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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその十

「連合中央政府国防長官であるな」
「あの御仁確かにです」
「恐ろしい政治力の持ち主です」
「辣腕を振るっています」
「知力もかなりですし」
「そしてティムールのシャイターン主席だ」
 次は彼の名を挙げた。
「謀略も得意だしな」
「左様ですね」
「副主席も実は使われますが」
「謀略も副主席に匹敵する」
「そうした方ですね」
「まさにな、そして最後の一人は」
 その彼はというと。
「アッディーン大統領だ」
「オムダーマン大統領である」
「あの御仁となりますね」
「今勝っていますが」
「あの方になりますね」
「そうだ、彼はだ」
 アッディーンはというのだ。
「軍人としての資質が凄いというが」
「今は政治家としてですね」
「その視点で語られていますね」
「そうだ、私にもだ」
 政治家としてのアッディーンはというのです。
「匹敵する」
「そうした御仁であり」
「若しサハラの皇帝となれば」
「その時は」
「私に対するだろう、だがマウリアで私に対することが出来る人物はだ」
 それはというと。
「いない」
「左様ですね」
「それこそ一人も」
「今のマウリアにスッラはいないですね」
「そうだ、スッラはカエサルを脅かした」
 カエサルが活躍する頃にはもう世を去っていた、だがその巨大な資質で以てカエサルの前に死後も立ちはだかっていたのだ。
「長い間な」
「スッラもまた英雄でした」
「カエサルとは敵対する立場でしたが」
「そのスッラの影響にどう勝つか」
「カエサルは苦労してきました」
「私はスッラにもカエサルにも勝てるが」
 政治力と統率力そして知力でだ、ジャバルはそうした能力においては絶対の自信がある。そしてもっと言えば軍事的才能にも問題はないと自分では確信している。
「しかしその彼等もだ」
「今のマウリアにはいない」
「他の国にいますね」
「彼等に匹敵する人物は」
「左様ですね」
「そうだ、私にとっては不幸だ」
 ジャバルは不敵な笑みでこうも言った。
「正面から向かい打倒すべき相手がいないのだからな」
「このマウリアには」
「これでは副主席の革命は容易に成功する」
「だからですね」
「張り合いがないですね」
「実にな、だが障害を求めることもだ」
 それもというのだ。
「思えば愚かなことだ、ことが容易に済めばな」
「それに越したことはないですね」
「他のことを進められますね」
「左様ですね」
「そうだ、私は一つの目的を達成して満足はしない」
 それでというのだ。 
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