星河の覇皇
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第八十六部第四章 エウロパが受けた衝撃その三
「優秀な人材を多く育てたい」
「左様ですね」
「男爵は教育が専門ですので」
「だからですね」
「是非ですね」
「そうしたい」
こう言うのだった。
「それぞれの職業でな、しかしな」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「何かおありですか」
「いや、教育というとだ」
ここでこうも言ったのだった。
「すぐにいい大学に行くだのな」
「そういうことを言う者はいますね」
「このエウロパにも」
「オックスフォードだのケンブリッジだの」
「ケルンやソルボンヌもと言いますね」
「他にはボローニャもありますね」
「どの大学かはどうでもいい」
教育においてというのだ。
「大事なことはだ」
「どういった人間になるか」
「そのことですね」
「人格に技量」
「そういったものを備えることですね」
「それがなくてはな」
どれだけ有名な大学を出てもというのだ。
「意味がない」
「全くですね」
「有名な大学が出てもそれの職種で仕事が出来ない」
「そして何の役にも立たないならです」
「意味はありません」
「その様な状況では」
「そうだ、資質だ」
大切なものはというのだ。
「人格もそうだがな」
「どういった教育を受けて」
「それで、ですね」
「決まるものであり」
「大学では決まりませんね」
「教育は一生ですし」
「イートン校に入ってだ」
フレッティは今もイギリスにある伝統ある寄宿学校の名前も出した、この時代でも多くの人材を輩出している名門校である。
「そしてオックスフォードやケンブリッジに入ってだ」
「それでどうかなるか」
「立派な人材が出来るか」
「それはですね」
「そんな簡単なものではないですね」
「そして何でもない学校を出てだ」
今度は名門とは違う話をした。
「それで駄目か」
「そうではないですね」
「例え所謂無名の学校を出ても人材は育ちます」
「そこから多くの経験を積んで教育を受ければ」
「それで優秀な人材になります」
「そうだ、有名大学を出るだけが教育ではない」
フレッティは言い切った。
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