八条学園騒動記
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第七百三十三話 フクロオオカミその十一
「彼もまただ」
「失敗してきましたね」
「そうしてだ」
「あれだけの功績を残した」
「連合はその考えが強いのだ」
そうした国でもあるというのだ。
「だからな」
「失敗はですね」
「成功につながるならだ」
「いいとしているのですね」
「百失敗してもだ」
それでもというのだ。
「一の成功がだ」
「百の失敗を覆しますね」
「そうもなるからな」
「失敗はいいのですね」
「失敗しない人間はいるか」
大尉は言った。
「そもそも」
「いないです」
上等兵も答えた。
「そんな人は」
「そうだな」
「神話では神々も失敗しています」
「ギリシアのものは特にな」
「神は過ちを犯さないといいますが」
俗に人間達が言う言葉である、これは自分達が崇拝している神を絶対のものとみなしていることからの考えであろうか。
「しかしです」
「その実はな」
「神々も然りです」
「過ちを犯すな」
「神話はそうした話で満ちています」
ギリシア神話は特にそうだが他の神話でもそうした話は多かったりする。
「そうであるのならば」
「神々ですら失敗するならな」
「人間は尚更です」
「そうだな」
「人間は不完全な存在です」
上等兵は断言した。
「それも永遠にです」
「不完全な存在であるな」
「完璧になることは」
人間はというのだ。
「やはりです」
「それはないな」
「はい、そして」
それにというのだった。
「エジソンも然りですね」
「何度も失敗してな」
そうしてというのだ。
「多くの発明をだ」
「生み出しましたね」
「そうだった」
まさにというのだ。
「そうなった」
「そうでしたね」
「過ちを犯すのもだ」
「やはり人間ですね」
「そういうものなのだ」
「左様ですね」
「そしてだ」
さらに言うのだった。
「連合はな」
「失敗をですね」
「次の成功につなげよとだ」
その様にというのだ。
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