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ハッピークローバー

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第百十七話 運動会が近付きその十

「日の丸弁当もね」
「本当はおかずが必要ね」
「何かしらの」
「そうなるわね」
「だからカレーライスとかハヤシライスはいいのよ」
 こうした食べものはというのだ。
「本当にね」
「お肉やお野菜がたっぷり入ってるから」
「だからね」
 まさにその為にというのだ。
「白いご飯だけはよくないからね、せめてお漬けものを乗せて」
 白いご飯の上にというのだ。
「お茶漬けにした方がね」
「いいわよね」
「出来るだけバランスよくね」
 おかずをというのだ。
「食べないとね」
「駄目ね」
「そうよ」 
 まさにというのだ。
「そこはね」
「ちゃんとしないと駄目ね」
「お野菜にお魚かお肉ね」
「本当にバランスよくね」
「お豆腐もいいし。うちの部活そういうのいつも言われるから」
 栄養バランスのこともというのだ。
「私も気を付けてるの」
「そうなのね」
「そしてね」
 かな恵は留奈にさらに話した。
「いつも顧問の先生が言うには天国で森鴎外に出会ったらぶん殴れってね」
「その脚気の人よね」
「白米にこだわってね」
 日露戦争でのことである、彼は軍医の高官として海軍が麦飯を導入して脚気の問題を解決してもそれを見ようとしていなかったのだ。
「陸軍さんに脚気の人を多く出しちゃったのよね」
「最低よね」
「それで顧問の先生さらに言うには」
「どうなの?」
「自分のお子さん達にキラキラネーム付けたはしりだから」
 ドイツ崇拝が過ぎてそうしたのだ、当時彼の命名はかなり言われた。
「余計にね」
「そっちの顧問の先生言うのね」
「先生名前は真面目にお子さんの人生を考えて」
 そうしてというのだ。
「普通のお名前にね」
「しないとっていう人なのね」
「だからね」 
 それが為にというのだ。
「そう言ってるの」
「そうなのね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「森鴎外が若くして名を挙げてエリート中のエリートで」
「そのことは事実よね」
 留奈も否定しなかった。
「今で言う東大医学部出て国費でドイツ留学してるし」
「それで小説家、翻訳家としても凄かったから」
「それでなのね」
「チートよチートっていう目をキラキラさせてる文学女子の娘がいたら」
「怒るの」
「怒らないでその実態をね」
 森鴎外のそれをというのだ。
「お医者さんとして、親として、食べもののこととか家庭のこととか爵位欲しがったこととか」
「全部言うの」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。 
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