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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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いつでも逢いに行く!

(グランバニア王都:中央地区=レジデンス・ルディ)
ヴートSIDE

俺の彼女は兎に角人見知りをしない。馬鹿では無いが良くも無い。
性格も悪くない……だが人によってはソリの合わない者も居るだろう……けど、少なくとも俺の周囲にはキャロ・キャロライン(俺の彼女)と仲が悪い者は存在しない。

だがここまで意気投合する相手は珍しい……と言うか初めてお目に掛かった。
その者の名を“デイジー”と言う。
何者か? 完全なる赤の他人。

仕事絡みの友人(ピパン君)の新しい彼女(デイジーさん)って感じ……
友達との関係性なんて、所詮はその程度だろう……普通に考えて奥深い歴史的な関係性が紡がれる事など殆ど無い。

だが、この二人に関しては過去に何かしらのエピソードがあるのでは無いかと勘ぐってしまう程、初対面からの良好さが不思議になってくる。
勿論だが悪い事では無い!

陛下とアイリーンに、前もって『兎に角()げー人見知りだから、気を悪くしないでくれ』と……だから俺なりに覚悟をして友人の彼女(デイジーさん)との初対面に望んだ。
……が、結果としてキャロ(キャロライン)(俺の彼女)の一人勝ち。

出会って10分くらいで互いが互いを愛称で呼ばせ始める。
俺の彼女(キャロライン)は“キャロ(キャロライン)”と……
友人の新しい彼女(デイジーさん)は“ディちゃん(デイジーちゃん)”と……

そんなワケで、まだ冬も終わりを見せない春先。
デイジーさんの引っ越しを手伝う為に、キャロ(キャロライン)ちゃんが呼び出され俺も召集されております。

初対面の時に全部知らされておりましたが、このピパン君も彼女のデイジーさんも凄い家柄の人物でした。
でも当然ながら彼女(デイジー)さんの身分は秘密。
誘拐の標的にされかねないからね。

そんな大金持ちの引っ越しだ……
さぞかし大量の荷物を運ぶんだろうと思っていたのだが……
向こう(実家)から全て持ってくるのは面倒臭いから、大物(ベッドとかテーブル等)はこっち(グランバニア)で買っちゃおう」

との方針を立てたルディー君。
社長(リュカ陛下)には許可を取ってあるから、と言うワケで(プリ)(ピー)(ハンマー)を今回の引っ越し作業に使用。

提案者であるルディー君を筆頭に、運転要員のキャロ(キャロライン)、今回の主役たるデイジーさんと彼氏のピパン君。
この4人が買い出し班として出立。

今日は忙しくて手伝えないって事で、今朝の早い時間にリュカ様が魔法(ルーラ)でほぼ全ての物をこちら(一人暮らしの引っ越し先)に持ってきてくれてたそうです。
なので実は居残り班は現在やる事が無い状況。

だが我等も暇じゃ無い。
やる事だってテンコ盛りで、今ここに居ないメンバーの面白エピソードや、恋人(キャロ)の普段の発言等で、盛り上がる。

そんなこんなで、お喋りに花を咲かせてると、この部屋の家主と共に大量の引っ越し荷物が到着する。
部屋のベランダから見下ろせば、そこには派手な色の車が停車しており、その荷台等から次から次へと購入した物が出てくるのだ。

それらを男手((ブート)・ルディー君・彼氏(ピパン君))の3人が室内へと運び入れる……
引っ越しだというのに持ってくる物が少なく、現地調達の物が大半を占めるって……
流石は大金持ちの引っ越しはワケが違うね!

しかし聞けば聞く程大金持ちエピソード満載なこのマンション。
もう来月には新学期が始まり、芸高校(芸術高等学校)だけで無く全ての学校が入学式を行うのに、この学生用マンションには今回の引っ越し者である彼女(デイジーさん)だけしか入居してない。

まぁ見るからに高級そうなマンションだから、貧乏な学生が多くて部屋が売れなかったんだろう……と勝手に思っていたが、そう言う事では無く、このマンションの持ち主の入居が最優先されてた為、それまで他の方々の入居が出来ない状態だったと……

そう……その方が、今俺等が荷物を運んでいるデイジーさんなのだがね。
だって彼女(デイジーさん)芸高校(芸術高等学校)に入学するって事で、このマンションは建設されたとの事です。

「やっぱり……今からでも返品して“キングサイズ”にしてもらおうよ」
「じゅ、十分(じゅうぶん)に広いですよ!」
何だろうか? 何やら寝室の方でルディー君とピパン君が言い争って居るぞ。

「いや、だって……君のベッドでもあるんだよ? 君みたいな体育会系はさぁ、ほらぁ~……激しいだろ? 広い方が良いって!」
「な、何を考えて……ってが、貴方の妹との事ですよ!? そ、それに体育会系だからとか偏見だ! 俺はまだ……その……」

ベッドの広さで……って、なんちゅー事で口論してんだ。
「お兄ちゃん、止めてよ恥ずかしい!」
流石の内容にデイジーさんも大声を出す。

「それに来客用の寝具一式は購入したんだし、もし俺が泊まるのならベッドに形を変えられるソファーで寝ますよ。そう言う事で高かったけど、このソファーを買ったんでしょ!」
「そんな建前ぇ……信じるヤツが居ますかねぇ?(笑)」

「建前じゃねーよ! 俺は清く正しい交際を貫いてやる!」
「リュカ様の血筋の人間がぁ? まぁ精々頑張りなさい(笑) これは僕からの選別だ」
ルディー君は(デイジー)とピパン君の交際が嬉しすぎるのか、妙なテンションになっている様子……『選別』と言って大量の避妊具(コ○ドーム)をプレゼントした。

「お・ま・え・ら……口では無くって手を動かせ!」
遂に雷が落ちてきた。
今回の引っ越し作業で一番の権力者……ピパン君の母上で在らせられるドリスさんである。

旦那さんは仕事で忙しいらしく、義理の娘になる予定の彼女(デイジーさん)の引っ越しを手伝いに来た。
「そうだぞ……喋ってばかりじゃ終わらない!」

何故か手伝いをすると名乗り出てくれたアートさんからも、少し厳しめの口調でお叱りを頂く。
「は~い、ごめんなさ~い」
「も、申し訳ございません」

あまり反省の感じないルディー君からの返事と、しっかりと反省はしてるんだろうけど相方(ルディー君)の所為であまり事態は改善されてない様子のこの場所。
「まったく……」


だが事態は一転……


大物家具を運び終わり、それらの中に衣類等をしまうとなると……
「これ可愛い~!」
「あらこれも可愛いんじゃない!?」
「いえいえ、こっちの方が……」

と女性陣から彼女(デイジーさん)の洋服に注目が集まってしまう。
「普段凄いセンスの服を着てるから、そう言う趣味なのかと思ってたわぁ……如何したのこれぇ。凄く良いセンスじゃない!」

「今まで着てたのは全部伯母さんの……デイジーのお母さんのセンスだったんだ。似合っているか如何(どう)かは別にして、デイジーって人間の色を出してたんだよ。でもこれからは、彼氏であるピパン君がデイジーを成長させないとね!」

「ちょっとアンタ……()が思ってたよりも服選びのセンスが良いじゃない。驚いたわよ」
「あ、ありがとうございます……普段の母さんを参考にさせてもらいました」
旨い! これは参考になる一言だな。
俺もこんな台詞をサラッと言える様にならないとなぁ……

「ちょっと……そういう所はリュカに似てこないでよね!」
「リュ、リュカ様に……!? 無理に決まってるじゃないですか!」
陛下の様になるのは間違いなく無理だろうな。

「彼女を自分好みにアレンジ出来る……凄いじゃないか! これで新しい学校でも変な(馬鹿男)が寄ってこない様になるだろう。友達作りに集中出来るな」
ルディー君は少し心配げに妹さん(デイジーさん)を見て溜息を一つ……

「そうですね……1人でも2人でも良いから、クラスメイトで仲良くなれる人が居ると違いますからね」
キャロ(キャロライン)さんは卒業しちゃってますから、芸高校(芸術高等学校)ないでの事は頼れませんしね」

そう……今のプリ・ピー(プリンセス・ピープル)は全員芸高校(芸術高等学校)卒業生。
ルディー君は当然まだ在校生だけど、音楽と芸術で専攻科目が違ってるから、()を頼って芸高校(芸術高等学校)の行事等に参加も出来ない。

(ルディー君)彼氏(ピパン君)の心配をよそに、女性陣はキャピキャピとはしゃぎながら衣類などを収納して行く。
可愛い(彼女等視点)があればその場でファッションショーを開催しながら……
あれで引っ越しが進むんだから凄いよな!

ヴートSIDE END



(グランバニア王都:中央地区=レジデンス・ルディ)
ピパンSIDE

遂にデイジーさんの引っ越しも完了。
引越祝いにと港地区にある超高級レストラン『マーレ・パラシオ』に全員で行く事に。
キャロ(キャロライン)さんが運転する(プリ)(ピー)(ハンマー)とルディーさんが運転する(ミニ)(ハンマー)に分乗してマーレ・パラシオに乗り込む。

だが相手は超高級レストランだ……
いきなり行って大丈夫だろうか心配してたが、流石はルディーさん。
もう既に予約を取り付けており、何の心配も無くその日の引越祝いは終了する。

ルディーさんから『遠慮はするな!』とのお達しだったので、日中の力仕事で消費したエネルギーをフル充填するべく遠慮はしないで超高級レストランを堪能させてもらいました。
今の俺は満足の塊です。

実は今日は金曜日で学校(国営義務教育課程の学校)はあったのだが、休んでデイジーさんの引っ越しの手伝いをしてました。
一応学校には『風邪を引いた』と伝えてありますが、誰も皆それを信じてないでしょう。
でも許されてしまったので今後もよろしくお願いします(笑)

そんなこんなで俺等も各自解散する事に……
現地(マーレ・パラシオ)解散になったので、何も考えずにルディーさんの(ミニ)(ハンマー)に乗り込む。

満腹感で幸せな心地になっていると、デイジーさんのマンションに到着。
彼女を降ろし別れを告げようとしたら……
「馬鹿。初めての一人暮らしなんだから、今日は泊まって行ってやれよ」
と、(ルディーさん)から……

ビックリして母さんの方を見たら、うんうんって感じで頷いて俺がデイジーさんの部屋に泊まる事を容認する。
大丈夫なのか心配はあったが、デイジーさんの顔を見ると期待の眼差しが……
うん。泊まっちゃうよね!

因みに夜遅く……と言うか明け方までお喋りをしてデイジーさんの初めての一人暮らしがスタートしました。
そして初めてのキスも……

うわぁ……恥ずかしい!!

ピパンSIDE END



 
 

 
後書き
2024年8月1日投稿 
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