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英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~

作者:sorano
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第40話

10月5日――――――



~シーリーン砂漠~



「…………ん…………」

「あら、起きたかしら?」

翌朝、アニエスが目覚めると車を運転しているマルティーナがアニエスに声をかけた。

「あ…………マルティーナさん…………おはようご――――――」

マルティーナに返事をしようとしたアニエスだったが周りの景色――――――砂漠を目にするとマルティーナへの返事を忘れて周囲の景色を興味ありげな様子で見つめた。

「シーリーン砂漠…………教科書で読んだ…………」

「んん…………」

「…………へっ、悪くねぇな。」

アニエスが砂漠を見つめて呆けた様子で呟くとちょうどフェリとアーロンも起き始めた。

「ちょうど砂漠に入った所よ。――――――ああ、ヴァンさんは起こさないでね。1時間前に代わって仮眠を取り始めた所だから。」

「あ…………はい。」

「目的地まで後1時間くらいか…………運転代わるぜ、姉貴。」

マルティーナの言葉を聞いたアニエスはフェリの横で腕を組んで眠っているヴァンに気づくと頷き、車に備え付けているカーナビゲーションに記されている目的地までの時間を確認したアーロンはマルティーナに運転の交代を申し出た。そしてマルティーナはアーロンの身体に戻り、アーロンが車の運転を始めた。



「車が多いですね。」

「ええ、みんな映画祭に向かっているんでしょう。」

「ハン…………そいつも寝てるし折角だから最高速を試してみるかよ?」

少しの間運転するとサルバッドに向かい続けている車の数が多くなり、それを目にしたフェリの言葉にアニエスが自身の推測で答え、アーロンは口元に笑みを浮かべて冗談半分の提案をした。

「もう…………安全運転でお願いします。」

「地図によると…………あと1時間くらいですね。」

アーロンの提案に対してアニエスは若干呆れた様子で指摘し、フェリはカーナビゲーションを確認した。そしてしばらく運転するとサルバッドが見え始めた。

「あ、見えてきましたっ。」

「へえ、思ってたよりもデカそうじゃねぇか。」

「はい、オアシス湖を臨む伝統と革新の遊興都市――――――あれが、サルバッドですか。」

その後ヴァン達はサルバッドに到着した。



8:02――――――



~遊興都市サルバッド~



「わぁ、街の中に滝が…………!?」

「えへへ、驚きますよね。オアシス湖から汲み上げてるそうです。」

都市に入った途端に目にした人工の滝を目にして目を丸くして声を上げたアニエスにフェリは無邪気な笑みを浮かべて説明した。

「観光客も多そうだな…………で、どこに停めちゃいいんだ?」

「ふわ~あ…………右手にデカい駐車場がある、押さえてるからそっちに回せ。」

「おう。」

車の駐車場所についてアーロンが口にすると目覚めたヴァンがアーロンに指示をし、ヴァンの指示通りの場所でアーロンは車を駐車し、ヴァン達はそれぞれ車から降りた。



「ん~~~~~、ようやく着いたか。」

「二時間くらいしか休んでませんが大丈夫ですか?」

車から降りて身体を伸ばしているヴァンにアニエスは自分達と違って僅かな睡眠時間しか取れていないヴァンを心配してヴァンに確認した。

「あー、大丈夫だ、慣れてるしな。しかしまだ朝方だっつうのに暑ィな…………さすが砂漠地帯だぜ。」

「昼にかけてもっと暑くなるかと。逆に夜は寒いくらいですけど。」

「依頼人との待ち合わせは正午だったか。それまでカジノあたりで涼むかよ?」

「行くわけねーだろ…………まずは宿にチェックインだ。荷物を置いたら午前中は”肩慣らし”に当てるぞ。」

笑顔である提案をしたアーロンに呆れた表情で指摘したヴァンは今後の行動方針について答えた。

「予約してもらったのは”伝統地区”の宿でしたよね?」

「ああ、ここからだと…………」

「あちらの方向がそうですね!」

「うし、そんじゃ行くか!」

その後宿にチェックインしたヴァン達は4spgを確認した後都市内を見て回っていた。



「綺麗ですね…………」

「ここに来るとサルバッドに来た、って感じがします。」

「ああ、他じゃ見れない光景だろう。そんで、あれが待ち合わせの六つ星ホテルだな。」

オアシスを間近で見てそれぞれ感想を口にしたアニエスとフェリの言葉に同意したヴァンはオアシスの中心に建っている高層ホテルを見上げた。

「”アルジュメイラホテル”…………遠くからも見てきましたけど、やっぱり大きいですね。」

「ハッ、煌都にも九龍ホテルがあるが、ミラのかけ方はケタ違いっぽいな。」

「前の時に展望ラウンジを覗きましたけど豪華すぎてびっくりしたくらいです。ちなみに夜景も、ラングポートとはまた違った感じで凄く良いんですよっ。」

「ほう…………そういわれると気になんな。」

「ふふ、ぜひとも見てみたいですね。」

「やれやれ、仕事だってのはくれぐれも忘れてくれるなよ?」

フェリの話を聞いてそれぞれ興味ありげな様子を見せているアーロンとアニエスにヴァンが苦笑しながら指摘したその時音楽が聞こえ、音楽を聞いて振り向いたヴァン達が視線を向けると集まった観客達の目の前で褐色の姉妹が演奏と踊りをしていた。

「あ、もしかしてフェリちゃんが見たっていう…………」

「はい、別の人だと思いますけど…………行ってみましょうっ。」

褐色の姉妹の踊りと演奏に興味を抱いたヴァン達は姉妹に近づいて姉妹の踊りと演奏を見始めた。

(へえ…………?)

(前に見たのよりもずっと…………)

(惹きこまれちゃいますね…………)

褐色の娘の踊りの動きを目にしたアーロンは感心し、フェリとアニエスは惹きこまれていた。その後褐色の姉妹が交替で踊りと演奏を終えると観客達は大喝采を上げた。



「ヒューッ、いいぞー!!」

「素敵だったわ…………!」

(はぁ、夢の中にいたみたいな………)

(完全にあの子たちの世界に入り込んじまってえたな。)

(中東の舞踊か…………小娘どもの癖に魅せやがるな。)

観客達が歓声を上げている中アニエスとヴァン、アーロンは観客達やフェリのようにそれぞれ拍手をしながら姉妹の踊りと演奏についての感想を口にした。

「―――いや~、大したモンだねぇ。」

「え……」

その時気取った声が姉妹に声をかけ、その様子にフェリが呆けている中裕福そうな観光客の何人かが姉妹に近づいて姉妹のおひねり入れにミラの万札を置いた。

「え、えっと…………?」

「わっ、こんなにいいのー!?」

おひねりに万札を置かれた褐色の娘が戸惑っている中、褐色の少女は無邪気な笑みを浮かべた。



「いいっていいって。ボクら君たちを気に入っちゃってさー。」

「ちょっと付き合ってもらうぜ。歓楽街にいい部屋とってるからよ。」

「へっ………ちょ、なに言ってんのさー!?」

「…………あの、今は興行中ですので………」

傲慢そうな観客の命令に褐色の少女は呆けた後真剣な表情で反論し、褐色の娘は遠慮気味な様子で命令を断ろうとした。

「あれ、まだミラが足りないって?」

「わかったわかった、いいからとにかく一緒に来いよ。」

しかし観光客達は娘の言葉を軽く流してそれぞれ褐色の姉妹の腕を強く掴んで無理矢理連れて行こうとした。



「いたっ………は、放してよー!」

「っ…………シャヒーナ!」

「おい、なんだよお前ら!?」

「ふざけんなコラー!!」

「その汚い手を放しやが――――――」

姉妹達を無理矢理連れていこうとする傲慢な観光客達を目にした住民達が怒りの表情を浮かべて観光客達に声を上げたその時観光客達のボディーガードらしき黒服の男達が住民たちの前を阻んだ。

「ひっ………!?」

男達に威圧された住民は悲鳴を上げ

「へぇ、現地民ごときがボクたちにそんなこと言ってもいいのかな~?」

「ハッ、とっとと散りやが――――――」

その様子を目にした裕福そうな観光客は勝ち誇った笑みを浮かべ、傲慢そうな観光客が鼻を鳴らして住民たちに散るように指示をしかけたその時

「い・い・加・減・に・し・て・下・さ・い」

怒りの声を上げたフェリが二人の姉妹の手を掴んでいる観光客達の手を捻り上げた。



「ぎぃっ!?」

「あだだだだっ…………!」

フェリに腕を捻り上げられた観光客達は悲鳴を上げ

「大丈夫ですか…………!」

アニエスは姉妹に駆け寄って姉妹に声をかけた。

「え、ええ…………」

「もう、なんなのー!?」

「な、なんだこのガキども…………!おい何してる、コイツらを――――――!?」

フェリに腕を捻り上げられ続けている傲慢そうな観光客が黒服に指示をしようとしたが、ある光景――――――ヴァンとアーロンによってそれぞれ動けなくなった黒服たちを目にすると絶句した。

「…………ぐ、かっ…………!」

「う、動けない…………!?」

「フン、猟兵崩れってとこか?」

「大変だなァ、アホに雇われると。」

それぞれ呻き声を上げている黒服達の正体をヴァンは分析し、アーロンは苦笑しながら黒服達に憐みの言葉をかけた。



「な、な、な…………!」

自慢のボディーガード達がなすすべもなくヴァンとアーロンによって無力化されている様子に裕福そうな観光客は口をパクパクさせた。

「―――――で、どうするんだ?随分いい部屋を取ってるみたいだが。」

「そこで映画祭までの3日間、ベッドで寝たきりになるかよ…………?」

「―――――何かありましたか!?」

「ッ…………」

ヴァンとアーロンの言葉に傲慢そうな観光客が息をのんだその時遊撃士達がその場に駆け付けた。

「ゆ、遊撃士まで…………!?」

「クソ…………!せ、せっかくこんな貧乏くさい場所に来てやったのに!てめぇら、次会ったらただじゃおかねぇからな!」

遊撃士達の登場に形勢の不利を悟った観光客達は捨て台詞を吐いて黒服達と共に走り去った。



「ハン、こっちの台詞だろうが。」

「すげーな、兄ちゃんたち!」

「スカっとしたぜ、やるじゃねえか!」

捨て台詞を吐いた観光客達に対してアーロンが鼻を鳴らして不敵な笑みを浮かべると住民達がヴァン達を称え

「ふう…………すみません、目立っちゃいましたね。」

「ふふ、結果オーライですよ。」

「やれやれ…………お前さんたち、怪我はねぇか?」

自分達が目立ってしまったことに溜息を吐いたフェリの言葉にアニエスは苦笑しながら答え、ヴァンは溜息を吐いた後姉妹に声をかけた。

「う、うん…………!」

「助かりました…………!」

「…………大丈夫そうだな。」

「ふむ、しかし彼らはジン殿から聞いた…………」

その後、観客達は姉妹におひねりを渡して解散し…………遊撃士達も巡回に戻っていった。



「ほれ、お兄さんのオゴりだ。」

姉妹に詳しい話を聞くために姉妹とお茶をすることにしたヴァンは姉妹が座っている席にそれぞれ購入した飲み物を置いた。

「わーっ、いいの!?」

「助けていただいたのは私達の方なのに…………」

「いいモン見せてもらったからな、おひねり代わりと思ってくれ。」

「フッフーン、やっぱりそう思う?すごかったでしょ、サァラ姉の踊りは!」

「もう、シャヒーナったら…………」

ヴァンの言葉に自慢げに胸を張って答えた少女の様子に娘は困った表情を浮かべた。

「ふふ、とにかくお怪我がなくてよかったです。」

「すみません、あんな風に乱入してしまって…………えと…………」

「ふふっ、自己紹介がまだでしたね。私はサァラ――――――妹と一緒に踊り子をしています。」

「シャヒーナだよ、よろしくね!で、オジサンたちはなんなの?遊撃士じゃなさそうだけど。」

娘――――――サァラと共に自己紹介をした少女――――――シャヒーナは興味ありげな様子でヴァン達に訊ねた。



「オッ…………」」

「シャヒーナ、失礼でしょうっ。」

「え、なにが?」

シャヒーナの言葉を聞いてヴァンが絶句している中サァラはシャヒーナを注意したが、注意された本人は注意された意味がわかっていない様子だった。

「ぶはははははっ!!俺以外からも言われちまったなァ?」

「笑うんじゃねえっ!ったく、俺達は――――――」

一方アーロンは声を上げて笑い、アーロンに指摘したヴァンは仲間たちと共に自己紹介をした。



「”解決屋”…………北カルバード州の旧首都にはそんなお仕事もあるんですね。(それにもしかして昨日から噂が流れている…………)」

「へー、なんかカッコいいね!?えっと、お兄さんには合ってそう!」

「…………気を使わなくていいぞ。」

ヴァン達の事を知ったサァラが心当たりを思い出している中、自分への呼び方を言い直したシャヒーナにヴァンはジト目で指摘した。

「ククク…………しかしさっきは丸く収まったが。ああいう馬鹿どもが()くのは割と日常茶飯事なのか?」

「いえ…………いつもならマナーを守って観て下さる観光客が殆どですけど。ああいいったトラブルはここ数日、各方面で増えてきていまして。」

「それってやっぱり…………」

「映画祭の影響なんでしょうね。駐車場の車だけを見ても、国内外から沢山の人が集まってるみたいですし。」

「投資や新興ビジネスで当てたようなイキった連中なんかも多いってところか。…………”色々起きてる”のも納得だな。」

アーロンの疑問に答えたサァラの説明を聞いたフェリは真剣な表情を浮かべ、アニエスは複雑そうな表情で推測し、真剣な表情でアニエスの推測を補足したヴァンはニナからの依頼内容について思い返した。



「えっと…………?」

一方事情がわからないサァラは不思議そうな表情でヴァンを見つめ

「いや、こっちの話さ。」

サァラに見つめられたヴァンは話を誤魔化した。

「ねーねー、それにしてもさっきのみんなの動き、凄かったね!フェリは動きが全然見えなかったし、お兄さんたちも機敏に動いてて…………!そうだ、もしよかったら滞在中に踊りを覚える気はない?フェリはあたしが、アニエスさんはサァラ姉が教えるし!」

「ちょ、ちょっとシャヒーナ…………?」

「あの伝統舞踊ですか…………ちょっと興味がありますねっ。」

「ふふ、本当に綺麗で凄かったですし…………あれはどういった踊りなんですか?」

シャヒーナの提案にサァラが困惑している中フェリは興味ありげな様子を見せ、アニエスは踊りについて尋ねた。

「その、うちは代々踊り子の家計でして、母から教わったものなんです。伝統を残していくという意味でも教えること自体は問題ないんですが…………そうですね、折角のご縁ですし簡単なものでしたらお教えしましょうか?」

「わぁ…………仕事の方が片付いてきたらぜひっ。」

「ふふ、それじゃあ私も…………ついていけるかわかりませんけど。」

「ふむ…………剣舞にも応用できそうだし俺も習ってみんのもアリかもな。」

サァラの申し出にフェリとアニエスがそれぞれ興味ありげな様子で頷いている中アーロンは考え込みながら自分も便乗することを前向きに考えていた。



「ええっ、そんなのやってるの?あ、でもお兄さんなら確かにこの衣装も着こなせちゃうかも!」

アーロンが剣舞をやっていることに目を丸くしたシャヒーナはある推測をした。

「ハン…………?ああ、そんくらい余裕だろ♪」

(まあ、煌都でも女形をしての踊りの経験があるアーロンなら、女装しても違和感ないでしょうね…………)

(フフ、衣装も大胆だから観客達は普段以上に魅せられるのじゃないかしら♪)

(そ、そういえばその衣装を…………ど、どうしましょうっ…………?)

「えへへ、楽しみですねっ。」

シャヒーナの推測を聞いて女装する事を悟ったアーロンは口元に笑みを浮かべ、その様子を見守っていたマルティーナは苦笑し、ユエファはからかいの表情で呟き、姉妹の踊り子としての衣装の大胆さを改めて確認したアニエスが頬を赤らめている中、フェリは無邪気な笑みを浮かべた。



「…………やれやれ、マジで仕事を忘れちまいそうな勢いだな。」

仲間たちの様子をヴァンが苦笑しながら見守っているとザイファに通信の音がし、ザイファを取り出して通信を開始するとニナが端末に映った。

「お疲れ様です、アークライドさん。サルバッドにはもう到着されたみたいですね?」

「アンタか。ああ、今朝方滞りなくな。」

「ふふ、長旅お疲れ様でした。少し早いんですが、私達も先ほど定期飛行船で現地入りしまして。」

「そうか、ようやく依頼の話ができそうだな。すぐに向かった方がいいか?」

「いえ、急がなくても正午までならいつでも大丈夫です。こちらも荷物の整理などを――――――」

「…………ねぇニナ、あたしの衣装ケースの鍵とか知らないかな?」

(ん…………?)

ヴァンがニナと通信をしていると通信先で別の女性の声が聞こえ、声に聞き覚えがあるヴァンは眉を顰めた。

「もう、知るわけないでしょう?――――――すみません、それではホテルでお待ちしていますね。」

「ああ、またな。」

「あ、ニナさんからですか?」

ヴァンがニナとの通信を終えるとアニエスがヴァンに通信相手を確認した。



「ああ、現地入りしたらしい。折を見てアルジュメイラホテルに行くか。(しかしさっきの声…………)」

「って待って、ニナって…………もしかしてニナ・フェンリィのこと?まさか知り合いなの、お兄さんたち!?」

ヴァンが通信先から聞こえてきた別の女性の声について考えている中シャヒーナは興味津々の様子でヴァン達にニナとの関係を尋ねた。

「えっと…………」

「ふふ、すみません。妹は導力映画の大ファンなんです。歓楽街のスクリーンでたまに無料公開していることもあって…………今回の映画祭の話が決まってからずっと楽しみにしてたみたいで。」

フェリが答えを濁している中サァラは苦笑しながらシャヒーナがニナに興味津々な様子を見せたことについて説明した。

「そんなの当然だよ~!ニナだけじゃなくて沢山の女優さんや監督さんたちも来るんだよっ!?え、もしかしてこれからニナに会うの?いいないいな、羨まし~いっ!!」

「あはは………………もし頼めそうだったらサインをもらってきましょうか?」

ニナと会うことを羨ましがっている様子のシャヒーナを見て苦笑したアニエスはある申し出をした。



「ホント!?」

「まあ、それくらいは快くOKしてくれそうだな。」

「やった~!!お兄さんたち大好き!もう絶対オジさんなんて言わないからね!」

「だから気を使わなくていいっ!」

「ククク…………もう諦めろや。」

無邪気に喜びながら自分に対して気を使っているシャヒーナにヴァンは声を上げて指摘し、その様子を見たアーロンは口元に笑みを浮かべながらヴァンに指摘した。

「すみません…………お願いできれば。それと本当にお世話になってしまって。」

「ま、俺達もこれから2,3日は滞在することになる。もしまた何かあったら連絡してきな。”特別料金”で対応させてもらうぜ。」

「…………!はい、ありがとうございます!」

その後、再び興行を始める姉妹たちと別れ、折を見て歓楽街の方へ向かうことにした―――――― 
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