」
「ドイツやオーストリアでもですね」
「当時は両国共同じ国で」
「神聖ローマ帝国で」
「それで、でしたね」
「三十年戦争も起こりました」
 この戦争がというのです。
「宗派の違い、皇帝と諸侯それに他国との対立があり」
「とんでもない戦争になりましたね」
「フランスでもありましたし」
 この国でもというのです。
「ユグノー戦争が」
「こちらも大変な戦争でしたね」
「イギリスでも」
 先生は故郷のお話もしました。
「カトリックとプロテスタントの対立で」
「何かとありましたね」
「今も何かとあります」
 イギリスでもというのです。
「まことに」
「欧州は宗派の違いが大きいですね」
「まことに、それでです」
「この度ですね」
「宗派の違いが気になりまして」
 それでというのです。
「お聞きした次第です」
「欧州ではですね」
「何かとです」
「宗派の違いが問題になりますね」
「戦争になるまでに」 
 そこまでにというのです。 
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