神々の塔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十七話 音楽の神霊その四
「憐れむべき野獣やからってな」
「実際めっちゃ気の毒ではあるな」
「そやな」
「どうもな」
「色々あってな」
「大変やったさかいな」
「しかし言い過ぎやろ」
施はこうも言った。
「どうにも」
「それはな」
シェリルも否定しなかった。
「そうとしか言えんわ」
「そやな」
「その話は私も知ってるが」
今度はリーが言ってきた。
「ベートーベンさんは人付き合いが下手過ぎる」
「コミュ能力ないな」
「世間知らずでもあったみたいやしな」
「我も強過ぎてな」
「中々上手に生きられん人やったな」
「そやったわ」
まさにというのだ。
「あの人は」
「そうやな」
「そしてな」
その結果というのだ。
「亡くなった時も言うた」
「諸君拍手を、やな」
「喜劇は終わったってな」
「いや、その喜劇とやらには続きがあるわ」
ここでこう言ったのは芥川だった。
「あの人は悪人やなくて曲がったことはせんかったからな」
「天国に行ったな」
「その音楽でよおさんの人感動させてるしな」
芥川はさらに話した。
「しかもCDやコンサートで多くの人の収入にもなってる」
「善行積んでるな」
「そやからな」
ベートーベン、彼はというのだ。
「天国に行ってる」
「間違いなくやな」
「あの性格では」
芥川はここでこう言った。
「つまりな」
「天使さん達にもああやな」
「天使さん達に癇癪起こしてふんぞり返って気難しくて頑迷や」
しかもどれもが極端なレベルである。
「確実に遠くから見たらな」
「喜劇やな」
「そしてこの世界でもな」
「神霊さん達でな」
「この塔にもおるさかいな」
だからだというのだ。
「こっちの世界でもや」
「喜劇をやってるか」
「遠くから見たら面白いな」
「近くやったら台風やね」
綾乃はこう話した。
「ああした人って」
「言われてみたらそやな」
施も否定しなかった。
「そうした人はな」
「そやね」
「ほんまにな」
それこそというのだ。
「台風やな」
「それもかなり大きな」
「そやな」
「それで自覚してはって」
ベートーベン自身もというのだ。
ページ上へ戻る