八条学園騒動記
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第七百三十四話 猛獣以上の災厄その一
猛獣以上の災厄
二人は今度はコアラを観ていた、上等兵はユーカリの木のまたの部分に連なってしがみついている彼等を観て上等兵に言った。
「一つわからないことがあるのですが」
「何だ」
「日本の尾張星系の野球リーグですが」
「名古屋リーグと呼ばれているな」
「はい、そのうちのチームに二十世紀からある」
「ドラゴンズか」
「あのチームのマスコットですが」
これはというのだ。
「コアラですね」
「二十世紀の末かららしいな」
「龍二匹もいますが」
マスコットにというのだ。
「コアラがです」
「マスコットになっていてか」
「武蔵星系の千年連続最下位のチームですが」
「巨人だな」
「あのチームのマスコットは昔兎でしたね」
「今は巨人だけだがな」
そうなったというのだ。
「何でも連合中の兎好きから巨人なぞのマスコットになるとイメージが落ちると言われてだ」
「あのチームは邪悪な行いも多いので」
「それでだ」
その為にというのだ。
「クレームが殺到してだ」
「兎はマスコットでなくなったのですね」
「それで仕方なくだ」
「あの忌まわしい名前の語源になっている」
「巨人にだ」
まさにそれにというのだ。
「なったのだ」
「そうなのですね」
「もっと言えば千年連続最下位というが」
巨人が更新し続けている『大記録』である。その間常に勝率一割台防御率チーム打率ホームラン盗塁得点連合の野球チーム最低エラー三振併殺打最悪という素晴らしい状況にある。
「二十域世紀初頭からだからな」
「千二百年以上ですね」
「最下位であり続けている」
「有り得ないまでに弱いですね」
「そして悪事だけはだ」
尚これはこのチームが創設されてからのことだ。
「熱心にだ」
「行い続けていますね」
「だからな」
それ故にというのだ。
「あのチームについて言うことはな」
「ないですか」
「粕だ」
巨人はというのだ。
「まさにな」
「だからこそですね」
「言うことはない」
「その価値すらないですね」
「私にとってな、そしてだ」
大尉はさらに話した。
「中日のそのことだな」
「何故ドラゴンズなのにです」
「コアラが第一のマスコットか」
「私にはわからないのですが」
「それはだ」
大尉はその理由を話した。
「二十世紀末にあちらの動物園にコアラが来てな」
「大人気ですか」
「名古屋という街の動物園にな」
「名古屋は尾張星系の主要惑星ですね」
「星系の庁があるな」
「日本でも屈指の大都市ですね」
「その星の前身がだ」
「名古屋という街で」
「動物園も今はその星にあるが」
名古屋にというのだ。
「そして今もコアラがいるが」
「そのコアラが来てですか」
「あのチームのマスコットに選ばれてな」
そうしてというのだ。
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