博士の挑戦状
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第百十九話
第百十九話 紅茶を飲みつつ
博士は紅茶を飲みながら小田切君達にさらに話した。
「戦争は起こるものじゃ」
「どうしてもですか」
「色々な理由でな」
小田切君にこう話した。
「争うこともまた生きものの常じゃ」
「博士は戦いは否定されないですね」
「神々も争うであろう」
「神話読んだらそうですね」
「そして同じ生きもの同士でもな」
そうであってもというのだ。
「人間以外もな」
「色々な理由で、ですね」
「争う、だからな」
「戦争は否定されないですね」
「否定しても起こるものは起こる」
こう言うのだった。
「だからな」
「否定されないで」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「わしも戦う時は戦うが」
「関係ない人や生きものは巻き込まない」
「それは美学であるからな」
博士自身のというのだ。
「それでじゃ」
「博士としてはですね」
「あの戦争で犠牲になった無関係な人達やな」
「生きもの達にはですね」
「思うところがある」
「そうですか」
「だから今日もな」
刻茶を飲んでまた言ったのだった、飲んでいる紅茶はレモンティーでかなり甘くしてそのうえで飲んでいる。
「小田切君達を案内したのじゃ」
「慰霊碑にもですね」
「学問をしてな」
動物園の生きもの達を観てというのだ。
「そのうえでな」
「そうだったんですね」
「まあそれも学問であるな」
「戦争と犠牲の歴史ですね」
「それじゃ」
まさにというのだ。
「まことにな」
「そうですか」
「今日のことは覚えてくれたら嬉しい」
「忘れられないです」
小田切君が応えタロとライゾウも頷いた、そうして彼等もそれぞれの飲みものを美味しく飲むのであった。
第百十九話 完
2023・12・1
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