ハッピークローバー
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第百二十一話 どう違うのかその四
「黒人でも」
「あの国黒人だしね」
「ソロモン王とシバの女王の子孫の人達がいるから」
「凄い大昔からのルーツね」
「それでね」
「その人達が黒人で」
「ユダヤ教徒だから」
即ち同胞であるからだというのだ。
「救助したけれど」
「同時に人種差別もあるのね」
「そうなのよ、アフリカ系だとね」
「差別されるのね」
「そうなの」
この現実が存在しているというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「何処でも差別あるのよ」
イスラエルの娘は留奈に難しい顔で話した。
「一枚岩って思うでしょ、イスラエルって」
「同じユダヤ教徒だからね」
「それでもよ」
「そうした問題あるのね」
「ええ、難しいのよ」
これがという顔で言うのだった。
「本当にね」
「実際に難しい問題なのがわかったわ」
留奈も難しい顔で応えた。
「色々あるのね、そちらも」
「ええ、嫌な話よね」
イスラエルの娘はこうも言った。
「同じ様でいてね」
「差別があるなんて」
「お肌の色なんて」
「どうでもいい筈よね」
「あんた結構野球で黒人の人応援してるわね」
「いい選手だったらね」
それならとだ、留奈は迷いなく答えた。
「もうね」
「それでいいわね」
「黒人でも白人でもね」
人種に限らずというのだ。
「活躍してくれたらね」
「それでいいのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「一人ふざけるなっていう人いたわね」
イスラエルの娘に実に嫌そうに話した。
「黒人の人で」
「阪神の助っ人で」
「グリーンウェルっていうけれど」
「ああ、あの」
イスラエルの娘もその名前を聞いてはっとなって応えた、そして留奈に対してこんなことを言ったのだった。
「国際詐欺っていう」
「そう、高い契約金と年俸出してね」
「中々来ないで」
「そしてね」
そのうえでとだ、留奈は忌々し気に話した。
「やっと来たのよ」
「ゴールデンウィークによね」
「それで来てね」
「やっと」
「そうして打ったら」
「すぐに帰って」
「引退したのよ」
こう言うのだった。
「もう伝説よ」
「阪神の歴史に残る」
「本当に言われてるから」
「国際詐欺って」
「そう思うでしょ」
「訴えられなかったのね」
「そうならなかったわ」
イスラエルの娘に答えた。
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