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八条学園騒動記

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第七百三十四話 猛獣以上の災厄その五

「あの女だ」
「あのお話は」
「脚色されているというがな」
 政敵で会ったハプスブルク家にだ、当時ハンガリー進出を狙っていたこの家にとってハンガリー土着勢力のバートリー家は目障りな存在であったのだ。
「だが若しだ」
「あの話が本当なら」
「数百人もの少女を殺したというな」
「それが本当なら」
「まさにだ」
 今話している通りにというのだ。
「悪人は猛獣より災いとなる」
「何処であっても」
「これまた何処まで本当かわからないが」
 大尉はまたこう前置きして話した。
「ジル=ド=レイもだ」
「青髭ですね」
「あの人物もな」
「猛獣以上の災いでしたね」
「数百人もの少年を殺したというが」
「若しそれが真実なら」
 これもまた諸説ある、彼を陥れんとしていた政敵の喧伝であるとだ。
「まさにですね」
「悪人はな」
「猛獣以上の災いですね」
「猛獣は餓えていないと襲わない」
 決してというのだ。
「鼬でもないとな」
「鼬は全て小さいですね」
「だからいいが」
 人間から見ればだ。
「鼬は周りの生きもの全てを攻撃するが」
「そうした習性を持っていますね」
「だが人間から見た猛獣はな」
「動物園にもいる」
「我々も観てきたな」 
 今日そうしてきたというのだ。
「彼等よりもな」
「悪人は災いですね」
「特に独裁者になるとな」
 悪人がというのだ。
「とりわけだ」
「災いになりますね」
「人類が宇宙に出てからはサハラに集中しているな」
「独裁者は」
「エウロパも連合もマウリアも民主主義国家でだ」
「そもそも独裁者はいないですね」
「悪人を当選させる場合もあるが」
 そうしたことがあるのも民主主義である。
「しかしな」
「それでもですね」
「落選もさせられる」
「その時にごねても」
 こうした事例もある、自分の落選を認めずその選挙は不正だのと言って支持者を煽って暴動等を起こしたりするのだ。
「そうしたことがあっても」
「それでもだ」
「民主政治はですね」
「悪人が当選してもな」
「落選させられますね」
「それが出来る、だがだ」
「独裁者になると」
「排除出来ずな」
 そうなってというのだ。
「それでだ」
「最も災いになりますね」
「こうした独裁者は暴君と言っていい」
「君主でなくとも」
「ネロは実は暴君ではなかった」
 このローマ皇帝はというのだ。
「彼なりに国歌や民衆のことを考えてだ」
「政治に励んでいましたね」
「実はそれなりに善政だった」
 このことはネロの死まで変わらなかった。 
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