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妖精のサイヤ人

作者:貝殻
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第十五話:伝説の超サイヤ人!!ナッパ!!

 
前書き

 サイヤの日の前のなので頑張りました…え?これぐらいなんてことないだろって?堪忍なぁ…。

 サイヤの日に主人公が覚醒できたらいいなあ…こちらにとっては縁起いいんだけどなぁ…。
 はい、きついので無理です。とりあえずノれそうだったらやります(??)

 それと結局次回が破綻してしまったので作り直しました。あとがきも変更してあります。
 (8/31) 

 
 目の前の人物を吹き飛ばすために駆け出した。
 何故この男が生きているのか、何故この世界に居るのか、様々な疑問が浮かんだ。
 しかしそんなことはコイツを倒して皆を救ってから考えればいい!!
 その想い一心でネロはナッパの前へ瞬時に移動してナッパの顔面を捉えて拳を撃つ手前。

 ナッパが驚いた表情をするも楽しそうに凶悪な笑みさえも浮かべて――ネロの拳を受けた。

 「!?」

 「だ、旦那―――ッ!!」

 ネロに殴り飛ばされたナッパに小物の男が悲鳴を上げるのを構わず、又してもネロの思考は疑問で埋め尽くされた。
 焦る思考と目的、どちらを取るかと言えば、今は目的だ。
 雑魚と思っていた男がわざと殴り飛ばされたのなら、今がチャンスだ。

 「なんで…いやそれより…どけぇっ!!」

 「ひぃっ…ギャッッッ!!」

 「な、なんだきさ――ひぇっっ!!」
 

 ナッパ以外は大した魔力を持ち合わせた者がいない、ネロは慣れ親しんだ魔力()がこの男たちの後ろの馬車にあることを到着する直前に感知していた。
 瞬間的に最大まで魔力を高め、後ろの馬車から出てきた者たちですら反応できない速度で回し蹴りで一周するように片付けて目的の馬車に入る。
 馬車の中は周りで泣き疲れたように眠る子供たちと、会いたかった妹分。
 
 「エルザ…!!」

 駆け出せば紅色の子、エルザは気絶から意識を取り戻す。
 
 「――ネロ…お兄ちゃん…?」

 「オレだ!兄ちゃんだ!大丈夫か!?」

 絶望の光景で意識を失っていた少女にとって、今目に映る兄の姿を信じていた。
 帰ってくるって、手紙に書いていた――だから信じた、助けに来ると。
 そして、ほら今助けに来てくれている。

 「ネロお兄ちゃんだ…夢じゃない…?もう、怖いの終わる…?」

 「終わる…終わらせにきたんだ!もう大丈夫だ!!」

 「よかった…怖かったよぉ…!!」

 もうその言葉だけで、エルザは救われた。
 漸く、悪夢のような出来事が終わると思い、あふれ出る涙を抑えきれず目の前の兄に抱き着くことで不安な気持ちを消そうとして服の袖を掴もうとすれば――
 

 「――なるほど、テメーがここに来たのは家族が居たからなのか」

 「ッ!!…反応できてたからそんな気がしてたけど…効いてねーようだな」

 「ぐははは!あんなへなちょこなパンチで痛がる歳じゃねえぜ?」

 険しい顔で後ろに立っている男――ナッパへと振り返るネロ。
 ナッパは唯々楽し気に凶悪な顔を愉快と言わんばかりに歪ませる。
 
 「…わりぃ、エルザ。ちょっと倒してくる」

 「お兄ちゃん…大丈夫なの?あの人…なんか…違う…」

 「!ハハッ、エルザお前って…修行したら強くなるぜ絶対に」

 「…本当?」
 
 「本当本当、これが終わったら、オレと修行するか?」

 「!うん、したい…怖いけど、ネロお兄ちゃんと一緒に強くなりたい」

 「嬉しいこと言いやがって…んじゃ約束な」

 エルザは直感で、ナッパという男を危険視した。
 他の大人たちとは明らかに纏う空気が――別種となっている。
 その空気を感じ取れたエルザにネロは驚き、そして嬉しそうに笑ってしまう。
 自身を慕う妹分の可能性を感じ取れて、そしてささやかに感じる''次の平和''を思い浮かんでエルザの頭を撫でて――ナッパへ視線を移す。
 平和に過ごす少年の顔ではなく、戦士としての顔で睨みつけて。

 「外でやろうぜ、この子たちを巻き込みたくない」

 「フンッ、構わねえぜ。今のオレさまは気分がいい」

 馬車の外へ出るナッパに続きネロも出ようとする――そんなネロにエルザは思わず手を伸ばし――そして力抜く下した。

 なんとなく、嫌な予感を感じてしまうのを振り払うように首を振り、せめてこの馬車に居る子供たちを逃がそうと縛っている縄を解こうと行動するのだった。



 ★★★★★★★


 「――アンタだろ、村をあんなに壊したのは」

 ここに来るまで、まるで人数が少ないとネロは感じていた。
 海岸まで歩いている中、ネロは前に歩く男に己の疑問を問いただす。
 
 「雑魚どもの人数が少なかったからな。適当に焼き払って適当にあそこのアリ共を片付ければ、あとは雑魚どもの仕事だ」

 「…なんとも思わないのかよ、あの人たち、そして親と離される子供たちのことを」

 「――合点と来たぜ。その髪色もそうだが、テメーはハーフのサイヤ人だな?」
 

 瞬間的であるが、ナッパから膨れ上がる気を感じてネロは思わず身構えてしまう。
 サイヤ人とは本来、侵略などで人の生死などどうでもいいと考える氏族だ。
 戦いの中で生き、闘いの中で死ぬ。
 そんな常識だからこそ、猶更どうでもいい人間たちがどう考えていても、どうでもいいのだろう。
 ――純粋なサイヤ人であれば


 (この目の前にいるナッパから発せられる(魔力)…オレの方が強いけど油断できねえ…!格上のはずの俺が殴ってもピンピンしてやがる…!! オレってば初期のベジータより強い気でいたけど…勘違いだったか?それとも…ナッパ自体が強くなってんのか…!?)

 「チッ…だがサイヤ人の血が流れているんだ!仲間に違いねぇ…なんていうんだ!ガキッ!!」

 「ネロ、ネロ・ハバード」

 「ネロだな?覚えたぜ!へへ…オイ、オマエもオレさまに付いてこい」

 「…なんだって?」

 ネロを混血と見抜いたときは不満そうであったが、それでもナッパは構わずネロに気やすく語り掛ける。
 同類の仲間に接するような感覚で笑みを浮かべて。

 「オレと付いてこれば、いいことしかねえぜ?前の世界もよかったが…この世界はメシも美味しく娯楽も盛り沢山だ」

 「――」

 「そして何よりも…オレと付いてこれば鍛えてもいいぜ?見るからに、おまえは強くなるのが好きみたいじゃねーか、あのガキと一緒に拾ってやってもいいぜ」

 「――ふざけんなよ、お前たちのせいでエルザの、みんなの村があのありさまだ…。あんなことした張本人にのこのこと付いていくほど、ガキじゃねーぞ」

 気分よく提案していたナッパにネロは額に青筋が立てる程の堪忍袋の緒が切れていた。
 今なら''伝説‘’に覚醒できるんじゃないのかという程の腹に据えかねるのを感じて尚対話をするのは、目の前の男の正体を知りたいからだ。

 「おまえの話を聞いたことがある。確かサイヤ人の王子に殺されたって聞いてたが――!?」

 怒りを耐え忍びながらぶっ潰す前にナッパの生存の謎を知りたかったネロが、目前のスキンヘッドの大男からあふれ出る‘’パワー‘’を前に頭が冷静になった。
 確かに、ネロが口にしたのは皮肉めいた言葉だろう。
 目の前の男が死んだのなら、苦い思い出として顔に出るのかと思ったら――それ以上の反応が出た。

 「テメー!!ベジータのこと知っているのか!!!!」

 思わず大地が揺れているんじゃないかと錯覚するほどの圧にネロは冷や汗を浮かべた。
 内心は怒りとかがいっぱいだったはずなのに、''野生の勘''から脅威的な危機感知が鳴り響いて忙しい。 
 目の前の男は――自身以下と思っていた男は――まさか。

 「それなら仲間にするのはナシだ!!!テメーとあのガキが死にたいと思わせる程の苦しみを味合わせてやる!!」

 

 ナッパからあふれ出る稲妻と、金色のオーラが膨らむ。
 前世にもあったようなその光景――しかし。

 「光栄に思うんだな!!テメーに''伝説''を見せてやる!!」

 「!!」

 「フリーザのクソ野郎をも殺せる力だ!!ぐがあああああ!!!」

 「ま、まさか…ありえねーだろ!!?」

 「があああああああああああ!!!!」

 まさか…成れるのか!?

 この男が今しようと――成ろうとしているのは、彼が成れない筈の‘’変身‘’だ。
 そして、ネロが今まで目指してた‘’変身‘’――それは。

 「ば、かな…!!」

 金色のオーラが爆発し、視界を埋め尽くすほどの逆光に目を瞑ったが、次に目を開けた瞬間に口を大きく開ける程驚愕してしまう。

 「…(スーパー)サイヤ人…!!!」

 スキンヘッド故に判断しにくいが…ナッパは確かに変化した。
 黄金の毛、そして翡翠の目。
 髪の毛がなくとも判断できる見た目――そして、自身を大きく超える魔力量。 

 「なんだ、知っていたのか…さて…こいつはあいさつがわりだっ!!!」

 ネロが反応する前に、今度はナッパの拳がネロの顔面を捉え――吹き飛ばした。
 吹き飛ばされたネロの身体は森の木々を壊しながら突き抜けていく。

 「くくっ…挨拶だけで終わりか…もう死んじまったかな?」

 凶悪に笑う超サイヤ人は、ただ酔いしれるように笑った。
 さっきまで同胞を見つけて嬉しそうな顔をしていたというのに、今はさっきと反対に親の仇を見つけたような目をしていた。
 凶悪な形相に浮かぶのは憎悪の目。

 「チッ…やっぱりこの世界は変だぜ。本来ならこの星も吹き飛ばす程の威力のはずだがなぁ」

 「――今のが、星をも破壊できる一撃かよ…」

 「!!」

 聞こえた声の方向には、殴れた頬を抑えながらペッと血を吐き出してナッパを睨みつける少年が居た。
 
 「おもしれえ…テメーもなかなかのタフじゃねえか…フリーザと戦えるかもしれねえな」

 「それはどーも…」

 やられたと思っていたガキの健在にナッパは鼻で笑う。
 
 「さっきの一撃もそうだが、(スーパー)サイヤ人でもねーのにやるじゃねえか…この際だ、ベジータの場所を吐いたらてめーとあのガキを助けてもいいぜ」

 「知らねーよ…王子がこの世界に居るかなんて」

 ネロはボロボロになった上着の道着を脱ぎ捨て、両手を解すようにストレッチする。
 目の前の男は確実に自分より強いのだろう、だがそれでも。

 (抵抗できない程の差じゃない…修行を続けてよかったぜ)

 「そうかよ…まあいい。せっかくだからこのまま続けようぜ…楽しませてくれよガキィ!!」

 「やれるだけのことをやってやる…‘’10倍界王拳‘’…!!!」

 黄金のオーラを纏ってこっちに向かってくるでかい身体を迎え撃つように腰に力を入れ、全身に赤いオーラを吹き荒らして目の前の脅威に抵抗する。


 「だああああああ!!!」

 「がああああああ!!!」

 赤と黄金が衝突して――周りはその衝撃波で吹き飛ぶ。
 近くにとまっていた馬車たちも、馬たちが生存本能によりその場から逃げようとするが起きた教団の人間たちがなんとか宥めようとした。

 「ひぃいい!!頼むから落ち着いてくれよ!!」

 「おい、こっちも頼む!!言うこと聞かねえんだ!!」

 「なんだ今の音は…おい戻るぞ!!逃げたガキどもはいい!これ以上逃げたらもっとやべえ!!」

 
 

 「…戻っていく?何かあったのかな…」

 「おいエルザ何やってるんだよ!!逃げるぞ!!」

 「私、一回戻る!みんなは逃げて!!」

 「は!?お、おい!!」

 何人か逃げた子供たちの後を追おうとした教団の者たちも、衝突音で驚いたのか、海岸の方へと向かっていき、何人かの子供たちが逃げていく中――エルザだけは来た道へと戻る。
 嫌な予感と共に、何故か――兄にもう会えなくなる気がしたから。

 





 「がはははは!!(スーパー)サイヤ人でもないのにやるじゃねーか!!」

 「けッ…さすがは噂の伝説サマだ…‘’10倍界王拳‘’でかかっても余裕か…!」

 地上から空中戦へと移行した二人の戦いは他の人間を寄せ付けない程の規模へと変わっていた。
 拳が衝突する度に空気が荒れ、互いの放つエネルギー弾で地上にいる者たちは流れ弾で吹き飛ばされる。
 ここに手練れた魔導士が居れば自身の身を守れるが、海岸にいる教団の者たちは等しく実力は一般人に所有(ホルダー)系の魔法を配られただけで、大した援護もできない。
 ――したところで、命がないのだろうが。

 「退屈しねえガキだ!!面白くなってきたぜ!!」

 「!!ま、まさか…''20倍''だ―ッ!!!」


 グンッ!!中指と人差し指を上げたナッパに対してネロは何か察したのか、今よりも界王拳の倍率を上げて海の方まで上空で超スピードで飛ぶ。
 そして――ネロの居た空中を中心とした広範囲を衝撃波で爆発する。

 「くそっ…!!」

 その場から退いた筈のネロにまでその爆破が届き、身体の前に両手を持っていき耐えるような姿勢を保つ。
 そして爆発が収まった時、ネロは界王拳を一度解除して息を吐く。

 「はあ…はあ…何とか耐えれた…!!!」

 「なるほど…これも耐えるか…丁度いいサンドバッグになれるな!!ネロ!!」

 「…きついな…こりゃ…フンッ!!」

 息を整えて、再び界王拳を発動する。
 今までは10倍で抵抗していたが、今度は20倍。
 20倍界王拳は、今のネロにとって限界の域で出せる倍率。
 これ以上出そうものなら、以前セイラ戦のように動けなくなる事態になってしまう。
 今回はネロ一人、また以前の様にネイルたちが助けてくれるわけじゃないことを、4年前助けてくれた時に教えられた。
 そして、今傍に、ライバルが居ない。
 これだけでも、今のネロにとって心もとない。
 今無茶した自分を支える人間は、いない。

 (だから20倍界王拳でなんとか…やるしかねえ)

 (大猿の力を一緒にできたらと思ったけど…理性の利かねえ形態じゃコントロールが必要な界王拳は使えねえ…なら、今引き出せる最高の20倍でやるしか…ねえ!!)

 「作戦会議は終わったか?それも全部、超サイヤ人であるオレさまの前じゃ無意味だろうがな」

 「…そいつは、やってみないとわかんねーぞ」

 「フッ、生意気なガキだ!!」

 再びこちらに殴りかかるナッパにネロは集中力を上げ、ナッパの攻撃を避ける。
 ナッパから放たれるマシンガンのような速さの拳の数々を間一髪に躱し。
 時折横から放たれる蹴りを全身の力を片手一本に集めて受け止めも尚、痛む腕。

 「くっそ…手が捥げると思ったぜ…!」

 「がはははッ!よく耐えるぜ本当に!!」

 天津飯の気持ちが分かった気がする…と一言を零してネロもナッパへ仕掛ける。
 ナッパは油断しているのか、ネロの攻撃を軽く首を動かすだけで避ける。
 まるで目を閉じても見えると言わんばかりの余裕の表情だが――ネロのニヤリとした笑みを見て疑問を抱き――頭上からの攻撃を直に食らう。

 「おっ!?」

 「へっ!残像拳だ!!まだまだ行くぞ!!」

 「…ハッハァッ!!まぐれが当たったぐらいでよォっ!!」

 どうやら正面に残像を残し、攻撃していたかのように見せて本体は後ろで両手を組んで振り下ろす――頭に叩きつけるダブルスレッジハンマー!!
 そして赤いオーラを纏い更に加速し落ちていくナッパに続けて仕掛けるが、ナッパは口をガパッと大きく開けるのをネロは目視した。

 「!!しまっ!!」

 「があああああああ!!」


 「うわあああああっっ!!」

 ナッパの口から放たれるエネルギー波を防御することもできず向かっていたネロはそのまま光に飲みこまれていく――。

 そんなネロたちの戦いを、教団の人間たちは首を大きく開けて観戦していた。
 
 「な…なんだありゃ…あの二人、本当に人間か…?」

 「…怖い…あいつら、バケモンだ…」

 「…ガキはともかく、あのデカブツは有名だ」

 下っ端たちの元に、大きく腫れた頬を抑えた小柄な男が歩いてきた。
 その表情は苛立ちを浮かべながら黄金のオーラを身に纏うナッパを憎々し気に見つめて。

 「あっしでも名を知っている…最近闇市場で名が広がり始めた傭兵のサイヤ人でさ」

 「サイヤ人…?しかし、ここ10年では他の闇ギルドでサイヤ人が接点としていた村が滅びたのでは…」

 「生き残りが居ても変な話じゃねえでしょー、まぁあの脳筋野郎は出身じゃないらしいが…ん?」

 男たちが会話しているその中、ソレを見つけた男はにやりと笑う。
 その視線の先は――木で身を隠していたであろう、紅色の髪の少女が呆然と上空を眺めていた。


 「おい、捕まえろ」

 「へ、へい!!」

 




 「か…め…は…め…波っ!!!」

 「チッ、忌々しい技だ…オラッ!!」

 「!?片手で突き進むのかよ!!」

 20倍までに高めた界王拳で繰り出されるかめはめ波、しかしナッパは右腕に全身の力を纏わせ、ネロのかめはめ波をその右手で受け止めながらネロへ突進する。
 ネロは全身の力を振り絞って、かめはめ波で押し返そうとするが、力の均衡はナッパの方に傾けた。


 「オラァッ!!」

 「ぶッ…!?」

 そしてナッパの振り抜けたその拳はネロを捉え、さっきまでいた海岸まで吹き飛ばした。
 
 「ぎゃああああ!!降りてきた!!」

 「慌てるな!!」

 上空から落ちてきたネロに怯える教団の下っ端に小柄な男は喝を入れる。
 そして、煙から現れたネロを見つけてはただ不敵に笑みを浮かべる。

 ネロのいる所まで、ナッパも降り立つ。
 この闘いによってか、ネロだけじゃなくナッパも全身に傷ができていた。
 纏っていた鎧もボロボロと崩れており、今はパンツしか履いていない。
 傍から見たらもはや変態の不審者である。

 「へへ…超サイヤ人じゃねえくせに強いな…益々オレと一緒に来てもらいたくなったぜ…」

 「く…クソ…やっぱり強いな…ソレ…!!」

 「安心しろよ、おまえにも変身させてやるぜ?オレの仲間になりゃな」

 「伝説の超サイヤ人様に誘われるなんて光栄だ…なんて、ローズマリー村を襲わなかったらもっとマシだったけどな…!!」

 「チッ…そんなに嫌かよ」

 「嫌に決まってんだろ!!恩人の仇にホイホイと着いていくやつがいるかよ!!」

 「…それもそうか」

 思うところがあるのか、いや思うところしかないのだろう。
 ベジータですら、自身の故郷である惑星が爆発した原因を知っているのだ。
 そのベジータと長く一緒に居たナッパも、故郷である惑星ベジータの最期を知っているのだろう。
 そしてその惑星ベジータを破壊したであろう、自身の上司のことも。

 「なら力づくでも連れていくぜ…安心しろよ、ツレのガキも連れてってやるから寂しくねえぞ」

 「嫌だって…エルザに手を出してみろ…ぶっ飛ばすぞ!!」


 「――エルザって、この小娘のことかな?」

 二人のサイヤ人の会話に、第三者が割り込んできた。
 彼らがそこを見つめれば…小柄な男と下っ端である男たちに捕まっている、俯いている少女。

 「え、エルザ…!!逃げたんじゃ…!!」

 「なんのマネだチビ…!!オレの戦いにケチ付ける気か!!」

 「ナッパの旦那…よく考えてくだせえ…今は''お仕事の時間''…遊びなんて連れて行った後ならいくらでも、デショ?」

 「……なるほどぉ…言いてえことは分かった…」

 「へへ…理解が早くて助かっ「フンッ!!」…てェ…ァッ…」

 得意げに話をしていた小柄な男――ナッパの手によって頭を掴まれ、握りつぶされた。
 勢いよく溢れる赤い液体―――血は教団の者たちとエルザにもかかり、彼らは呆然とする。

 「な…ナッパさま何を…」

 「うるせええええ!!オレの戦いの邪魔をしやがって…」

 「…アンタ…っ」

 慌てる下っ端たちにナッパは怒り心頭と言ったと様に、血走った翡翠の目で睨みつけた。
 
 「…チッ余計なことをしやがって…!!さっさとそのガキを離しやがれ!!」

 「ひ、ひぃいいい!!わ、わかりましたぁッ!!」

 「え?えっ…?あ、頭が…!いやあああああ!!」

 ナッパの言う通り、下っ端たちはエルザを離し一目瞭然とその場から離れていった。
 急に離されたエルザは俯いてた顔を上げて涙目で周りを見て、頭がなくなった小柄な男だった遺体を見て悲鳴を上げる。
 そんなカオスな状態を見て呆然としていたネロだったが、泣き出すエルザを見て駆け出そうとすれば、巨大な体が正面に来てその行動を妨害する。

 「まぁ待て。オレとの勝負が先だろうが…後にしろ」

 「…!畜生…せめてあのグロデスクを…」

 「しょうがねえな…」
 
 軽く人差し指にエネルギーを集めたのかと思えば、首なし死体にそのエネルギーが直撃して燃え出すではないか。
 その焦げる匂いと共に更にエルザが泣き出した。

 「い、イヤアア!!お兄ちゃん…怖いよォッ!!」

 「え、エルザ―ッ!!」

 「…面倒くせえガキどもだ…たくよ」

 こんな状況にさせた超サイヤ人のスキンヘッドの一言にネロは苛正しくなるも、とりあえず状況を変えないといけないので、全力でエルザを慰めることにするのだった。

   
 

 
後書き
 ハバネロ「ええ…?」
 エルザ「うえええええん」
 スキンヘッド「めんどうくせえ」
 ハバネロ「いやお前が原因だからな?あとあのチビのオッサンのも」
 モブ「チーン」

 なんでこうなったのさ…そして文章ェ…もうカオスやん…。


 ★ナッパの超サイヤ人化
 ゼノバース2でキャラクターのカスタマイズとか先生のカスタマイズがあるんですが、ナッパの場合は主人公の先生になることがありまして。
 そして、その先生がカスタマイズで超サイヤ人になれんですよね…。
 ナッパですらなれるんだからターレスとかゴクウブラックも超サイヤ人にしてくれないかな…ない?そうっすか…。

 ★わざわざ戻ってきたエルザ
 逃がせるだけの人数の子供たちを逃がした後、衝撃音で再び海岸まで戻ってきた。
 そのせいで人質にされたりするも、キレたナッパのおかげで無事(?)に救われる。
 子供たち?ああ、一人ぐらいエルザが心配で取り戻しに来ますとも。
 もちろん、彼が戻ってきますとも。

 ★なんで20倍界王拳と50倍強くなる超サイヤ人が互角みたいになってんの?

 そこはネロとナッパの通常時の力量さが出てきてるから。
 通常スタイルでやればネロが勝ちます。

★ナッパの仲間意識原作よりも高くない?
 この世界で過ごしていくうちに寂しくなったか、サイヤ人に会うと今作のナッパは喜びます。
 とある、二人のサイヤ人を除いて。

 二人のサイヤ人
 1ベジータ
 2カカロット(似てるやつも同じく)

 ★現在のレベル

 ※ナッパLevel23~ナッパ(超化)28Level
 何気に超化できたことで、暇があればずっと変身していたとか…本人もなかなか飽きないから自然と通常状態も強くなったとか…。
 中級戦士がなんで正解に導き出せてるんだよ…。下級戦士も同じ?…そうですね!!

 ※絶望の未来編のセル(完全体) Level34

 ゲームを当てに戦闘力をLevelで区別しようとしてたら魔人ベジータが完全体セルに負けていた件について…ま、まぁ…トワの力でパワーアップしていただけだし…。
 …え?人造人間編の悟飯の超2と変わらないって?
 ……はい、以前言っていた表、真剣に作りますね…ハイ。

 次回予告!

 禿髭「…楽しませたお礼だ、サービスしてやる」
 ハバネロ「なんだ…何かが変わって…!?」
 禿髭「決着だぜ、ガキ!!」
 ハバネロ「く。くそ…てかプロット変わってねーか!?」

 「「次回!妖精のサイヤ人!!」」

 『第十六話:敗北…囚われの身』

 ハバネロ「…なんか次回予告変わってない?」
 エルザ「また貝殻って人が書き直したみたいだよ」
 シモン「てか…凄く嫌な予感がする…大丈夫なのか?」

 ???「また見てくれ」




 
  
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