おぢばにおかえり
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第七十九話 残さないことその十三
「あそこはおソースよね」
「あそこのカレーも大好きでして」
「ご飯とルーが最初から混ざってるわね」
「あれが大好きで」
それでというのです。
「難波に行くとです」
「よく食べてるのね」
「はい、それで生卵と」
自由軒のカレーにはこれが欠かせません、カレーの真ん中にあります。
「おソースで」
「食べるのね」
「はい」
「そうなのね、生卵もね」
「普段はカレーには入れないですが」
それでもというのです。
「あのお店ではです」
「そうして食べてるのね」
「そうです、あれが美味しいですよね」
私におぢばのカレーを食べつつ笑顔でお話しました。
「ですからあそこに行くことも好きです」
「そうなのね」
「それで今度先輩も」
私もというのでした。
「どうですか?カレーの後は善哉で」
「デザート?」
「はい、それで」
そうしてというのです。
「一緒に食べませんか?」
「それじゃあね」
私も頷きました。
「また難波に行ったら」
「二人で行きましょう」
「善哉もなのね」
「夫婦善哉に」
「夫婦じゃないのに?」
「あっ、観光と文学の勉強に」
何故か新一君は物凄く焦って応えました。
「それで。です」
「観光となのね」
「そうです、それと文学で」
「そういえばあのお店ってね」
「織田作之助の小説の舞台ですね」
「夫婦善哉ね」
「まさにタイトルにもなっていますね」
焦った感じを消してきて言ってきました。
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