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神々の塔

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第五十七話 音楽の神霊その六

「完璧主義でいつも取り掛かる」
「そうした人やったんやね」
「音楽は常に頭にある」 
「それも第一やね」
「そんな人やったらしいな」
「努力家やったんやね」
「人一倍のな」
 そう言っていいまでのというのだ。
「そんな人やったわ」
「どっちが凄いか」
「それはな」
「言えへんやろか」
「そやろ、モーツァルトさんは天才で」
 彼はそうであってというのだ。
「作曲してへんと苦しい」
「それに対してベートーベンさんは努力家で」
「完璧主義でいつも音楽が頭にある」
「どっちが凄いか」
「わからんな、ただな」
「ただ?」
「お二人共今もよお聴かれてる」
 その音楽はというのだ。
「そのことはな」
「事実やね」
「そしてどちらの人も名曲が多い」
 そう言われてる作品がというのだ。
「そのこともな」
「事実やね」
「そのことはな」
「そやからどっちが凄いかは」
「言えへんな、ただどっちと付き合いたいか」
 シェリルもこの話に乗った。
「お友達ならええわ、私は」
「彼氏さんには」
「お二人共遠慮したいわ」
 そうだというのだ。
「神霊さんであってもな」
「色々ややこしい人達やし」
「そや、問題あり過ぎてな」
 その為にというのだ。
「ほんまな」
「どっちの人もやね」
「ええわ」 
 お断りだというのだ。
「絶対大変なことになるわ」
「そやね」
 綾乃も否定しなかった。
「結婚したら」
「悪人やないが」
 モーツァルトもベートーベンもというのだ、少なくとも二人共悪意のある行動を取る様な者ではなかった。
「しかしな」
「無茶苦茶やしね」
「改善することもないわ」
「そうした性格を」
「そんな人等かっていうと」
「どう見てもちゃうしね」
 資料に残る彼等の人となりを見ると、というのだ。
「そうやとね」
「お友達にはなれてもな」
「それだけやね」
「それでも苦労しそうや」
 友人関係であってもというのだ。
「あの人等は」
「破天荒過ぎて」
「芸術家は変な人が多い」
 シェリルは俗に言われる言葉を出した。
「そう言われるけどな」
「よお言われるね、確かに」
「これは俗に言われるだけで」
「人それぞれやね」
「普通と言ってええ人も多かった」 
 芸術家の中にはというのだ。 
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