八条学園騒動記
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第七百四十話 スポーツ新聞とタブロイドその十一
「下手な犯罪者よりもだ」
「悪質な連中よね」
「間違いなくな」
「そうした連中だから」
「それでだ」
「あたし達も警戒してね」
「関わらない様にしないとな、そして犯人だったなら」
その時はというと。
「絶対にな」
「容赦したらいけないわね」
「そうだ、ただ連中の様に偏見や悪意はな」
こうしたことはというのだ。
「禁物だ」
「それは絶対にね」
「連中の様になると駄目だ」
テンボはまた断言した。
「探偵はな」
「探偵は立派でないとね」
「人間としてな」
「あのドドンゴ警部も」
ドーバー警部である、兎に角人間として駄目過ぎて嫌われ者という設定が印象的なコメディ系探偵である。
「そんなことしないしね」
「ミセス=マンザイもな」
マーガレット夫人である、ゴシップ好きで有名である。
「ゴシップは好きでな」
「意地悪なところがあるけれど」
「それでもだ」
「タブロイドみたいじゃないわね」
「下劣さと醜悪さはな」
「その人達にはないわね」
「ドラム警部もな」
テンボはドーバー警部をこう言い間違えた。
「確かに問題のある人だが」
「嫉妬深くて怠け者で意地悪で」
「そうした人だが」
それでもというのだ。
「悪意に満ちたことは言い回らない」
「嘘まで吐いてね」
「そしてよからぬことを煽動したりしない」
「偏見を言い募ったりね」
「だからだ」
そうしたことはしないからだというのだ。
「探偵でいられる」
「そうよね」
「人間としてだ」
「タブロイドまで卑しくなると」
「終わりだ、人間の底すらだ」
それまでもというのだ。
「ぶち抜いてな」
「とことん卑しくなった」
「そうした連中がだ」
「まさにタブロイドで」
「反面教師にしないとな」
「あたし達はね」
二人でこう話した、そしてスポーツ新聞を読んでいった。そこには健全な大衆性と猥雑さが存在していた。
スポーツ新聞とタブロイド 完
2023・11・16
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