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星河の覇皇

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第八十七部第一章 シャイターンの復活その九

「アッディーン大統領についてはな」
「そうですね、確かに」
「まさか閣下がおられないことを見抜かれるとは」
「守りを固めていて動きがみられやすい攻勢には出なかったというのに」
「それで見抜くとは」
「僅かなものだ、超一流の格闘家は敵の僅かな動きから相手の次の一を読む」
 シャイターンも軍人であり鍛錬は行っている、実はフェシングやボクシングはかなりのもので馬術も巧みだ。ポロを愛している。そのことからも言うのだった。
「それも的確にな」
「それでアッディーン大統領もですか」
「見抜かれて」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「動いたのだ」
 まさに僅かな動きから一瞬の隙に気付いてだ。
「そしてかねてから用意していたな」
「潜水艦を投入した」
「そしてこれまで勝ってきましたか」
「この五日の間で」
「そうしてきたのですね」
「そうだ、これが出来るのは今の人類社会で三人しかいない」
 シャイターンはこうも言った。
「一人は私、もう一人はエウロパのタンホイザーエウロパ元帥だ」
「エウロパきっての戦術的天才というですね」
「今のエウロパ軍宇宙艦隊司令長官ですね」
「あの御仁ですね」
「そして最後の一人はな」
 まさにというのだ。
「そのだ」
「アッディーン大統領ですか」
「その彼ですか」
「そうですか」
「そうだ、彼だ」
 まさにというのだ。
「その彼だからこそ出来た、そしてだ」
「今まで我々は潜水艦を使ったオムダーマン軍に攻められ」
「一方的に破られて」
「ここまで退けられましたか」
「そうなった、潜水艦は第一次世界大戦から本格的に戦争に投入された」
 ドイツ海軍が効果的に使用した、これによりイギリスは多くの輸送船と物資を失い対応に非常に苦慮した。
「その時から発見する難しさが問題だったな」
「左様でしたね」
「そして活躍してきました」
「それは戦史にあります」
「海軍の歴史の一ページでもあります」
「そうなった、速度は遅く防御力は皆無に等しく」
 シャイターンは潜水艦の弱点も指摘した。
「発見しにくいが発見するとな」
「もう撃沈した様なものでしたね」
「海底に潜む潜水艦は」
「左様でしたね」
「だから発見されにくくしている」
 そうした弱点がはっきりしているからというのだ。
「非常にな、だから我々もだ」
「オムダーマン軍の潜水艦を発見出来ず」
「攻撃を受け続けた」
「そうなりましたか」
「思わぬ場所から潜入され」
 発見されにくい彼等にだ。 
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