妖精のサイヤ人
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十四話:ローズマリー村の終焉
前書き
冒険って言うならちゃんと冒険させろや、なんて思いながらも早くこのままだと原作が30話とかになってしまいかねないという焦りでついつい飛ばしてしまった冒険回。
ハバネロがラクサスとクエスト中で張り合ったり、ラクサスがナツみたい(原作じゃありえない)にギルダーツに突っかかるような活発さを出したり、イワンが異常性を表して息子をドン引きさせたり、カナとかグレイがギルドに加入する時を描いたりとか、マカオとワカバと一緒にヤベーバルカンから全力逃避したりとか書きたかったけど…文章がね?
まぁそんなの置いといて、ギルドに入った次の話でローズマリー村の終焉をどうぞ。
わたしからおまえたちに教えることは何もない。
教える以前に気と魔法の使用する流用が違うからな…いや、肉弾戦でもいい?そうか。
なんだ?ネロ。‘’気‘’について学びたい?…やめた方がいいだろう。
今のおまえは、魔力でわたしと似た流用で闘っているが、そもそも間違いなのだ、その使い方は。
いいか、‘’気‘’とは内なる力のコントロールと放出が基本でもある。
しかし、魔法はコントロール以前に、内なる力をイメージして、そして自身の本質を捉え、変質等して漸く身に着けるものだ。
中には自身に宿っている属性を知ることで魔法を覚えやすくする者もいるが…確か以前、セレーネから聞いた話、後天的に属性を手に入れる者も居るらしい。
アースランドの‘’未来‘’にも一人居るようだが…おまえたちもいつか会うことがあるだろう…。
…随分詳しい?…敵のことも理解しなくちゃならないからな…わたしも、魔法を覚えたさ。
元々似たようなことができる…気もな。
…ほら、よくわからんだろ?わたしも実際、奥がよく理解していない。
肉弾戦の練習ぐらいしてやる、ネロはよく休んでおけ。
それか、セレーネから魔法を教わってみたらどうだ?…なにせ、アレでも‘’神‘’だからな。
さて…長話になってしまったが、かかってくるがいいーーーマカロフの孫よ。
おまえも‘’先祖‘’と同じく正史から外れた者だ、格段に強くなっても構わんだろう。
★★★★★★★
「はぁ…!はぁ…っ!」
少女は逃げる。
何故自分が逃げているのか、何に逃げているかはっきり解らない。
しかし、自分の育ての親が自身や他の子供たちにとにかく逃げろ、村から出ろしか言われていない。
「な…なにが…なんでこうなっているの…!?」
村から出るか、静かになるまで隠れてなさいと、シスターに言われるがまま足の速い子は逃げ、遅い子は森か隠れられやすい場所に向かう中、エルザは教会の近くで隠れていた。
今日という日は、彼女が「兄」と慕う少年が教会に帰ってくる日である。
ルザは兄を出迎えたくて隠れていた――その行為は間違っていたと知っていたにもかかわらず。
隠れていた…自分が育てた協会に''見覚えのない大人''たちが入り――、自分たちが外を眺めるときに使っていた窓に''赤い何か''で汚れるまでは。
''ソレ''を見た瞬間、エルザは駆け出していた。
どこに走っていたかなんて決めていない。
ただ思いのまま足を動かして――そして赤く燃えるローズマリーの村を見つめた。
「ーーー!!」
―――赤い何かで濡れている大人たちが倒れ―――
―――教会に入っていった怪しい大人たちと同じ格好の者が泣く子供を殴り―――
ーーー助けて、助けて、と泣き叫ぶ子供と、子供に手を伸ばし、力尽きる大人ーーー
そこは、かつてと遊んだ村とは思えない程、激変した場所になっていた。
現実と思えないその光景は確かに、幼きエルザの心に罅を入れるのに十分なものだった。
★★★★★★★
「は…?」
ネロがローズマリーに到着した頃は、既に賊どもが荒らし終わり、村から離れた時だった。
手に持っていたお土産として獲った巨大な魚を握る力が弱まり、放してしまう。
茜色のサイヤ人は目の前の光景に呆然とし、受け入れられずに空へと跳躍して村全体に目を通した。
「なんだよ…何が起きたんだよ…!!」
そこから目に入るのは、死体と崩れた瓦礫。
もはや、以前のローズマリー村の面影は皆無に等しい程に荒れた状態だった。
「…!!みんな…っ!!」
次に目に入ったのは、少年が一時期に厄介になった教会ーーー荒れ果てた教会。
気が付けば白いオーラで加速して地上に降り、教会の中に入ろうとしたら入口らしき場所が崩れ、完全に入れなくなってしまう。
「…くそ…!!クソッ!!魔力が…みんなの気が感じねえ…!!…いや、村の外から何人かの魔力を感じる…避難している…?」
ネロは悪足搔きを込めて生存者の‘’気‘’、魔力を感知しようとして、思わぬ収穫を得た。
生存者が怪しい状況から、微かな光明を得たとばかりに行動に移し、近くに感じる魔力へと加速した。
その魔力へと向かえば、その魔力の発生源主と思われる存在は村の民家に置いてある樽から発せられている。
その樽に隠れていられる程の大きさ的に子供が入れそうなサイズ。
「まさか…エルザか!?」
ネロの脳内には後ろについて着たり、早く帰ってきてよと手紙というを送ってくる少女の姿が過った。
ギルドに入ってからも、偶にはこのローズマリー村に帰っては一緒に居ることが多いその少女はネロにとっても、妹のような存在だ。
最近口うるさかったり、初めて会った時より真面目になっていったが、とてもいい子で自慢な妹分である。
きっと、あの子の日頃の行いとかで被害に遇わずに済んだのだろう。
無意識にそう願った、思った。
そうであれば、と思い樽の蓋を上げれば――
「ひぐっ…ひぐっ…!!」
思っていた少女と違う、前髪を水平に一直線にした黒い髪の少女が膝を抱えながらこっちを怯えた目で見上げていた。
「お…まえ…は…」
どこか見覚えがある、そうだ村の子供たちと遊ぶときに一緒に居た気がする。
確か、歳が近い兄と一緒に居た子だ。
名前は――
「だ、大丈夫か…今ここに居るのはオレだけだから出て大丈夫だぞ」
躊躇いがちにそういうと少女はこっちをちゃんと認識したのか、しかし恐怖の色は拭えない。
それほどのことが――いや、村を見た時に理解できることだろう。
きっとこの子は、それを目の当たりにしたんだろうと。
「もう怖くないから、ほら――」
「――イヤッ!!」
少女に安心してもらおうと手を差し伸ばせば、少女は反射的にその手を叩いた。
自身よりも力の弱いはずのその子に叩かれた手が、ジンジンとないはずの痛みを教えてくる。
本来なら痛くないはずの手を抑え、深呼吸して戸惑う自信を抑えるように息を吐く。
「ふぅ…ここで何が起きたんだ?教えてほしいんだ」
「う、うう…うぅ…」
「お願い、教えてくれ」
何の根拠もない言葉を吐く、しかしそれを吐く内なる気持ちに嘘はない。
自分に、力があるのだから。
「ひぐっ…助けて…くれるの…?」
救いを求める声、しかしその声は自身に対してではなくまるで別の誰かの救いを求める声。
自身の力のなさと情けなさと恐怖で一杯の気持ちであろう気持ちを押し殺して少女は問う。
「――やれるだけのことをやる。だから、教えてくれ」
少女を見つめる真剣なネロの黒い眼を見つめ、少女は荒れた自分の感情が少し和らぐの感じた。
そして、目の前の少年を見て思い出すのは、嘗てこの村で遊んでくれた顔見知りであることを。
自身が、助けようとした自身に手を差し伸ばしたその手を、恐怖で一杯だったことで叩いてしまったことを思い出し、すぐに謝罪する。
「おてて…叩いてごめんなさい…」
「いいんだよ、それ程の目に遇ったんだから」
仕方ないよ、と安心させるように笑う少年を見てたら、さっきの出来事を思い出す。
目の前の少年と同じように、こちらを安心させようとした少女の笑みを。
「ネロ…お兄ちゃん?だったよね、よく追いかけっこしてた――」
「ってことはやっぱりお前、カグラか。確かシモンの妹だったよな」
「う、うん…お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃんをね…探してたの――」
少女は教えた。
「――そうか」
自身が兄を探していたことを。
「大変だったな」
村が激変していたことを。
「怖かったな」
沢山の人々の叫び声が。
「辛かったな」
そんな人々の叫び声に反し、嘲笑う声が聞こえていたことも。
「――――」
そして、自身を樽の中に隠した、勇気ある紅色の髪の少女のことも。
「――ははっ、無茶したなあ、アイツ」
優しい子だから、そういう無茶しちゃいそうだな、エルザ。
そしてきっと、本人も怖かったのだろう、泣きたかったんだろうと考えると、ネロは後悔した。
自身が、お土産を獲らずに真っすぐに早く村に着いていれば…と。
「ご、ごめんなさい…何もできなくて…」
「謝らなくていいんだよ、カグラはまだまだチビなんだから」
大雑把に少女の頭に手を伸ばそうとし、罪悪感を感じながらもその頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でる。
全く遠慮がない、しかし元気つけるように強く、優しい力が伝わってくる。
少女は再び見上げ、目にするその笑みは、自分を助けてくれた少女のような優しい顔。
「あとは任せてくれ」
何をやるか、もう決めた。
その行動が正解ではなく、蛮勇だろう。
しかし、今動かなければもっとわからなくなる。
話をしてる間も、魔力探知を続けて漸く掴めた何百人の魔力。
覚えのある魔力もあった。
「もしオレが戻らなかった場合は、オレの所属しているギルドに行って保護してもらえ」
ネロは自身が所有している通貨であるジュエル等が入っている革袋を少女に渡した。
少女は躊躇いがちに不安そうな目でネロを見るが、ネロは大丈夫だと少女に言った。
「そのギルドは、優しい人がいっぱいだから面倒ぐらい見てくれるさ」
「だ、大丈夫なの?ネロお兄ちゃん…危ないよ?」
「平気平気――オレは、妖精の尻尾の魔導士だぜ?それも戦闘種族だ」
「――ちょっくら、わりーやつらをぶっ飛ばしてくらぁ」
★★★★★★★
「いやー大魚ですなぁ!これも全て、旦那のおかげですぜ!!」
「ふん…」
「これなら十分に‘’塔‘’の設立に役に立ちやすぜぃ…!私もこれで偉くなった際、旦那への報酬も増やせるってもんです!!」
「…チッ!次はもっと骨のあるヤツがいるとこにしろよ。こんなつまらん仕事はカンベンだぜ」
「へ、へへい!!」
子供たちが乗っている馬車を引き連れていく者たちの先頭に、他の馬車より値のある馬車に乗った小柄な男と大柄な男が会話が人際大きく聞こえた。
「いいか!!テメーら‘’ゼレフ教''は、オレさまをもっと強くすることができるというから協力してんだ。…ブレインの野郎の勧めでもあるから今回付き合っているが、こんな下らねー仕事をもう一回させる様なら今度はテメーらが建てている''楽園の塔‘’とやらを、島ごと沈めるから覚えておけよ」
「わ、わかりました…」
小柄な男は自身より圧倒的にでかいスキンヘッドの男の言葉に怯む。
この大男の言葉通り、一つの島を沈めさせることができるような気がするのは気配勘からなのだろうか。
特殊な鎧を身に纏み、腰に巻き付けている''猿の尻尾''を横目で見ながら小柄な男は馬車を前に進ませていく。
そろそろ海岸に着くところに、大男の眉を顰める。
「この気配…」
「?旦那?どうまし…」
「とまれ」
「…え?」
「いいからとまれ。死にてえのか?」
「い、いえ…止まりやす!!おめえら馬車を止めろぉおおお!!」
小柄な男から出るとは思えない程大きな声で続いていた全ての馬車たちがとまる。
そして、大柄な男は首を鳴らしながら馬車から降りて、前へと歩いていく。
「だ、旦那?一体何が…」
「追手がきてんだよ、わからねーのか」
「は、は?追手……もしや評議会!?こんな早く…」
小柄な男が最後まで言葉を言う前に、彼らの前に少年が降り立つ。
「…ほう?おまえ、サイヤ人か!」
「…アンタはっ…」
正史にない戦いに本来ないはず邂逅。
目の前の大男を目の当たりにしたネロは、あり得ない人間を見る様に男を直視してしまった。
その恰好、その姿、そのスキンヘッドにその髭――その声に。
「ここで会うとはなあ…!へへ…コイツァツイているぜ…」
大男の腰に巻き付いている尻尾を見て確信した。
その男は、別の世界では既に亡き者となっていた、サイヤ人の生き残り。
「このナッパさまが面倒を見させてもらおうぜ…ガキ!名前はなんていうんだ!!」
ネロに衝撃を与えるのに、十分すぎる存在であった。
後書き
なんでこんなに文章多めにやっているんだろう…誤字も多いし…今度はもう少し減らしてやっていこうと思います。
★ネロ、教会へ文通を行っていた。
この四年間、ギルドに居たし新たな''家‘’となったので手紙を送ることにしたそうです。
なお、届いたときにエルザから「また会いたいから帰ってくれ」という手紙が届いたからダッシュで帰った模様。シスコンかよオマエ。
★カグラ、シモン。
2話で登場した子供たちの一人です。同じ出身らしいですし、これぐらいはええかなって…
気になる人は大魔闘演武編を読んでください。面白いのでおすすめです。
★エルザの心に罅
原作だとエルザ、故郷であるローズマリー村の思い出が少なかったから今作では色々盛りつけました。オリキャラのシスターとかは盛り付け役です。出番は終えたので退場しましたが。
思い出があまりないのは、その時のローズマリー村の最後を見て精神が一回壊れて記憶をなくしたんじゃないかな、とか妄想した結果こんなことになっちゃいました。
が、ネロという兄が居るので今作は記憶が失うとかはナシです。
ただちょっと精神のメンタルはまだ強くないのでこれからはより苦しむ可能性大です。
違うんだ…こんなボロボロのエルザが見たいわけじゃ…違うんだ…くっ!!
次回予告!
ネロ「なんでナッパが居るんだよ…!でも、戦闘力的にオレの方が強いはず…」
ネロ「早くコイツを片付けて、子供たちを解放してギルドに帰るんだよ…!!」
ネロ「圧倒して終わるかと思ったその時、またも信じられない展開が起きてしまう」
ナッパ「ベジータを殺すまでくたばるか!!見せてやるぜ…この世界に来て強くなったオレさまをよ!!」
ネロ「なんで…お前がソレに変身できるんだッ!!!」
「次回、妖精のサイヤ人」
『第十五話:伝説の超サイヤ人!!ナッパ!!』
エルザ「イヤ…イヤアア!!お兄ちゃん…ッッ!!」
ページ上へ戻る