八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百三十三話 フクロオオカミその十二
「言っているのだ」
「そうした国なのですね」
「そうなのだ」
「そうですか」
「失敗するなではない」
中にはそうした風に言う者がいるのも事実だ、こうした考えや主張もまたその人それぞれということだ。
「失敗からだ」
「学べ、ですね」
「そして実際にな」
「多くの成功と発展をですね」
「成し遂げている」
「そういうことですね」
「ローマは一日にして成らずだが」
大尉はこの言葉も出した。
「連合もだ」
「長い歳月をかけてですね」
「こうした国になりな」
「これからもですね」
「なっていくのだ」
「そうですか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「今我々は見ているが」
「何かと学ぶものが多いですね」
「そうだな、生きもの達を観てもな」
「左様ですね、しかし」
上等兵はここでもフクロオオカミ達を観て話した。
「肉食動物ですが」
「どうした」
「はい、あまり狂暴性はです」
「感じられないな」
「穏やかな感じですね」
「狼もそうだな」
この生きものもというのだ。
「フクロオカミというが」
「狼も実は貪欲でも残忍でもなく」
「最低限の狩りしか行わずな」
そしてというのだ。
「家族思いでだ」
「心優しい生きものと言っていいですね」
「そうだ、だからな」
「フクオオオカミもですね」
「さしてな」
肉食動物だがというのだ。
「狂暴さはだ」
「ないのですね」
「むしろある種の人間の方がだ」
「狂暴ですね」
「連合では学校に行けばよくいる」
この世界にというのだ。
「有り得ないまでに狂暴で残忍な教師がだ」
「生徒に過剰な暴力を振るう」
「アウトローの世界にもいるが」
それと共にというのだ。
「学校には特にな」
「そうした族が多いですね」
「連合ではな、そうした連中の方がだ」
「フクロオオカミよりもですね」
「遥かに狂暴だ」
「他の肉食動物よりも」
「当然カンガルーよりもな」
攻撃的な彼等よりもというのだ。
ページ上へ戻る