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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~

作者:黒井福
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XV編
  第204話:歌を守る戦い

 事は、凱旋コンサートが始まる前まで遡る。

 輝彦から借りたビジョンの魔法でコンサートが襲撃される事を事前に知った颯人は、これを阻止するべく出来る手を全て駆使した。
 その一つが、サンジェルマン率いる錬金術師協会への協力要請であった。

「つまり、件の会場周辺に結界を張ればいいのね?」
「出来れば干渉してきた場所が分かるようにしてくれると尚ありがたい。アルカノイズが送り込めなかったとなれば、連中の事だから直接襲撃してくる。その前にこっちから仕掛けて釘付けにしたい」

 コンサートが始まる前、会場上空にはパッと見ではわからないレベルで結界が張られていた。会場の設備などに紛れ込ませる形で、まるで野球ドームの天井の様に転送術式を妨害する結界を用意していたのだ。未来視により敵が会場上空からアルカノイズをバラ撒いてくる事は分かっていたので、対策自体は酷く単純であった。
 問題は錬金術師協会がその作業を請け負ってくれるかにあったが、サンジェルマンはこれを二つ返事で了承してくれた。

「分かったわ。結界と逆探知に関してはこちらに任せて」
「ありがとさん。ふむ……」
「? 何かしら?」

 快く引き受けてくれた事に感謝した颯人だったが、直後に何やら思案する様子を見せる。彼の視線とその様子に今度はサンジェルマンの方が首を傾げると、颯人は軽く両手を上げて口を開いた。

「あ、いや……思ってたよりもすんなり話が通ったなって思ってね」

 錬金術師協会と連携しているのは、厳密に言えばS.O.N.G.であって輝彦ではない。輝彦はサンジェルマンと旧知の仲ではあるが、コネだけで動くには今回の案件は大きい事のように思えたのだ。何しろ錬金術師協会側には何のメリットもない。
 そう颯人が告げると、サンジェルマンは合点が入ったと言う様に頷き、肩の力を抜きながら小さく笑ってその理由を告げた。

「そんな大した理由は無いわ。ただ、私の贖罪はまだ終わっていない。……それだけよ」
「いや……」
「え?」

 サンジェルマンが口にした言葉に、颯人は否と答えた。その言葉にサンジェルマンが思わず顔を上げると、そこには口角を片方上げて大人と少年の笑みが混じった笑顔を向ける颯人の顔があった。彼は穏やかに笑いながら、片手をサンジェルマンに差し出した。

「大した事ない、何て事は無い。十分すぎる理由だと思う。ありがとう、手を貸してくれて」
「……ふふっ、こちらこそ」

 差し出された手を、穏やかに笑いながら取るサンジェルマン。2人が握手を交わす姿を、局長補佐の席に座るカリオストロとプレラーティが複雑そうに見ていた。




 そしてコンサート当日、純粋に奏の歌を楽しんでいた颯人だったが途中で何処からか飛んできた輝彦の白いガルーダが近付いてきた事で遂にその時が来た事を察した。

――お楽しみは、ここまでか――

 出来れば最後まで奏達の歌を楽しみたかったが、どうもそうはいかないらしい。とは言え、だからと言って放置すればそれこそ目も当てられない事になるのは間違いない為、彼は近くに居るガルドと透の肩を軽く叩いてその場から連れ出した。

「あれ? 颯人さんどこ行くんです?」
「おいペテン師ッ! 透を何処へ連れていく気だよッ!」
「どうしたハヤト?」

 突然席を立った颯人に対し、響やクリスは勿論連れ出される本人達までもが何事かと目を丸くする。あれ程奏のコンサートを楽しみにしていた颯人が、何の理由もなしに動き出すとは思えない。
 仲間達からの問い掛けに対し、颯人はチラリと奏の方を見てから答えた。

「な~に、ちょっと連れションにな。すぐ戻るよ」

 それだけ言うと颯人は有無を言わさずガルドと透を引き連れてその場を離れた。

 その姿をステージの上から奏が目で追っている事にも気付かずに…………

「――それで? いきなりここまで連れてきてどうしたんだ?」
「何かあったんですか?」

 颯人が2人を連れて行ったのは、観客席から離れた会場内の人気のない一画だった。コンサートに夢中な観客は勿論、スタッフすらも滅多に立ち寄らないだろう場所で颯人は2人を前に現在の状況を告げた。

「単刀直入に言う。このコンサートをジェネシスと結託した錬金術師が襲撃しようとしてる」
「何ッ!?」
「目的は?」
「それは分からねえ。ただ魔法で視た未来では、このタイミングで空からアルカノイズが降ってきて観客に襲い掛かった。そこはサンジェルマンさん達に頼んで阻止してもらったが、このままだとジェネシスが直接攻撃を仕掛けてくる。それを叩く」

 既に逆探知で敵が術式を展開した場所も判明している。なのでこちらから敵の集結地点に飛び、逆にこちらから敵を襲撃しようと言うのが颯人の提案であった。敵の詳細な戦力が分からない以上、可能な限り動かせる戦力は動かしておきたいが為に彼は透とガルドにも声を掛けたのであった。

「なるほど、事情は分かった。だがカナデ達はともかく、ヒビキ達を誘わなかったのは……」
「皆にはこの時間を楽しんでもらいたいから……ですね?」
「ん、まぁな。奏達だって、見知った連中に楽しんでもらった方が嬉しいだろ」

 それに加えて、奏達にあまり不信感を抱かせない為の処置でもあった。もしここで颯人達だけでなく響達までもが一気に動けば、何かが起こった事を奏達に知らせる事になる。それは良くない。ステージの上の3人には、今の子の観客を笑顔にしていられる時間を最大限に楽しんでもらわなくては。

 颯人なりの思い遣りあってのこの行動だったが、透は彼の想いに残念な知らせを届けた。

「残念ですけど颯人さん、《皆》はそうは思っていないみたいですよ」
「え?」

 透の言葉に颯人が思わず聞き返すと、次の瞬間曲がり角から響、クリス、調、切歌の4人が姿を現した。本来であればまだ観客席で奏達のライブを楽しんでいる筈の4人がこの場に居る事に、颯人は珍しく狼狽えた様子を見せる。

「えっ? はっ!? ちょ、何で皆ここに……!」

 驚く颯人に対して、真っ先に距離を詰めたクリスが彼の胸板を拳で突いた。ちょっと強めに力を込めて突いたので、衝撃で颯人は一瞬息を詰まらせる。

「ヴッ……!?」
「ったく、水臭えんだよペテン師が。お前や透達だけにそんな事任せてのほほんとしてる程、アタシらは薄情な性格してねえ」
「い、いやでもさ?……あれ? もしかして奏達も?」

 彼女らがここに居ると言う事は、奏も異変に気付いている可能性がある。もしや彼女達もライブを中断してこちらに来ているのではないかと危惧した颯人であったが、それは響の口から否定された。

「いえ、奏さん達には何も言ってません。私達が居なくなっちゃったから、もしかしたら何かに気付くかもしれないですけど……」
「でも、多分分かってくれてると思います」

 響に続いて調がそう告げたのにはちゃんと理由がある。颯人が他の男2人を連れて席を立った直後、ステージの上から奏と翼が彼女達に頷きながらウィンクを送ってくれたのだ。

 言葉無き言葉。だが彼女達にはそれで十分だった。奏達はこう言っているのだ。颯人達と一緒に行ってやってくれ、と。自分達は自分達のやるべき事をやる、だからそちらは任せたと信頼してくれているのだ。

 奏達に気を遣うつもりが、逆にこちらが気を遣われた事に颯人は一本取られたと言う様に天井を仰ぎ見ながら帽子で目元を隠した。だが、その口元には隠し切れない笑みが浮かんでいた。

「全く、これだからなぁ……」

 これだから奏の事を愛さずにはいられない。こちらの意図を汲みながら、それでも尚こちらへの気遣いを忘れない。姉御肌だが通すべき筋を通し、誰もを温かく包み込んでくれる抱擁力を見せてくれる。そんな彼女だからこそ、颯人は彼女を愛しているのだ。

 そんな信頼を向けられているのなら、それに応えないのでは漢が廃る。

「うし、行くか!」
「はいッ!」
「おっしゃ!」
「何時でも」
「頑張るデース!」
「うん!」
「気張り過ぎないようにな」

 士気は高く、気合十分。そんな仲間達を見ながら、颯人はこっからは見えないステージ上の奏へと想いを馳せる。

――邪魔はさせねえから、思う存分歌いな!――

 そうして颯人達は、逆探知して判明したジェネシスと錬金術師が潜んでいる現場へと向かったのだった。




***




 そして現在、件の現場では完全に計画が頓挫したベルゼバブ率いるジェネシスの魔法使いと錬金術師ミラアルクが、颯人達S.O.N.G.の戦士達と激しい戦いを繰り広げている最中であった。

「そ、ら、よっと!」

 迫りくるアルカノイズとメイジの攻撃を巧みに避け、すれ違いざまにウィザーソードガンで次々切り裂く颯人。アクロバティックな動きは単調な動きしか出来ないアルカノイズは勿論、メイジすらも翻弄し接近や反撃を許さない。

 その後ろでは彼について行く形で響が続き、彼が討ち漏らす形になった敵や不意を打とうとしている敵に渾身の拳を叩き込む。

「おぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁっ!」

 拳がメイジのボディに叩き込まれると同時に、ジャッキが稼働しインパクトの威力を増大させる。弦十郎には及ばないながらも、彼の放つ一撃を何度も見てきたが故に響は意識的に彼の一撃を模倣しようとしていた。その結果、彼女の一撃はメイジの鎧を突き抜けその下の中身の芯にまで届き一撃で戦線を離脱させてしまった。

 颯人と響により次々とメイジやアルカノイズが倒されていく光景に、ミラアルクは慌てて追加のアルカノイズを召喚した。予備も含めて周囲を埋め尽くす勢いでアルカノイズを呼び出すが、そんなこと知った事ではない。

「くっ! こんなヤバいなんて聞いてないんだゼッ!」

 呼び出したアルカノイズ達が颯人達に襲い掛かるが、下手に数で襲うとしたのは悪手であった。何故ならこの場には、広範囲への攻撃に最も適した戦い方をするクリスが居る。彼女は透のバックアップを受け近付こうとするメイジを返り討ちにしながら、迫るアルカノイズの大群に向けて小型ミサイルの雨をお見舞いした。

「クリス、今だよッ!」
「おっしゃぁぁぁぁっ!」
[MEGA DETH PARTY]

 次々と放たれる小型ミサイルは、噴煙で煙幕を張りながらアルカノイズの大群に迫る。破裂した小型ミサイルはその爆発の威力で周囲のアルカノイズも纏めて吹き飛ばし、それで吹き飛ばなかったとしても続くガトリングの掃射で召喚したアルカノイズの大半が消滅した。

「チィッ! 滅茶苦茶にも程があるゼッ!」

 呼び出したアルカノイズが全滅した光景に、ミラアルクはその際に発生した煙を逆に利用する事を画策。蝙蝠の様な翼を広げて飛び立つと、煙に紛れてクリスに接近し近付くと飛ぶのに利用していた翼が変形し腕に纏わりついて巨腕となって振り下ろされる。

「叩き潰れろぉッ!」
「ッ!」

 煙を突き破って眼前に飛び出したミラアルクの振り下ろす拳が、クリスを叩き潰さんと振り下ろされる。だがそれは、彼女の傍にいた透により難なく防がれた。

「やらせないッ!」
「くっ!?」

 横から飛び込む形でミラアルクの攻撃を防いだ透は、彼女の攻撃を受け流して明後日の方向へと空振りさせた。そしてその際にがら空きになった胴体へ、回し蹴りを放ち距離を取らせる。

「ぐふっ!?」

 思わぬ反撃に吹き飛ぶミラアルクだったが、両腕に回していた翼を再び背中へと持っていき空中で体勢を立て直す。蹴られた衝撃で口から飛び出た反吐を手の甲で乱暴に拭い、忌々し気に透を睨み付けると今度は上空から両足で蹴りをお見舞いした。

「女の腹を狙うとは、不届きな男なんだゼッ!」

 最初はただ上空からの落下エネルギーを乗せただけの蹴りかと思われたその一撃。だが降下の最中、先程クリスに殴り掛かろうとした時同様翼が蠢き両足に移動すると、巨大な肉塊の様な太い足となった足によるドロップキックが放たれる。

 重量と落下エネルギーを乗せたドロップキックを受け止めようとする透だったが、透の左右から割り込んできた切歌と調の一撃が彼女をそれ以上先へは行かせなかった。

「「はぁぁぁぁッ!」」

 巨大な丸鋸の攻撃と大鎌による攻撃がミラアルクの足とぶつかり合う。鋭い斬撃性能を持つ2人の攻撃を真正面から受け止める形となったミラアルクの肥大化した両足は、その一撃に耐えきる事が出来ず逆に足裏を派手に切り裂かれてしまった。

「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 悲鳴を上げながら弾き飛ばされるミラアルク。彼女が両足に纏っていた翼を背中に戻すと、足自体は無事だったが代わりに背中に戻った蝙蝠の様な翼は見るも無残な程にボロボロだった。

「ぐ、ぐぅぅぅ……!?」

 ボロボロの翼から滴る血で自身の体を赤く染めるミラアルクを、ベルゼバブは冷たい目で見下ろした。

「チッ、役立たず……《卑しき錆色》とはよく言ったものだ」
「ッ!! て、めぇ……!?」

 ベルゼバブの放った言葉に殺意の籠った目を向けるミラアルクだったが、痛む翼の所為で立ち上がる事すらままならない。

 そこにメイジとアルカノイズの集団を突破した颯人とガルドが飛び掛かった。

「見つけたぜ、お前かッ!」
「今度こそ決着をつけるッ!」

 剣と槍を持ち迫る2人の魔法使いを前に、ベルゼバブも自身の剣を構えて迎え撃つ。上手い事連携して放たれる2人の攻撃を、しかしベルゼバブも巧みな剣技で対抗してみせた。

「チッ、流石幹部ってか。なかなかやるじゃねえの」
「気を付けろハヤト。コイツの厄介な所は別にある……!」
「ご要望とあればお見せしよう」

 警戒する2人の前で剣を構え直したベルゼバブが刺突を放つ。直後ベルゼバブの剣が彼の眼前に開いたゲートの中へと消えた瞬間、颯人は反射的に自ら体勢を崩して死角から飛んできた刺突をギリギリ掠める形で回避した。

「あっぶね!?」
「ほぉ、よく避けたな」
「生憎と、似たような戦いは経験した事あるんでね」

 思い出すのはパヴァリア光明結社と戦っていた時の事。まだサンジェルマンとは敵対していた時、彼女と対峙した際に彼は錬金術を用いて攻撃を転移させて来るサンジェルマンに苦戦を強いられた。自身も彼女の攻撃を真似て対抗してみせたが、年季と経験で上回る彼女には一歩及ばず苦い敗北を味合わされた。その時の事もあって、颯人は自身の攻撃を転移させて死角から攻撃される事に対しては人一倍敏感だった。

 颯人への奇襲を失敗したベルゼバブは仮面の奥で苦い顔をしたが、颯人達はかrが悔しがる時間を何時までも与えはしなかった。先程のお返しとばかりに、颯人とガルドの2人が攻撃を仕掛けた。

「今度はこちらからだッ!」

 洋上での戦いのリベンジとばかりに、気合十分なガルドの一撃がベルゼバブへと襲い掛かる。性懲りもなく馬鹿正直に正面から攻撃を仕掛けてきた彼にベルゼバブは仮面の下で嘲笑いながら、ゲートを開いて彼の攻撃を無力化しようとする。
 だがその瞬間四方八方から銀の銃弾が飛んできた。ガルドの攻撃を別の場所へと転移させることに意識を集中させていたベルゼバブは、これに対応しきる事が出来ず無数の銃弾に体を穿たれた。

「ぐぉっ!? うあぁぁぁぁっ!?」

 颯人が放った銀の銃弾により集中が乱れた。その隙をガルドは見逃さず、振り下ろしたマイティガンランスでベルゼバブの体を大きく切り裂いた。

「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」
「ふん、どんなもんだ」
「サシならかなり苦戦しただろうが、こうなるとその転移も使えないな」

 ベルゼバブが指輪を介さずゲートで空間を繋げる魔法を使ってくる事はガルドから事前に聞いていた。故に颯人は、奴が戦場に出てきた際の対処法をいくつか考えていたのだ。これはその一つであり、単純に思考を大きく乱されてしまえば得意の空間繋ぎも上手くいかないだろうと言うものであった。結果はこの通り、颯人の読み通りベルゼバブは四方八方からの攻撃を受けながらでは対処しきる事が出来ずこうして攻撃を喰らって地に沈んだ。

「さて、そろそろ周りも終わる頃か。年貢の納め時だぜ」
「お前達の好きにはさせん」
「くっ!?」

 立ち塞がり見下ろしてくる2人を前に、ベルゼバブは悔しさに歯噛みする。このままでは負けると分かっているが、先程ガルドから喰らった一撃がかなり響いておりまだ立ち上がる事が出来ない。

 動けずにいるベルゼバブに迫る颯人とガルド。だがその横合いから、突然大剣が振り下ろされ2人の歩みを止めさせた。

「ヌンッ!」
「うぉっ!?」
「誰だッ!」

 咄嗟に後ろに下がった2人が大剣の持ち主の方に目を向けると、そこには淀んだ黄色い仮面のメイジが振り下ろした大剣を持ち上げ肩に担いでいた。その姿に蹲っているベルゼバブが吐き捨てる様に口を開く。

「”オーガ”……今更来たのか」
「あ? 無様晒してるくせして何偉そうなこと抜かしてんだテメェ。食われてえのか俺に?」
「チッ……」

 新たな幹部クラスのメイジ……オーガは、ベルゼバブを見下したように告げると視線を颯人とガルドの方へと向けた。

「コイツ等か……ワイズマン様に逆らおうって言う連中は。ほぉ……なかなか旨そうな連中だ。食うに値するかもしれねえ……!」

 左腕のスクラッチネイルの甲で口元を拭う様な仕草を見せるオーガと呼ばれたメイジ。その背後には増援だろう複数人のメイジの姿も見える。

 敵の増援に小さく舌打ちしながら颯人は耳を澄ませた。遠く離れた所からは、未だライブの音楽と歓声が薄っすらとだが聞こえてくる。

「やれやれ……長い夜になりそうだ」

 まだまだコンサートには戻れなさそうだとぼやきつつ、颯人はオーガ達に向け銃口を向けるのだった。 
 

 
後書き
と言う訳で第204話でした。

サンジェルマン達の手を借りて会場を守った颯人は、逆探知でミラアルク達の場所を察知して逆に襲撃を掛けていました。
奏達のライブを守ると言う強い意志と高い士気もあって、今回はかなり優位に戦いを進めていましたがそれも長くは続きません。新たなオーガの乱入もあり、戦いはさらに激しくなります。

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。 
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