X ーthe another storyー
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第五十三話 幸福その十七
「やっぱりね」
「そう思うか」
「私はね。それでね」
「だからか」
「よかったって思うわ」
「そうなのか」
「それで言うわね、最後までね」
またこう神威に話した。
「見させてもらうわね」
「笑顔になるまでか」
「皆がね」
「そうか、ならな」
「あと少し残るね」
この世にというのだ。
「そうするね」
「それじゃあな」
「うん、そういうことでね」
北都はにこりと笑って応えた、そうしてだった。
起きてから昴流にこのことを話した、すると昴流は微笑みになってそのうえで神威に対して話したのだった。
「そう、じゃあね」
「お姉さんをだな」
「笑顔でね」
それでというのだ。
「行ける様にするよ」
「そうするな」
「もうすぐ角膜を移植してもらえるけれど」
目の話もした。
「その目もね」
「北都さんのものだからだな」
「これからも姉さんのことを忘れないで」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「生きていくか」
「前向きにね」
こう言うのだった。
「そうするよ」
「そうすするか」
「そして皆も笑顔になるなら」
「昴流さんもだな」
「笑顔でね」
「生きるな」
「そうしていくよ」
神威に微笑みのまま話した。
「僕もね」
「そうするな、ならな」
「うん、前向きでいるよ」
「そうしていこう、俺もな」
「前向きにだね」
「明るく生きる」
神威も微笑んだ、そうしてだった。
自分達のこれからの話をした、その話も明るいものだった。
第五十三話 完
2023・11・23
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