仮面ライダーディケイド 本当の自分自身
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第十二章
「わかった」
「わかってくれたんだ」
「死ね」
今度は一言だった。そうしてである。
不意に巨大化しその下半身が蛇のものになる。そうして腕が四本生えだ。巨大な姿で宙に浮かんでディエンドを見下ろしてきたのである。
「この姿になっては貴様に勝ち目はない」
「そうだね」
「では何故私に変身させたのだ?」
「確かに普通にやったら僕では勝てないね」
それはわかっているという口調だった。
「けれどね」
「けれどか」
「そうさ。どんな存在でも弱点はあるんだ」
こう言うのであった。
「そう、どんな存在でもね」
「何が言いたい?」
「それは君にもある」
言いながらまた銃を構える。己の上に浮かぶそのアルビノジョーカーに対してだ。
「フォーティーン、君にもね」
「戯言だな。私に弱点なぞあるものか」
「じゃあそれを確かめようよ。こうしてね」
言いながら射撃を放った。するとであった。
それは彼の眉間に命中した。それで決まりであった。
「うっ・・・・・・」
「そう、どんな存在でも弱点はあるんだ」
ディエンドはまたこう言ってみせた。
「そういうことなんだ」
「私に弱点があったとは・・・・・・」
「生きている存在なら絶対に急所がある」
弱点を急所と呼んでみせていた。
「そう、兄さんも君が苦しんでいる時を見たと言っていた」
「あの男がか」
「兄さんに教えてもらったんだ。それが役に立ったってことさ」
「不覚か、私の」
「不覚だね。けれどそれ以上に」
「それ以上に?」
「慢心だね」
この言葉を出してみせたのである。
「君の慢心だよ、敗北はね」
「それだというのか」
「その通り。僕は巨大化して欲しかった」
「それは何故だ」
「的は大きくなれば狙いやすい」
言う言葉はこれだった。
「だからね」
「そういうことか。どうやら私は」
「そうさ。引っ掛かったんだよ」
にやりと笑ってみせた。声でだ。
「僕の罠にね」
「ぬかったか・・・・・・」
「じゃあ安心して死ぬといいよ」
声はここでも笑っていた。
「そのままね」
「おのれ、ディエンド」
「また出て来るかも知れないけれどその時も相手をしてあげるよ」
そのまま消えていく彼に悠然と告げる。ディエンドは見事な勝利を収めた。
クウガはジョーカーと闘っている。その獣そのものの凄まじい攻撃を防ぎながら己もそのロッドで巧みに闘う。しかしその中で彼はジョーカーに対して問うのだった。
「何故だ」
「何故とは?」
「この世界のジョーカーは人間になった」
相川始のことである。彼は既に人間となり仮面ライダーカリスとして戦い続けている。そのことを言うのである。
「しかし貴様は何故だ」
「人間!?そんなものには何の興味もない」
『この』ジョーカーはこう言うのであった。
「私はジョーカーだ。それ以外の何者でもない」
「アンデットだというのか」
「そうだ」
これ以上はないまでに疑念のない返答だった。
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