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八条学園騒動記

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第七百四十三話 十支族の謎その二

「欧州よりもね」
「多かったのね」
「その筈よ、だってローマでしょ」
 アンはやや顔を曇らせて話した。
「欧州って」
「そのディアスポラの元凶の」
「エルサレムを攻め落としたね」
「そうだから」
「そのローマの領内に移住する人って」
「やっぱり少ないわね」
「何で好き好んで自分達を迫害する相手のところに行くのよ」
 こう言うのだった。
「そもそもね」
「いても少数派だね」
 セドリックもそれはと応えた。
「やっぱり」
「それで二千年もね」
「信仰守るか」
「周りキリスト教徒ばかりで」
 ローマ帝国デキリスト教が国教になってからだ、それからは他の宗教は厳禁となったのである。テオドシウス帝からだ。
「ずっと信仰守るって」
「相当だね」
「そりゃそんな人もいて」
「今のイスラエル人のルーツだね」
「そうだった人もいるけれど」
 それでもというのだ。
「その中でやっぱり混血してるし」
「それで白人だね」
「しかも商業のコミュニティになっていたから」 
 ユダヤ人の社会自体がだ。
「金融とか貴金属を扱う」
「それだと儲かるね」
「実際に儲かってたし」
「それでロスチャイルド家も出たね」
「そう、あのお家もね」
 この時代でも人類社会有数の資産を持つ家である、この時代ではイスラエルに本拠地を置いてそのうえで活動している。
「そうでしょ」
「金融から出たよね」
「今もそっちやってるしね」 
 金融業をというのだ。
「それでそれをしやすいから」
「ユダヤ教に入った?」
「あとユダヤ教の人と結婚する為に」
 このことを目的としてというのだ。
「改宗した人もね」
「多かったんだ」
「だからユダヤ系の血は」
「かなり薄いんだね」
「古代ヘブライ人の血はね」
「そうなっているんだ」
「そうよ、どう見たって白人だと」
 それならというのだ。
「古代ヘブライ人とはね」
「全く違うね」
「そうでしょ、元はユダヤ人でない人もね」
「入っていって」
「もうね」
 それこそというのだ。
「今のイスラエル人は」
「そうなっているんだね」
「それでユダヤ教って教え厳しいでしょ」
「あれするなこれするなでね」
 セドリックはユダヤ教の教義についてこう述べた。
「無茶苦茶禁欲的だね」
「そうした宗教だから」
 それ故にというのだ。
「入信する人がね」
「いないんだ」
「他の国からはね」
 どうしてもというのだ。 
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