リュカ伝の外伝
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先ずは学び
(グランバニア王都:陸軍演習場・特設展示会場)
ピピンSIDE
今回の新発明魔道車展示会も今日で3日目の最終日。
1日目は国内企業向けの展示で2日目は国内外企業向け。
その為、運営も事務的な進行しかしていなかったが、今日の3日目最終日は一般客も参観に来るので、男性が夢中になるキャンギャルや若い女性軍人を司会進行に起用して華やかさを醸し出している。
司会進行役の“アーキ・グリーバー伍長”は広報課に所属する軍人。
しかしリュカ様は何やらアナウンサー(語感からアナウンスする者だと思われる)にするつもりらしく、何れは軍から独立させて新たな組織を作るのだろう。
当人も満更では無い様子で現在も司会進行役を嬉々として行っている。
如何やらこの展示会場に特設したステージで次なるイベントを行う様だ。
一般客が来場する3日目最終日のみの特別イベント……
何と『ビンゴ大会』が開催される!
一般客のみが対象で入場と同時にビンゴカードが配られていた。
勿論ビンゴ大会のことは今回の展示会開催以前からポスター等で告知がされており、このビンゴを目的に集まってきた者も居るだろう。
見回すとリュカ様お気に入り(スケベな男性陣はほぼ全て)のキャンギャルはステージから撤収しているらしく、あのスカイブルーの“ミニスカピチピチワンピース胸元パックリ”衣装は居なくなっていた。流石だ……よく教育されている(笑)
代わりにステージ上では俺の部下(まだ現在は)の広報課軍人がビンゴ大会の準備をしている。
一応軍人だし、何より今回の予行練習を十分してきているので、それほど悪い動きでは無いのだが、先程気配無く撤収したキャンギャル連中と比べてしまい、何か情けなさを感じてしまう。上に立つ者の統率力なのかな?
とは言え遅延すること無くビンゴ大会の準備が完了。
ステージ上ではグリーバー伍長がマイクを使って爽やかにビンゴ大会開始を宣言。
リュカ様が目を付けるだけあって伍長は美しく声も透き通る様で聞きやすい。
勿論俺も今回の展示会運営に関わっている側なので、ビンゴ大会の景品が何なのかは知っているし、事前に告知もされているから殆ど周知なのだが、それでも流れとして伍長がルールと景品を説明している。
何とこのビンゴ大会の景品は発売されたばかりの車である。
とは言え全員に車が当たる訳では無く……
既に免許を取得している者だけにビンゴの景品として受け取ることが出来る。
では免許を持って無い者には意味の無いイベント化と言えば、勿論それは違う。
入場時にビンゴカードが配られると言ったが、その時に免許を提示すれば他の客とは違う色、青色のカードが配られる。他の者は赤色だ。
この青色を持っていると景品が車で、赤色は免許取得に必要な基本料金の1年間免除特典が当たる。
青色で当たる車だが、今回発表された3社の各3車種……つまり9台の車がビンゴ景品対象である。
どの会社のどの車種にするかは早い者勝ちで、先に1ビンゴ揃えた者から選ぶことが出来る。
同着だった場合は大人なのだから話し合いで解決せよとの事で、あまりにもガタガタ言うのならこの場(会場)で一番偉い人が出張ってくるゾっと伍長から説明があった。因みに一番偉い人とは、俺の隣にいるリュカ様である。
そして赤色は青色の景品が無くなり次第、ビンゴ大会が終了するので、その間にビンゴした者だけが免許取得の基本料金1年免除特典が貰えるのだ。
とは言え青色のビンゴが早すぎて赤色から当選者が出ないのも問題だと思われ、赤色の当選者が1人も出なかった場合のみ、延長線を開催して3人までプレゼントするとのことに……リュカ様がこの場で決めました。
「あ、ビンゴー!!」
おや、そうこうしていると既にビンゴが出た者が居る。
当選者は先程サラボナの小倅とキャンギャルに見とれてた少年だ。
彼のビンゴカードは赤色の為、如何やら免許取得の免除権が貰える。
因みに運転免許取得には、国土運輸省直轄の 教習所に通い卒業する必要があるのだが、義務教育ではないのでそれなりに結構な金が掛かるのだ。
入校受付の際に1年間の入学金3000G。
有効期間は1年間という事で、1年後(+2週間の延長申し込み猶予あり)が過ぎると、再度免許を取得しようとするには3000G費用が掛かる。
延長の場合は1000Gくらいで済むらしいが、何も得ることが出来ずに3000Gを消費するのは痛すぎる。
だが先程ビンゴが当選した彼は、この基本初期費用が免除される。
とは言え免除されるのは先程言った入学費だけである。
教習所のシステムを説明すると、実際に車を運転する技術を習う『教習』と、車の様々な知識を身に付ける『学科』の2種類があり、双方とも『第1段階』と『第2段階』と別れて指導しており、第1段階の教習・学科を全て履修して教習・学科の双方の試験に合格した者が第2段階に行け、そちらも教習・学科を全て履修した者が第1段階と同じように第2段階の試験に合格する必要がある。
因みに学科で使用するテキストや授業料は入学金として初期の3000Gから賄われるのだが、教習に関してだと実際に車に乗って練習する為、万が一の事故等に関するレンタル料が毎回発生。
これは先程ビンゴを当てた彼にも当て嵌まり、1回の教習事に12Gの料金を支払わなければならない。
また他にも、各段階の試験も試験費用が別途必要で、各20G支払う必要が発生する。
言い忘れたがこの国で免許を取得出来る資格がある者は、義務教育課程を卒業している者または簡単な読み書き計算が出来る16才以上の者とされている。
要は 教習所の内容を理解出来る者だけという事だ。
教習所の勉強に付いてこれる者だけが免許を取得出来るという事なのだが、先程ビンゴが当選した少年の友人であるサラボナの小倅の様な外国人も、我が国での免許取得は問題無く出来る。
だが当然ながら免許として効果を発揮出来るのは我が国内だけである。
車を購入して故郷(彼の場合はサラボナ)に持ち帰り、乗り回して事故を起こしても、それ即ち自己責任!
『危険な乗り物を発明販売した! 責任取れ!』と文句を言おうものなら、リュカ様がブチ切れること間違いなし。
当然だが今回の車関連の開発・発表・販売等は友好国にも告知しており、互いに各国で広めていく約束はされているので、サラボナもテルパドールも新興国家アリアハンも……最友好国のラインハットだって免許制度と 教習所制度を自国に導入する為に、何百歩も先んじている我が国に人を送り学ぼうとしている。
「うぉ! き、きた……来たぞ! ビンゴだー!!」
ほぅ……
如何やら更なる当選者が出たらしい。
俺と同年代くらいの男性……傍には奥様だと思われる相応の年齢の女性と俺の息子(ピパン)よりは年上の娘さんを連れた家族だ。
手にしたビンゴカードは……何と青色!
これで彼は無料で車を入手出来る。
さて……何所の会社のどの車を希望するのかな?
羨望の眼差しで一家を目で追っていると、(株)レックスのブースへと向かって行った。
そして指さしたるはSUV。
良いチョイスかもしれない。
見た目も格好いいし、SUVなら王都から別の都市に行くにも行きやすい。
勿論、今後はグランバニア中の道が舗装整備される予定なので、他の車種でも移動に不便を感じることは少なくなるだろうが、現状では王都内以外は未舗装なのでパワーがあるSUVは打って付けである。
俺を含めた軍人……及び王都内に務める公務員は免許取得を半ば義務化されている為、結構な人数が既に免許を持っている。
俺は勿論GMの社長なので、自社のHanmmerを乗り回して……
と言いたいのだが、俺には如何やら魔力が無い様で、Hanmmerの運転席に乗ってアクセルを地獄の底まで踏み込んでも、うんともすんともいわないのだ。
レクルトなんかは、たった数100m走らしただけで、ドヤ顔で車から降りてきやがった。数100mしか走れないんじゃ意味ねーだろ!
あぁ……俺もHanmmerが無理なら、(株)レックスのSUVが欲しかった。
どの車も安くは無いけど、取り分け(株)レックスのSUVは高いんだよ!
20万Gくらいするんだぜ!
ピピンSIDE END
後書き
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