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戦前の野球

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第四章

「藤村さんがいて巨人には沢村さんね」
「沢村栄治さんね」
「あの人がいたわね」
「凄い人出たわね」
 呉も沢村栄治は知っている、それで言うのだった。
「レジェンド中のレジェンドね」
「まさにね、その沢村さんがいて」
「阪神とも戦ったのね」
「中学で甲子園にも出てるの」
「そうだったの」
「それで巨人でノーヒットノーランしてるけれど」
 それでもというのだ。
「三度ね、甲子園でもね」
「プロに入ってから」
「阪神相手にもね」
「ノーヒットノーランしてるのね」
「そうなの」 
 実際にというのだ。
「戦争前にね」
「そうだったのね」
「この人も戦死したけれど」
「甲子園で投げてたのね」
「そう、それでね」
 そのうえでというのだ。
「その記録は今でもね」
「残ってるのね」
「甲子園にね」
「そうだったのね」
「あの頃の球場で残ってるのね」
 戦争前から存在している球場はというのだ。
「建て替えてるけれど甲子園だけよ」
「戦前からあるって凄いわね」
「戦争中は工場にもなって」
 甲子園球場にはそうした歴史もあったのだ。
「爆撃儲けたけれど」
「今もあるわね」
「それでその甲子園でよ」
「台湾や半島の人達も野球して」
「沢村さんも投げたのよ」
「凄い歴史ある球場ね」
「戦前の歴史がね」
 まさにそれがというのだ。
「甲子園にはあるのよ、そして阪神にもね」
「あるのね」
「昭和十年からあるから」 
 阪神という球団はというのだ。
「それでね」
「今もあって」
「戦争前のこともね」
「歴史としてあるのね」
「そう、日本の高校野球とプロ野球は」
「戦争前からあるわね」
「甲子園でもね、それじゃあ」
 ここでだ、伊月は呉にある店の前に来たところで笑顔で言った。
「阪神勝ったお祝いでね」
「飲むのね」
「ここ学生割引あるから」
 とある居酒屋の前で笑顔で言った。
「それでね」
「飲むのね」
「今日休日でデーゲームだったし」
「ゆっくり飲めるわね」
「ええ、それでね」 
 さらにだ、伊月は言った。
「このお店は結構新しいお店だから」
「昔はなかったわね」
「戦争前にはね」
 さっきまで話していた時代にはというのだ。 
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