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神々の塔

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第七十三話 狼の遠吠えその六

「もうな」
「絶対にな」
「襲わへんわ」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「滅茶苦茶強くてもな」
「そんなにな」
「恐れることもないわ」
「無闇に攻撃してきいひんからな」
「水の方におってもな」
「そや、海や川におる恐竜もな」
「最近起きた世界では大型の水棲爬虫類やそうやな」 
 恐竜とは呼ばれないのだ、これは骨格を見てのことらしい。学説も時代によって変わっていくものなのだ。
「どうやら」
「恐竜やないねんな」
「そうであってな」
 それでというのだ。
「そこはな」
「変わってるな」
「ああ、しかしな」 
「この世界やと大抵恐竜って言われるな」
「水の中におってもな」
「アーケロンかてな」
 全長四メートルのこの巨大なウミガメもというのだ。
「そうなるわ」
「そやな」
「その恐竜かてな」
「積極的に襲わへんしな」
「ネス湖にもおるけどな」 
 この世界のスコットランドのネス湖である。
「ネッシーって言われてるな」
「あの恐竜もな」
「出て来てもな」
「人襲わへんしな」
「ネス湖にあるもん食って」
「それで生きてるわ」
 そうしているというのだ。
「平和にな」
「モンスターにしてもよ」 
 アレンカールはそう言われる者達のことを話した。
「食べるからね」
「襲ってくるな」
「そうよ、人を積極的に襲うにしても」
「食う、生きる為やな」
「そうであってね」
「殺したいから殺すとかな」
「そんなことはないわよ」
 決してというのだ。
「殺人鬼やないから」
「血に飢えてるわけでもないな」
「血に飢えてるなんてね」
 そうしたことはというと。
「獣やモンスターではないわ」
「狼にしてもな」
「狼が血に飢えてるなんてね」
 そう言われてることはというと。
「今お話してる通りよ」
「誤解や」
「その通りやしね」
「ほんま畑を守ってくれるな」
「そちらから見るとね」
「有り難いわ」
「問題は家畜を襲うことだけれど」
 羊や豚をというのだ。
「こちらはね」
「対策獲れるしな」
「追っ払って近寄らへん様にしたら」
 そうしたらというのだ。
「ほんまね」
「他のもん食うし」
「怖くないわ」
「全くな」
「むしろ人がね」
「ああ、問題やな」
「人は中には殺したいからね」
 この欲求がありというのだ。 
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