夢幻水滸伝
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第三百五十一話 ソーサラーとしてその三
「レモンティーです」
「やっぱりアメリカだと紅茶はね」
「レモンティーですね」
「そっちよ、ほな今度は」
「レモンティーですね」
「そちらをいただくわ」
マスターに笑顔で応えた、そうしてだった。
レモンティーを飲みつつだ、彼は言った。
「ではこれからね」
「旗揚げですか」
「そうさせてもらうわ」
市庁舎の市長室で向かい合ってソファーに座る三十代後半の猫人の男の市長に微笑んでお茶を飲みながら答えた。
「これからね」
「そうですか、では」
「早速ね」
「このヒューストンからですね」
「テキサス州統一の為に動くわ」
「そうされますね」
「そしてね」
デリーロはさらに話した。
「あたしはこれからね」
「これからといいますと」
「実はお家がないから」
「そうなのですか」
「今日この世界に来たばかりよ」
市長に軽く笑って話した。
「そやからね。手持ちのお金は結構あるけれど」
「お家はですか」
「あらへんのよ」
「だからですね」
「これからお家探すわ」
「あの、お家でしたら」
市長はデリーロにそれならと話した。
「この市庁舎の近くに空き家が一軒ありますが」
「そうなの」
「はい、実はこの街の宝石商の人が住んでいたのですが」
「その人はどうなったの?」
「よりよいお家を建てて」
そうしてというのだ。
「そちらに一週間前に引っ越して」
「そのままなの」
「家具をそのままにしまして」
「あら、家具もあるの」
「新居に新しい家具を入れて」
購入したそれをというのだ。
「暮らしています」
「そうなのね」
「それで、です」
「その空いたお家になの」
「入られては」
「そうね、何はともあれお家がないとね」
デリーロは考える顔で答えた。
「どうにもならへんから」
「左様ですね」
「腰を据えて何かをするにはね」
それならというのだ。
「ほんまにね」
「お家が必要ですね」
「ええ、ほなね」
「そのお家にですか」
「今から行って」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「入られますか」
「よかったら、そしてね」
「旗揚げもですね」
「そうするわ」
こう言うのだった。
「これからね」
「では宜しくお願いします」
「それではね」
こうした話をしてだった。
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