わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ
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そして、年が明けて3学期が始まった時、初めて泉希が北河内高校に進むと意思表示をしていた。
私は、決めていた。泉希は私がラグビーをするときに、付き合ってくれたんだ。今度は、私が泉希に付き合って・・・そして、ふたりからでも高校でもラグビー始めればいいじゃぁ無いと。でも、まわぁまんまーとじっちゃんになんて言おうかと、寒気が襲っていた。
そして、泉希ともろくに話をしないまま、2月になって聖女子学院の入試があって、私は、ずるずると受けるだけ受けて居た。合格発表まで、泉希は私に何にも言わないでいたが、発表の時に聞いてきた
「どうだったの? 受かったんでしょ?」
「うん 受かった」
「良かったじゃぁない いよいよ みゅんともお別れだね」
「なんで そんな冷たい言い方するん? みゅうみゅんは北河内 受けるでー いつも一緒やってゆうたヤン」
「なにゆうてるン! あそこに行ったら、そのまま大学にも行けて、ええとこ就職できるんちゃう? 一生に繋がるんやでー」
「そんなより みゅうみゅんは 泉希と一緒のほうが 人生の為になる 一緒に笑って、苦しんで」
「・・・みゅんはとびっきりのアホやー ウチの中では不思議ちゃんやねー」と、その後、お互いに くしゃくしゃにしていたのだ。泉希はどうのこうのと言いながらも嬉しそうだった。
それから、2月も終わろうかという時、璃々が北河内高校を受けると私と泉希に言ってきた。
「えぇー えーぇ なんでー 璃々は京都の私立行くんやと思ってた」
「うん いろいろと考えてたんやけど 何でやのん? ウチが居たら じゃまなんか? 仲間やろー? それに、あそこ弱いけどラグビー部あるやん 男の子のん 3人で女子 一から始めたらええやん?」
「ううん そんなこと無いよぉー 璃々も居たら 3人で最強やー」と、私と泉希は3人で抱き合っていた。
だけど、私には、もうひとつ乗り越えなければダメなことが・・・まわぁまんまーをどう説得しようかと・・・じっちゃんも今度こそ反対するに決まっている。聖女学院に通わすことがポリシーみたいに思っていて・・・あそこの制服姿がモトマチの家に出入りするのを近所に対して自慢に思っているんだからー。
2月の末になって、私は、まだ聖女学院に対して入学手続きをしていないもんだから、ばっちゃんに催促されていた。
「ばっちゃん あのなー みゅうみゅんは公立に行こうと思ってるん」と、打ち明けていた。
「だって 先生にも聖女学院に行くって言っていたでしょ!」
「う~ん あの時は まだ 迷っていたん だけど、泉希と一緒のとこに行きたい! やっぱり、今までいっぱい助けてくれた泉希と離れたぁーないねん 璃々も行くって言っているし」
その日の晩は、じっちゃんは一言もしゃべらなかった。あきらかに機嫌が悪いのだ。そして、まわぁまんまーから電話が、いきなり
「みゅうみゅんねえー あなた 何様なんよー さんざん我儘言ってきたのじゃぁないの! 全国一になったって言っても それもお父様に散々応援してもらったり、援助してもらったんでしょ もう、いいじゃぁ無い! 高校からは聖女学院に行くって約束でしょ! モトマチの家からあの学校に通わすのは、お父様の夢なのよー それを手の平返すようにー 反省しなさい! お母さんは許しませんよ!」と、一方的に切られてしまった。おそらく、あの般若の顔になっているのだろう。
その夜は、泣きじゃくっていたのだろう、次の日、泉希に会うと
「どうしたのーぉ? その顔 ぶさ猫みたい」
「うー きのう まわぁまんまーの電話で怒鳴られた じっちゃんも機嫌悪いしー」
「・・・高校のことでしょ? 当たり前だよー だよね みゅんはやっぱり 聖女学院に行くべきだよ」
「そんなこと言わないでー みゅうみゅんは泉希に璃々と 一緒に・・・行きたい」
「・・・ウチも一緒に行って 社長さんにお願いしようか?」
「うぅん ん みゅうみゅんの問題だしー 何とか説得するしかないんやー」
学校から帰ると、倉庫の辺りをウロウロしていた山本さんが
「お帰りやす 来たはりまっせー いきなり 怒られたんですわー あなた 実海に、どういう指導してきたんですか! って 高校のことでっしゃろー? こっちに そー言われてもねー まぁ すごい顔でしたわー」
それを聞いた途端、私は、いつかの般若顔が蘇って来て、震えてしまって、もう一度 外に出て行こうとしていたら
「お嬢はん ここで 逃げたら あかん! 自分の思いをぶつけなはれ! わっしには お嬢はんが 間違ったことしてると思ってまへんでー 仲間を思うのは大切なことですわー」
「わかった 山本さん ぶつかるけど もし 勘当になったら みゅうみゅんの面倒見てやー」と、決心して玄関に入って行った。
「みゅうみゅん お帰り」と、予想に反して、笑顔のまわぁまんまーが。だけど、幾らか口元が引きつっているのがわかった。そして、テーブルの上には入学手続きの書類が置いてあった。
「さぁ これを書いて 明日 届けに行きましょーね」と、押し付けるように
「まわぁまんまー 聞いて お願い」と、私は絞り出すような声で
「いいわよ 何が言いたいのかはわかるけど 言ってみなさい でも 実海はお母さんとお父様の反対を押し切ってでもっていう 覚悟はあるんでしょうね!」
「みゅうみゅんは こっちに来て 泉希という女の子がお友達になってくれた それから、彼女はいつも側にいてくれて、助けてくれて だからみゅうみゅんは伸び伸びと色んなことに挑戦できたの 中学の時もそう 仲間も増やせたし 仲間って とても大切って教えてれたの 私は、今 みんなと離れたくない! まだまだ、いろいろとやることはあるわ 一緒に・・・ 彼女はお家の事情で公立しか駄目なんだって だから、みゅうみゅんが公立に行けば 一緒にこれからも上を目指せるんだよ 確かに、あの時は、高校は聖女学院に行きますって言いました。でも 今は、仲間と・・・お願いします 許してください」
「わかったわ 実海 聖女学院に入れば、そのまま大学にも行けて、やりたいことも見つけて、挑戦できるし 就職にも困らないわ あなたは、その切符を今、手にすることが出来るのよ それを放棄するのね! お母さんとお父様の夢なのよ それを・・・」
「本当にごめんなさい みゅうみゅんは 仲間とでなければ 手に入らないものがあるんだって・・・思っているから それは、今 一度きりって感じるから・・」
「お母さんは あなたが強情で自分で決めたことに真直ぐに進んで行く娘だってことは、わかっているから、もう 言わないわ 好きにしなさい そのかわり モトマチの家からは出て行きなさい お母さんだってお父様に 申し訳ないのよ こんな我儘な娘 お父様の顔をつぶすんだから 当然でしょ! あなたはそんなことって思うかもわからないけど それだけ お父様にとっては大切なことなのよ お母さんも そーやって言うことは聞いて育ったのよ でも それを あなたに押し付けるのも間違っているのかもね」
「まわぁまんまー ごめんなさい じっちゃんにも ちゃんと 謝ります」
「そうねぇー でも もう この家を出るのよ そうねー 卒業式済んだらね!」
「えっ じゃぁ みゅうみゅんはどうしたらー」
「知らないわよー そんなこと 覚悟はあるんでょ! 実海が勝手に お母さんとお父様の言うこと聞かないんだからー もともと 水島の孫なんだから あっちに 泣きついてみたらぁー それに、その高校も落こったら 後は無いと思いなさいよ! その時はどん底よ! わかってる?」
「・・・」私は、言葉が出てこなかった。
「ここのお父様とお母様には お母さんから 今まで お世話になったこと、お礼を言います 出て行くこともね だけど、その先は あなたがお願いに行きなさい 水島の家にでも その仲間の家にでも お世話になったらー? 山本さんもその覚悟はあるみたいよ! 好きにすれば良いわ お母さんの言うことを聞かないんだから、それくらい ひとりで出来るわよね!」 突き放したような言い方だった。私は、もう見放されたんだと思っていた。
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