金木犀の許嫁
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第二十七話 実家に着いてその十三
「お産だって大変だったしな」
「今は全く違うけれど」
母も言ってきた。
「子供を授かってね」
「それも若しかしたらで」
「出来てもね」
「すくすく育つか」
「そのこともよ」
「わからなかったのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そうしたものだったのよ」
「成程ね」
「今は本当に違うけれど」
「お父さんお母さんが孫を見たいのは」
「早いうちにね」
「そうしたこともあってなの」
「思うのよ」
「そういうことね」
「お産は若い頃にっていうし」
真昼はこう言った。
「だったら」
「二人共若いうちにね、流石に歳を取るとね」
「お産も難しいわね」
「女の人も男の人もね」
両方というのだ。
「お産は若いうちのことよ」
「歳を取ってからは駄目ね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「それはね」
「若いうちで」
「育児もね」
「若いうちね」
「その方がいいのよ」
「じゃあ二十代遅くて三十代」
「その頃までにお願いね」
「わかったわ、ただかなり先ね」
ここまで話を聞いてだ、真昼はあらためて思った。
「二十代三十代って」
「あんた達はそう思うわね」
「違うの?」
「時間はどんどん経つの早くなるから」
上の娘に鮪の握りを食べつつ話した。
「歳を取ると」
「そうなのね」
「今は大人になるのはかなり先と思っていても」
「違うのね」
「真昼であと二年ないうちに成人式でね」
「かなり先ね」
「それが歳取るとその二年もよ」
それだけの歳月もというのだ。
「あっという間になるのよ」
「時間が経つのが早くなって」
「それでね」
「あっという間に」
「二年なんてね」
それこそというのだ。
「そうなるわよ」
「そうなのね」
「歳を取るとね」
母はさらに言った。
「時間が経つのがね」
「速くなるの」
「そうなの」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「二年なんてよ」
「あっという間になるから」
「今は違っても」
「速くなるのね」
「だからお母さんから見たら」
「二年はなの」
「あっという間よ、ただね」
朝華はこうも言った。
「六年七年になるとね」
「私達が結婚して赤ちゃんが出来る」
「それだけの歳月になるとね」
「長いのね」
「二年はあっという間でも」
それでもというのだ。
「やっぱりね」
「七年とかになると」
「長いから」
それでというのだ。
「言ったのよ」
「そうなのね」
「ええ、気長に待つわ」
「お願いね」
「孫が出来ることはね、それでね」
母はさらに言った。
「今日泊まるわね」
「お酒飲んだし」
「そうするわね」
「日帰りのつもりだったけれど」
それでもとだ。夜空は言った。
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