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神々の塔

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第七十三話 狼の遠吠えその五

「獣とモンスターの区分は曖昧がな」
「それな、獣は積極的に人を襲わへんで」
 羅も言ってきた。
「モンスターは積極的に襲う」
「そう考える場合もあるな」
「こっちの世界やとな」 
 こう芥川に話した。
「そうやな」
「ああ、僕等は起きた世界にも折る生きものが獣で」
「こっちの世界だけにおるとモンスターや」
「そう考えてるふしもあるけどな」 
 それでもというのだ。
「獣は積極的に人を襲わず」
「モンスターは襲う」
「そう考えてもええな」
「鮫もな」
 羅はこの魚の話もした。
「実は生きてる人はな」
「積極的には襲わへんわ」
「死んでる人から食べる」
「そや、弱ってる人もな」
「そんな襲わへんな」
「死んだ時点でな」
 絶対に抵抗出来ず逃げられなくなった時点でというのだ、事実二次大戦中でも鮫に襲われるのはまず死人からだった。
「襲う」
「それが常やな」
「映画と違ってな」
「鮫も積極的に人を襲わへん」
「船に乗ってるとな」
「まず大丈夫やな」
「ちょっとしたヨットやと」
 こうしたものに乗っていると、というのだ。
「もう絶対や」
「襲ってきいへん」
「そうやな」
「映画とはちゃう」
 羅は断言した。
「鮫もな」
「この塔でもわかるな」
「確かに何でも食う」
「それこそ動くもんはな」
「しかし人を常に襲うか」
「そうでもないな」
「他に獲物があったら」
 その時はというと。
「死んでるのとか普通の大きさの魚をや」
「襲うな」
「まして自分より大きなヨットなんてな」
「ああ、鮫は自分より大きな生きものは襲わへん」
 芥川はこのことを指摘した。
「そう見えるならな」
「それだけでやな」
「襲わへんわ」 
 絶対にとだ、芥川は言い切った。
「そうした習性や」
「そや、案外鮫もな」
「凶悪やないわ」
「決してな」
「恐竜かてそやしな」
 施はこちらの生きもの達の話をした。
「この世界恐竜も普通におるけどな」
「限られた地域だけにしてもな」
「そやけどな」
 それでもというのだ。
「その恐竜もな」
「決して狂暴やない」
「無闇に襲って来んわ」
「満腹やとな」
 それならというのだ。 
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