ハッピークローバー
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第百十三話 野球の世界は広いその三
「デイリーと全く違って当然ね」
「デイリーはファンの人が書いてるからね」
「純粋に阪神が好きな」
「それで有名だしね」
「あそこはね」
「そうよね、ファンの人達が書く」
そうしたというのだ。
「純粋にね」
「阪神への愛情が出てる」
「そうした新聞だからね」
「読んでいて気持ちいいのよね」
「不愉快にならないのよね」
「そうよね、それと月刊タイガースも」
今度はこの雑誌の話をした。
「面白いのよね」
「まさに阪神の雑誌だからね」
「それでよね」
「愛情に溢れていて」
「いいのよね」
「私こっちも好きだから」
月刊タイガースもというのだ。
「よく読むのよ」
「じゃあそういうの読んでいけばいいわよ」
「ベースボールマガジンで満足出来ないなら」
「それならね」
「そういうことよね、じゃあ後でね」
一華はあらためて言った。
「デイリーとか読むわね」
「そうしてね」
「どうしても阪神のことばかり読みたいならね」
「デイリーとかに限るわよ」
「図書館で読むわ」
こう言って実際にだった。
一華は昼食の後は商業科の図書館に行ってまずは月刊タイガースを読んだ、そうして笑顔でこんなことを言った。
「女の子が読む雑誌じゃないかも知れないけれど」
「面白いんだね」
「阪神ファンにとってはね」
こう答えるのだった。
「凄くね、それでデイリーもね」
「いいよね」
「ええ、ただね」
ここで一華は隣の席を見て言った。
「寛君工業科から来てくれるなんてね」
「いや、一緒にお昼食べたから」
達川はデイリーを手に一華に答えた。
「だからね」
「それでなのね」
「時間もあるしね」
昼休みでというのだ。
「それでね」
「商業科に来てくれたのね」
「こっちの図書館にね。ただ」
こうもだ、達川は言った。
「商業科の図書館も工業科のと変わらないね」
「そうなの」
「大きさもある本もね」
そのどちらもというのだ。
「左程ね」
「変わらないのね」
「工業科でもデイリーあるし」
今手に持っているその新聞の話をした、当然家庭用である。
「月刊タイガースもあるし月刊八条リーグもね」
「八条リーグの雑誌ね」
「八条出版が出してるね」
八条グループの中の出版部門の主要企業である、様々な雑誌に単行本を出版している日本有数の大手出版社である。
「そちらもあるからね」
「そういえばあるわね」
一華はその八条リーグを見て頷いた。
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