ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第三幕その五
「その痛覚、それに意識もね」
「なくさないとね」
「手術の間」
「そうしないとね」
「やれるものじゃないからね」
それでというのです。
「どうしてもだよ」
「麻酔が必要だったね」
「なかった頃はお酒とかで工夫して」
「華佗さんも生み出したんだね」
「そうだね」
「そうだよ、ただ華佗さんの麻酔はどんなものかわかっていないけれど」
ここでまたこの人のお話をする先生でした。
「この人は天才だったっていうね」
「そうだよね」
「それもかなりの」
「歴史に残るまでの」
「薬の調合も天才で」
そづであってというのです。
「麻酔の調合もだよ」
「他の人には出来ない」
「そんなものだったんだ」
「レシピがあっても」
「それを書いた本があっても」
「そうだったかもね、超一流の料理人のレシピをね」
お料理に例えて言うのでした。
「果たしてね」
「普通の料理人が作られるか」
「誰でも出来るか」
「それなりの力量がないと無理な場合もあるわね」
「お料理にしても」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「僕もさっき言ったんだ」
「例え華佗さんの書が残っていても」
「そのまま医学の発展に役立てられたか」
「それはわからなかったんだ」
「どうしても」
「そうも思うよ」
先生としてはというのです。
「本当にね」
「つまりオーバーテクノロジーだったんだ」
「華佗さんの医学は」
「当時としては」
「だって千六百年は後になって」
それからというのです。
「麻酔が出て来たんだよ」
「そう思うと凄いね」
「華佗さんの技術は」
「桁が違うね」
「華佗さんはそこまでの天才だったんだ」
「お薬の調合もね」
こちらもというのです。
「何でもそれぞれの素材を目分量で完璧にしたそうだしね」
「そんな人だったんだ」
「本当に天才だったんだ」
「いや、突出した天才だね」
「それはまた」
「皆もそう思うね、そんな人だったから」
それでというのです。
「スポーツで言うと大谷翔平さんみたいなことが他のプロ野球選手に出来るか」
「出来ないよね」
「流石に」
「投打二刀流なんて」
「とてもね」
「世の中ごくごく稀にだよ」
先生は唸る様にして皆に言うのでした。
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