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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその四十八

「言えないのかも知れない」
「それが人間の世界であり」
「未来かも知れない、だから連合の未来もな」
「一つではないのですね」
「そうだ、だがあの総統殿はな」
 再びギルフォードのことを話した。
「エウロパの千年先を見てだ」
「戦略を立ててですか」
「政策も出している」
「そうした御仁ですか」
「だから厄介だ」
 非常にというのだ。
「どうなるかわからないにしても千年先まで考えている」
「このことは事実なので」
「手強い、英雄が生きている時だけで終わればな」
「その発展が」
「幾らその英雄が偉大でもな」
 例えそうだったとしてもというのだ。
「所詮はだ」
「それまでなのですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうなる、だが後世まで見て」
「政策を立てて残す英雄なら」
「強い、教育もな」
 これもというのだ。
「おそらくな」
「あの総統殿はですね」
「先を見てだ」
 そうしてというのだ。
「考えてだ」
「改革をしていますか」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「エウロパは強くなり」
「ギルフォード総統の後も」
「それが続く」
「そうなりますか」
「そうなることも頭に入れてな」
 そしてというのである。
「我々もだ」
「動くことですね」
「エウロパの発展は続く」
 ギルフォードの後もだ。
「そうした改革だ」
「あの総統殿のそれは」
「一代でなくな」
「それではです」
 由良は八条の言葉を聞いて言った。
「あの御仁はチトー以上の」
「英雄だな」
「チトーは英雄でした」
 ユーゴスラビアの大統領だった彼はというのだ。
「まさに」
「あの複雑な国を一人でまとめてだ」
「治めていましたね」
「文字は二つあった」
 そのユーゴスラビアの国にはだ。
「宗教は三つ、言語は四つでだ」
「五つの民族六つの共和国」
「七つの国家にだ」
「八つの国境でしたね」
「そして一人のチトーだった」
「まさに彼があの国をまとめていました」
「そうだった、あの陰惨な歴史があった国をな」
 民族同士の殺し合いがあった、バルカン半島は火薬庫と言われたがユーゴスラビアこそその中心であったのだ。 
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