仮面ライダーディケイド　本当の自分自身

「その中の最強の存在であるジョーカーだ」
「ジョーカーは世界を破滅させる存在だ」
「そう、まさしくな」
「それがわかっていてだというのか！？」
「如何にも」
　言いながら爪を出す。それでクウガを切り裂かんとする。
　だがクウガはそれをロッドで受けてだ。何とか防いだのであった。
　そして防いでから。そのロッドで反撃を浴びせながらまた言ってみせた。
「御前は世界を破壊することが望みか」
「それこそが大ショッカーの意志」
　彼もまた言うことは同じだった。
「ならばそれも当然のことだ」
「違う」
　しかしここでクウガは言った。
「それは違う」
「何が違うというのだ？」
「俺も士の言葉を聞いてわかった」
　まず彼のことを言ったうえで、であった。
「スサノオは世界を破壊することは望んではいない」
「戯言を。征服か破壊か」
　ジョーカーはそのクウガの言葉を嘲笑いながら否定した。
「それこそが我が大ショッカーの行動だ。それ以外に何がある」
「わかった。遊びだ」
「遊び？」
「そして観察だ」
　彼が言うのはこの二つだった。
「スサノオが望み行っていることはこの二つだ。征服と破壊じゃない」
「どうやら貴様とはこれ以上話すことも闘うことも無駄なようだな」
　ジョーカーの言葉に明確な怒りと焦りが浮かんできた。５２
「死ね」
「いや、俺は死なない」
　クウガは今の言葉も否定した。
「死ぬのはジョーカー、貴様だ」
「私を倒せるというのか？」
「倒せる、見ろ！」
「むっ！」
「これが俺の今の力だ！」
　こう言ってであった。アルティメットフォームになってみせたのだ。だがその目は赤いままである。
　そしてその姿でだ。あらためてジョーカーに言うのである。
「この力で貴様を倒す！」
「いいのか？クウガよ」
「何が言いたい！」
「その姿になってだ」
　アルティメットフォームになったことを言ってきたのである。
「それでもいいのか？」
「俺がこの力に取り込まれることか」
「そうだ。それでもいいのか？」
「それはない」
　だが彼はこう断言してジョーカーに返すのだった。
「俺はもうこの力に取り込まれることはない」
「何故そう言える？」
「俺は変わった」　　
　まずはこう言ってみせたのである。
「心も変わった。もう力に取り込まれることはない」
「だからだというのか」
「その通りだ。だからジョーカー」
　またジョーカーに対して次げてみせる。
「貴様をこの力で。倒す！」
「むっ！？」
「これがアルティメットフォームの力だ！」
　この叫びと共に全身から炎を出してみせたのである。その力こそだ。
「それか」
「そうだ、この力でだ！」
　跳んだ。そうして。
　その右足で思いきり蹴ってだ。それで決着をつけた。
　蹴りを受けたジョーカーは吹き飛ばされ大地に叩き付けられた。何とか立ち上がるがそれでも致命傷を受けているのは明らかであった。
「ぐっ・・・・・・」
「これが俺の今の力だ」
　ここでまた言うクウガだった。
「俺はもう人の心を失わない、絶対にだ」
「そう言える理由はわかった」
「ジョーカー、例え貴様がまた出て来ようともだ」
「ふふふ、そうだな」
　ジョーカーは足元をふらつかせながらもそれでも言ってみせてきた。