星河の覇皇
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第八十七部第一章 シャイターンの復活その八
「しかしだ」
「それでもですね」
「逆に言えば閣下でないとおわかりになれない」
「見抜けないものですね」
「そうだ、今の人類社会でどれだけの者が見抜けるか」
オムダーマン軍の攻撃の裏に潜水艦の存在があるとだ。
「一体な」
「それはですね」
「中々容易ではない」
「そうだというのですね」
「これは」
「数人といない」
人類社会でもというのだ。
「間違いなくな、私の隙を伺っていたと言ったが」
「はい、確かに」
「今そう仰いました」
「その様に」
「私は倒れてしまった」
インフルエンザでというのだ。
「そうなったがな」
「そこで、ですか」
「アッディーン大統領は動かれた」
「となると」
「まさかと思いますが」
「そのまさかだ、彼はわかったのだ」
アッディーン、彼はというのだ。
「私が前線からいなくなったことをな」
「我等は布陣はそのままでした」
「閣下の言われた通りにしていました」
「ですが見抜かれたのですか」
「そうだったのですか」
「アッディーン大統領は天才と言っていい」
その軍事的才能はというのだ、シャイターンは真剣な目でにこりともせずそのうえで話をしていった。
「だからだ」
「閣下がおられないことを見抜いたのですか」
「しかし布陣は整えていました」
「それで見抜くなぞ」
「どうして」
「人の動きは采配、それが守りに徹していても出る」
シャイターンは指摘する様に答えた。
「どうしてもな、だから私がいないとな」
「それだけで、ですか」
「布陣している軍勢の動きに出ますか」
「そしてそれがですか」
「アッディーン大統領に見られて」
「そして気付かれて」
「仕掛けられたのだ、潜水艦は私なら見抜けた」
絶対の自信を以ての言葉だった。
「だから今言っているしな」
「オムダーマン軍の動きは伏兵と合わせたものだった」
「同調してのものだった」
「それは閣下ならおわかりであり」
「アッディーン大統領もわかっていて」
「そうだ」
だからだというのだ。
「それでだ」
「潜水艦を投入してですか」
「攻勢を仕掛けてきて」
「そして国境を突破し」
「第二次防衛ラインもそうしましたか」
「そうだった、そして我が軍自体にもな」
ティムール軍の戦力にもというのだ。
「大きな打撃を与えたのだ」
「そうでしたか」
「あの攻撃は何かと思いましたが」
「潜水艦によるものであり」
「我々はそれを受けてですか」
「これまで敗れてきたのですか」
「そうだ、流石と言うしかない」
シャイターンは賞賛の言葉も出した。
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