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第百三十六話 閉会式の前にその十六


「最後は壇ノ浦でね」
「遂に滅亡したわね」
「凄かったのに、平家」
 かな恵は残念そうに述べた。
「本当に」
「まさにこの世は、だったわね」
「そんな風だったのが」
「あっという間にね」
「滅んだわね」
「あれは凄いわ」
 一華は唸る様にして言った。
「福原にも都移したけれどね」
「この学園から近いけれど」
「一ノ谷だってね」
「本当に近くだけれど」
「実は私平家好きだけれど」
「実は私もよ」
 一華はすぐに応えた、見れば他の三人も無言で頷いている。
「清盛さん実際はいい人だったのよね」
「身内にも家臣の人達にも優しくてね」
「身分の低い人達にも寛大で」
「いい人だったのよね」
「そうだっていうし」
 一華はさらに言った。
「見ていて可哀想だしね」
「滅ぶのがね」
「驕るっていうけれど」
 この言葉があるがというのだ。
「けれどね」
「それでもね」
「悪い人かっていうと」
「頼朝さんや義経さん助けてるし」
 ただしそれが後で仇になる。
「よくよく見たら」
「悪い人どころか」
「いい人よね」
「悪いことをしていても」
 それでもというのだ。
「全体的に見るとね」
「頼朝さんよりずっとましよね」
「私頼朝さん嫌いだし」
「私もよ」 
 ここでまた他の三人が無言で頷いた。
「あの人嫌よね」
「義経さん殺したし」
「邪魔者は皆殺し」
「そんな人だからね」
 だからだというのだ。
「どうもね」
「好きになれないわね」
「そうよね」
 どうにもというのだった。
「あの人は」
「本当にね」
「あの人と比べたら」
 一華はそれこそと言った。
「清盛さんの方がね」
「いいわね」
「そして源氏よりもね」
 さらに言うのだった。
「平家の方がね」
「いいわね」
「源氏って頼朝さんが義経さん殺して」
「木曽義仲さんもね」
「範頼さんもみたいだね」
「何か代々ね」
 かな恵も言った。
「殺し合ってるのよね」
「そうそう」 
 まさにとだ、一華はかな恵の言葉に頷いた。これは教科書で読んだ頼朝が義経を殺したことを酷いと思った時に先生に言われたことだ。
「まず身内で殺し合う」
「敵と戦うよりもね」
「そればかりでね」
「遂に誰もいなくなったのよね」
「そうしたお家なのよね」
「平家は殆どね」
 かな恵は対するこの家の話をした。
「身内では争わないのよね」
「保元の乱では違ったけれど」
 清盛は叔父一家と争い処刑している。
「けれどね」
「それ以外だとね」
「これといって争わないで」
 そうであってというのだ。
「いつも結構まとまってたわね」
「壇ノ浦までね」
「そういうの見たら」
「平家の方がいいわね」
「むしろ源氏の方が嫌かも」
「特に頼朝さんね」
「身内で殺し合って」 
 そうしてというのだ。
「家臣の人も何かあると殺す」
「嫌よね」
「清盛さんの方がずっとよくない?」
「そうよね」
 こうした話をしていると閉会式のアナウンスが出た、全ての生徒がグラウンドに向かった。そしてそれに参加するのだった。


第百三十六話   完


                     2024・6・1 
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