星河の覇皇
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第八十六部第五章 傍目に見つつその三十三
「それでもだ」
「やはりですね」
「それなりの覚悟があって募集に応じて来ます」
「また赴任前に研修も受けます」
「だからですね」
「マナーも弁えていて」
サハラのそれに相応しいだ。
「そしてマウリアについての知識もあり」
「それに学んでもいますし」
「交渉能力もありそうですね」
「母国にしっかりと情報を送っています」
「そのうえで我々を支持してくれていますね」
「よく連合がマウリアに送る大使はただの情報伝達係でだ」
それに過ぎずというのだ。
「座っているだけとも言われるが」
「それだけでもですね」
「それなりの資質が必要ですね」
「現実として」
「傀儡は無能では務まらない」
ジャバルはここでこの言葉を出した。
「少なくとも禁治産者ではな」
「左様ですね」
「白痴では出来るものではありません」
「何をするかわからない者では」
「そして責任を把握しない者では」
「座っていることも出来ない」
何をするかわからずそして責任も自覚しないではだ。
「到底な」
「だから大使もですね」
「それなりの人物を送っていますね」
「連合各国も」
「そうしていますね」
「そうだ、そもそも志願する時点でだ」
マウリアの大使にだ。
「その条件を見ている、大使に採用されるな」
「そして募集に応じ」
「面接等でどういった仕事かを聞く」
「そこで頷いてですね」
「それで来ていますから」
「やはりそれなりの資質を持っている者が来ている」
マウリアにというのだ。
「そうなっている、そしてな」
「そして?」
「そしてといいますと」
「まだありますか」
「このマウリアにはエウロパもいる」
連合の宿敵であるこの国の者達もというのだ。
「マウリアは連合とエウロパが接する唯一の場所だ」
「そうですね、それではですね」
「ここは連合にとって最前線ですね」
「工作も行われています」
「そうした場所でもあります」
「大使館の中にはそうは入って来ないが」
それぞれの国の工作員達もだ、ただし潜入して盗聴の細工をすることはよくあることであり連合もエウロパも行っている。
「しかしな」
「それでもですね」
「何があるかわからないですね」
「マウリアにおいては」
「彼等の敵もいますので」
「だからこそ」
「大抵は中央政府がエウロパへの対策を行っているが」
連合を代表する政府である彼等がというのだ。
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