星河の覇皇
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第八十六部第四章 エウロパが受けた衝撃その九
「彼等は」
「何かと大雑把でして」
「品性は下劣でした」
「歩きながら集団で騒いで、です」
「貴族のレストランの中に兵士達も入って賑やかに騒ぎました」
「そうした者達でしたが」
「軍律は守っていた」
それは確かだったというのだ。
「そしてものは必ず買っていた」
「はい、何があっても」
「金払いはよかったです」
「そして婦女子に声をかけてもです」
「決して無理強いはせずです」
「相手はあちらの娼婦ばかりでした」
エウロパではそうした職業の女性達をこう呼ぶのだ、連合では風俗嬢と呼ぶがその意味は結局は同じである。
「そして殴りもしませんでした」
「相手が誰でも」
「こちらの者が絡んでもです」
「殴って来てもやり返しませんでした」
「市民相手には手を出さないと言って」
「命令も受けていないので」
「騒がしいがだ」
それでもというのだ。
「それだけだった」
「左様ですね」
「それが連合軍の者達でしたね」
「士官だけでなく兵士もでした」
「軍律は守っていました」
「当家の中庭にも入ったが」
そこで飲んで歌えだったのだ。
「しかしだ」
「それでもでしたね」
「賑やかに騒いでも」
「後片付けはしてです」
「奇麗にしてから帰りましたね」
「それを見るとな」
連合運のそれをというのだ。
「やはりな」
「連合軍はですね」
「よく教育が行き届いている」
「そして彼等の質は悪くない」
「劣ってはいないですね」
「軍隊は社会の縮図という」
フレッセルはこうも言った。
「だからだ」
「それで、ですね」
「兵士を見ればかなりわかりますね」
「その国の社会状況が」
「そして人間の質も」
「その一面がある」
まさにというのだ。
「そしてそれがだ」
「連合軍にも見られた」
「男爵が見られるに」
「そうだ、愚かでも無教養でもなくな」
そうでなくというのだ。
「彼等なりに教育を受けていてだ」
「愚かではなく」
「そして野蛮でもない」
「我等と比べてもですね」
「悪くはないのですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「このことはな」
「それ故にですか」
「我々もですか」
「そのことを頭に入れて」
「そうして人材を育てることですか」
「さもないとだ」
そうでなければどいうのだ。
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