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金木犀の許嫁

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第五話 引っ越しの時その十一

「実は」
「それ言うと私も」
 夜空は夜空で告白した。
「結構ね」
「俺好みなんだ」
「その外見も嫌いじゃないわ」
 こう告白した。
「私も」
「そうなんだ」
「ええ。けれどそうしたことは」
「夜空さんがしたいなら」
 佐京は今度はこう告白した。
「それなら」
「する?」
「どうしようか」
「そ、そうね」
 夜空は顔を赤くさせたまま佐京に答えた。
「じっくり考える?」
「今はしない」
「ええ、私はちょっとね」
「そうしたことは苦手なんだ」
「苦手というか経験ないから」
「俺もないし」
「交際したこともないから」
 誰かと、というのだ。
「そういうことはじっくりと」
「進めていく」
「そうしていく?」
「それじゃあ」
「いや、十代の男の子ってね」
 実は女の子もと思いつつだ、夜空は言った。
「凄く興味あるわよね」
「そうしたことについて」
「そうよね」
「俺今は嘘言わないから」
「それじゃあ」
「あるから」
 本当に嘘を言わなかった。
「俺も」
「それもかなりよね」
「そう」
 その通りだというのだ。
「それで一杯になる時も多い位」
「そうよね、それが自然よね」
「そうじゃないと人類は続かないし」
「そうしたことに興味がないとね」
「だから普通。けれど俺達まだ高校生だから」
「やっぱり早いわね、じっくりとね」
 夜空は深く考える顔で言った。
「考えていって」
「そのうえで」
「やっていきましょう」
「うん、俺は夜空さんがいいって言わないと」
「いいのね」
「俺は強引にとかしないから」
 こう答えたのだった。
「安心して」
「そうなのね」
「同居していても」
 それでもというのだ。
「しないから」
「紳士なのね」
「紳士というか性格的に」
 こちらのことでというのだ。
「出来ないから」
「そうなのね」
「だから」
 それでというのだ。
「夜空さんがいいって言ってから」
「何か悪いわね」
「悪くないから。それにまだ本格的に知り合ったばかりで」
 お見合いしてから間もなくというのだ。
「お互いもよく知らないと思うし」
「お互いを知っていって」
「じっくりと知り合って」
 そうしていってというのだ。
「そのうえで」
「そうしたこともなのね」
「していけばいいと思う」
「そうね、これからね」
「同居をはじめて」
 佐京は静かな声で言った。
「そして」
「信頼関係を築いていくことね」
「そうだと思う。お父さんとお母さんに言われた」
 佐京はこう前置きして夜空に話した。
「夫婦は信頼関係」
「それがあってこそね」
「そうだって」
「そうね、それがなくなったらね」
「もう夫婦じゃない」
「やっていけないわね」
「だから」
 それでというのだ。
「一緒にやっていこう」
「二人でね」
「じゃあお父さんとお母さんを見送ったら」
「同居のはじまりね」
「関西新空港から行くから」
 自分と白華の両親はというのだ。
「だから」
「あちらまで行って」
「見送ったら」
「それで神戸まで戻って」
「一緒に暮らそう」
「その時からね」
 夜空は佐京に笑顔で応えた、そうしてだった。 
 校舎に戻るとそれぞれのクラスに戻った、そのうえで共に学校での日常の生活を過ごすのであった。


第五話   完


                2023・12・8 
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