八条学園騒動記
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第七百三十五話 コアラとカモノハシその八
「だからな」
「それで、ですね」
「科学はそれからも進歩するのだ」
「それこそ人類が続く限り」
「二十世紀の科学と今の科学は違う」
大尉は言い切った。
「現代の科学の方が遥かにだ」
「発展していますね」
「進歩している、だが二十世紀の科学でだ」
「全てを語り」
「無神論を言った者もいた、もっと言えばだ」
大尉は話を続けた、語るその口調は学園の中に入ってこれまで話している中で最も冷たく軽蔑しているものだった。
「十九世紀初頭の時点の知識でだ」
「神を否定した」
「それがジャコバン派だ」
「あの過激派ですね」
「そうだ、彼等は自分達は正しいと思っていたが」
それでもというのだ。
「その実はな」
「違っていましたね」
「実は何もだ」
それこそというのだ。
「わかっていなかった、そしてだ」
「以後の無神論者もですね」
「科学万能と言ってな」
そのうえでというのだ。
「その時点の科学で全てを語り」
「神はいないとも言ったのですね」
「挙句創作の世界の未来の科学を否定する」
「未来はどれだけ進歩しているかわからないのに」
「そんなことで何がわかるか」
それこそというのだ。
「全くだ」
「わかることはないですね」
「そして神々の存在もだ」
「否定しますか」
「世界をよく見るとな」
「神々は存在する」
「生きものの進化を見てもな」
そうもしてもというのだ。
「わかる」
「そうなりますね」
「ある無神論者は自分の力だけで生きると言って」
そしてというのだ。
「日本の二十世紀末期の者だが」
「この国の」
「日本の皇室は否定するが着歌挑戦の世襲の共産主義は肯定した」
「その時点で救い様のない愚か者ですね」
上等兵も冷たい軽蔑の声で応えた。
「日本の皇室はエウロパではです」
「目の上のたん瘤だな」
「連合のものの中でもかなり」
「そうだな、だがな」
「はい、日本にとってかけがえのない」
こう言っていいというのだ。
「素晴らしいものです」
「皇帝であり何千年もの歴史を持つな」
「他にないものです」
「その皇室を否定してだ」
それと共にというのだ。
「あの国の世襲はいいとした」
「共産主義は世襲を否定していても」
「そうだった、しかも災害の直後でだ」
その時にというのだ。
「自衛隊を否定していた」
「不要だと」
「災害で活躍してもな」
「そこまで愚かなら」
どうなるかとだ、上等兵は言い切った。
「自分だけではです」
「まともに生きられないな」
「確実に道を踏み外します」
「事実おかしな活動家になったそうだ」
「やはりそうですか」
「これが無神論者のサンプルだ」
それになるというのだ。
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