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神々の塔

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第五十四話 八艘跳びその一

               第五十四話  八艘跳び
 迷宮の中を進みつつだ、リーは塔の中のマップを観つつ顔を顰めさせた。
「今度の神霊さん達も厄介やな」
「確か次は」
 中里はリーのその言葉を聞いて言った。
「源平の頃の源氏の人等で」
「義経さんもいてはるな」
「源義経さんやな」
「九郎判官さんな」
「あの人は強い」 
 中里はその名を聞いてはっきりとした声で言った。
「ほんまにな」
「そやな」
「身軽でな」
 それでというのだ。
「実にや」
「手強いな」
「それは間違いないわ」 
 こう言うのだった。
「あの人は」
「あと弁慶さんもな」
 義経に仕えている彼もというのだ。
「かなりな」
「強いな」
「どちらの方もな」
「強くて当然や」
 中里はリーに確かな声で答えた。
「あの方々はな」
「それで日本で知られてるな」
「弁慶さんは力は強くて」
 まずは彼のことを話した。 
「千の刀をな」
「集めてたな」
「五条の橋に立ってな」
「平家の武者から取ってたな」
「そうした人やった」
「それでその弁慶さんを倒したんが」
「義経さんやった」
 その彼だったというのだ。
「それもまだ子供の」
「牛若丸といった頃に」
「橋の上をひらりひらりと舞ってな」 
 そうしてというのだ。
「弁慶さんの攻撃をかわして」
「そして笛で頭を叩いて」
「それで勝ったな」
「見事な強さやったな」
「それを見たらな」
「弱い筈がないな」
「絶対にな」
 中里は断言した。
「あの方々はな」
「そやな、しかし義経さんは人気あるけどな」 
 施はそれでもとだ、どうにもという顔で言った。
「お兄さんのな」
「頼朝さんはやな」
「長男さんは人気あるけどな」
 義経の長兄にあたる者はというのだ。
「義平さんは」
「まあ頼朝さんは日本の歴史でも屈指のや」
「不人気さやな」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「あの人についてはな」
「ええこと言う人おらんな」
「少ないわ」
「お兄さんでもやな」
「暗いとか陰湿とかな」
「そうしたイメージあるな」
「どうしてもな」
 こう施に話した。
「あの人は」
「そやな、しかしああした人っておるで」
 施は頼朝についてこう言った。 
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