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仮面ライダーダブル 最高のパートナー

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第三十二章

「じゃあ遠慮なくな。好きなだけ飲んでくれよ」
「有り難うございます。それじゃあ」
「確かにいいコーヒーだね」
「そうだな」
 海東と門矢もだ。満足し得入る感じで飲んでいる。
 そのうえでだ。彼等もこう言うのだった。
「このコーヒーなら」
「何杯でも飲める」
「だから何杯でも飲んでいいですよ」
 同席している亜樹子も飲んでいる。そのうえでの言葉だった。当然照井もいて彼等と同じ様にコーヒーを飲んでいるのである。
 その亜樹子がだ。こう彼等に言う。
「うちのコーヒーは無料ですし」
「無料か」
「喫茶店じゃないですから」
 だから無料だと。門矢に話す。
「本当に楽しんで下さいね」
「金には五月蝿いのにコーヒーはいいのだな」
「考えが丸くなったんや」
 こう左に話す。
「コーヒー位は。けちけちせんと」
「いいことだな。人間少しは余裕がないとだ」
 照井もまたそのコーヒーを飲みながら話す。
「さもしくなってしまう」
「御金は大事だけれど心はもっと大事」
 少なくとも以前亜樹子からは考えられない言葉だった。
「そういうことよ」
「じゃあ今はね」
 フィリップもコーヒーを飲みながら話す。
「皆で。このコーヒーを心ゆくまで飲もう」
 こうしてだった。彼等は勝利の後のコーヒーを楽しんでから。それからだった。
 別れの時になった。門矢達は事務所の前に停めてあるそれぞれのバイクに乗る。そのうえで迎えに出て来た左達に話すのだった。
「では。またな」
「ああ、またな」
 左もその門矢に言葉を返す。
「また。会おうな」
「その時を楽しみにしている」
 バイクにまたがった門矢はヘルメットを被りながら左に話す。
「ではな」
「うん、今はさようなら」
 フィリップは門矢達に別れの言葉を告げた。
「また。会おう」
「必ずな」
 こう別れの言葉を交えさせてだ。彼等は別れた。後に残ったのは左とフィリップ、照井に亜樹子、この四人だった。
 その中でだ。最初に照井が言った。
「これからどうする」
「これからか」
「そうだ、俺はこのまま警察に残りだ」
 そうしてだというのだ。彼はだ。
「スサノオと戦うことにするが」
「そうか。そっちはそうするんだ」
「俺は警官だ」
 そのことは忘れていない。決してだ。
「それならな」
「そうだな。では俺はだ」
「僕は」
 左だけでなくフィリップもそれについて話す。
「このまま探偵を続ける」
「そうさせてもらうよ」
「そうか。そしてだな」 
 そうしてだというのだった。照井は二人の今の言葉でわかった。
「スサノオと戦うか」
「そうだ、そうする」
「何故なら。僕達は」
 フィリップがそれを話す。
「仮面ライダーだからね」
「そうだな。俺も仮面ライダーだ」
 照井もまたその言葉に頷いた。
「それならだ」
「スサノオと戦い続ける」
「そういうことになるけれど」
「そのスサノオが音をあげるまで戦ってやる」
 そうしてやるというのだった。それが照井の言葉だった。
「根競べをしてやる」
「俺もだ」
「僕もだよ」
 二人もだ。それは同じだった。
「この町だけの戦いじゃなくなったみたいだけれどな」
「それなら。それで」
「何か凄い話になってきたわね」
 亜樹子は三人の話を聞いて目をしばたかせ口を少し尖らせて述べた。
「風都を出ることになるなんて」
「スサノオは風都以外でも仕掛けてくるからな」
「それでだよ」
「それはそうだけれど。それにしても」
 それでもだと言う亜樹子だった。そしてだ。
 彼女はあらためてだ。こう三人に話した。
「それならそれでいいわよね」
「いいか?」
「仮面ライダーだからか」
「それでか」
「そうよ。じゃあ私も所長として」
 どうするか。それも話すのだった。
「しっかりと働かないとね」
「ああ、頼んだぞ」
「これからもね」
「じゃ、今は」
 そしてだ。ここまで話してだ。
 今度はだ。こんなことを言う亜樹子だった。
「仕事の依頼が来てるけれど」
「何っ、もうか」
「早いね」
「ええ。さっきサイトの掲示板で書いてあったのよ」
 そこで依頼が書かれているというのだ。
「今から待ち合わせ場所のタワーの前に行きましょう」
「わかった、それならな」
 左が彼女について行く。そしてだ。
 フィリップは事務所に残り照井は警察に戻った。彼等は今は別れた。だがまたすぐに会い供に戦うことになる。それはわかっていた。ただ、今は戦いを離れて日常を楽しむこともしていたのである。彼等のささやかな休息を。


仮面ライダーダブル  最高のパートナー   完


                       2011・3・12


  
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