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神々の塔

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第六十七話 竜殺しの英雄その五

「病になられないので」
「痛風にもか」
「なられていません」
「それはええことやな」
「左様ですね」
「人もドラゴンもなるのに」
「神霊の方々はです」
 まさにというのだ。
「どの様な病にもです」
「ならへんな」
「そうなのです」
「それはええな、ただな」
 ここで羅はこうも言った。
「難儀なこともあるやろ」
「病になられることはなくても」
「それで不老不死でもな」
「はい、それはです」 
 不老不死と言われてだ、ブラックドラゴンも答えた。
「永遠に世を見ていて」
「命あるものと接していくな」
「我々とも」
「別れも多いな」
「自分が愛する存在が常にです」
「老いてな」
「亡くなっていくことをです」
 それをというのだ。
「ずっとです」
「経験していくな」
「愛別離苦ですね」
 ブラックドラゴンは仏教にあるこの言葉も出した、仏教ではこの四つを苦しみの源の一つと教えているのだ。
「それをです」
「ずっとやな」
「経験していかれます」
「魂は生まれ変わっても」
「例え消し去りましても」 
「この世だけのことでな」
「別の世界に生まれ変わりますね」
 羅にこのことを話した。
「そうですね」
「ああ、そやけどやな」
「その時の生とは別れますので」
「それがずっと続くからやな」
「はい」
 だからだというのだ。
「神霊の方々もです」
「難儀なことがあるな」
「憂い、悲しみ、苦しみ」
 施は考える顔になって述べた。
「そういったものはな」
「それこそ悟りを開かれてです」 
「仏教の仏さんみたいにな」
「超越しなければ」
「神霊さん達でもやな」
「受けていきます」
「そやねんな」
「ジークフリート様もそれは同じで」
「愛別離苦の中にあられるか」
「今はそれからの脱却をです」
 命ある者との別れ、それを悲しむことからというのだ。例えその命ある者の魂が不滅で死んでも別の世界に生まれ変わると知っていても。
「目指されています」
「仏さんみたいにか」
「修行をされて」
「そやねんな」
「全ての神霊の方が悟りを開かれているか」
「そうでもないな」
「例えばギリシアの方々は」
 こちらの神々はというのだ。 
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