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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士

作者:涙カノ
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第51話 =最深部での戦=

 
前書き

すいません…内容を結構変えさせていただきました…
感想を下さっていた作者様方、本当にありがとうございます 

 


「……絶対に戻ってきなさいよ!」というユカからの叱咤激励を聞きながらゆっくりと死神に歩み寄る。この戦いは勝つ物じゃなくて生き残るもの…ということをしっかりと頭、心に刻み付ける…。


「キリト、勝つ必要はないぜ…」

「判ってる……時間稼ぎって事くらい…」

今回は強いやつと戦いたい、というバトルジャンキーにはなっていないキリトに安心した。「そっか」と小さく呟き左手の剣を逆手に持ち替える。《アバランシュ》を使った突撃方法とは真逆、今回は慎重さを求めた構えだ。
ようやく痺れを切らしたのか、俺たちを排除すべき敵だと判断したのかその巨大な鎌を俺の脳天に向けて叩きつけてくる!

『……来るぞ!!』

「判ってるっ!!」

順手に持った右の剣、逆手に持った左の剣を交差させ敵の攻撃に備える。後ろからキリトが自身の剣を交差させ重ねてくることに思わずニヤリと笑ってしまう。似たようで逆だけど、ユニークスキル使い2人でなら耐えられる!

「……だりぁっ!!」

キリトの分の筋力値が追加され、それをフルに使い大きな鎌を上へと弾き返す。

「行けっ、キリト!!」

「うぉぉぉ!!」

攻撃を跳ね返したことにより死神に一瞬だが硬直が課せられる。がその隙を見逃すはずも無く俺の肩を思いっきり蹴り、前へと跳ぶキリト。《ダブル・サーキュラー》で胸と思われる場所へとつっこんでいく。
すこしHPを削ったが約1ドット、死神は食らってもないかのようにキリトへとその鎌を水平に振りきろうとしていた。

「……せぃっ!!」

「サンキュ、リクヤ!」

逆手だった左手を元に戻し剣を十字に重ね重なった部分をその鎌に向けて打ち付ける。特殊二刀流ソードスキル《バーストラット》。超接近タイプのソードスキルだ。

「…旋桜花!!…からの、獅子戦吼!!」

剣を振り回す回転攻撃からの獅子の闘気を腹部にぶつける。普通、連続でスキル発動は不可能だがテイルズで使われている技なら可能だ。その分2つ目の威力が落ちることもあり、硬直時間が数秒長くなってしまうが…。こんな巨大な敵に硬直の長い技なんて無謀、死神も例外ではないようでその鎌を振り下ろしてくるがそれもアラウンドステップを利用し攻撃した後、横に逃れて距離をとる。

「…よっと!」

「らあぁぁ!!」

どうやらターゲットは俺らしく、その鎌を掬い上げるように鎌を振り上げる。それをバク転を使って避けてその隙にキリトが斬りかかっていた。…ステータスでこんなに動きやすくなるんだな…現実じゃ絶対に怪我するけど…。空中で体ひねりとか屋根と屋根飛び越えるとか人間離れした動きが出来るのは本当に不思議だよな~…。

「リクヤっ!!」

「…っ!?……がっ!?」

くだらないことを考えていると水平にその鎌を振ってくる。攻撃したのはキリトだからキリトに注目するかと思ったんだけど読み間違えた、ギリギリで攻撃を剣で防御するが上手く体勢が取れておらず後ろへ飛ばされHPも大きく削られる。

「痛……」

『…無駄なことを考えるな!今は目の前の敵に集中しろ!』

「言われなくても判ってるっ!!」

大切な仲間であり友達が戦ってる中数秒だってこんなところで寝ていられない、その意志で立ち上がり地面を思いっきり蹴る。

「ぜやぁぁ!!」

懐に飛び込み、その勢いのまま中段に一閃を与え、左で突きさらに右で斬り上げる。上位ソードスキル《アースマグニ》の始まりのモーションだ!

「うぉぉぉぉっ!!」

裏拳気味に左で斜め上に向けて一閃、その上で右と重ねて一刀両断する!さらに斜め上を狙い左で突いてその隙に上げていたオータムリリィを振り下ろす。チラッと見えたHPバーは《ダブル・サーキュラー》時よりも減ったが倒すには正直ほど遠い。

「アスナ!早くしろ!!」

「……せぃっ!!」

キリトの叫び声を聞く限りまだ皆は安全エリアには入っていないのだろう。今までの攻防が早すぎたのかサチたちがタゲられないようにゆっくりと移動しているのか…。多分両方だな。そう思いながら振ってきた鎌の横を叩き軌道をそらす。HPバーは黄色だけどポーション飲んでいる時間は無いに等しかった。

「…ポーチの中入れとけばよかった……」

「今更だろ…」

呆れられたがその通り、後悔したって仕方がない。十分な防御と避けに徹してチビチビと攻撃していこう。…避けって言っても
アラウンドステップの残り使用回数は1回。
親バカならぬ兄バカなのか1回使用したところユイに「すごいすごーい!」と感心され「もっとやって!」と言われてしまったの
で24時間で5回しか出来ないものを調子に乗って2回使ってしまったのだ。そしてさっきの1回でもう残りは1回という残念な結果
が今の状況だ。

『無駄話してる暇は無いぞ…』

「だ、そうですよキリトさん」

「なにがだよ…!」

ソラの警戒にも軽い掛け合いをしてるから多分ため息をついているソラが俺の中にいると思う。でも焦って動いたからってそれ
は死の危険が増えるだけだ。今までの経験上そうだったからあくまでリラックスを徹底する。自分の命が半分もない状態で落ち
着いていられるのはどっかおかしいかもな、やっぱり。

「…飲んどけよ」

「サンキュな」

準備万端だな、キリトは…と改めてマップ踏破率の最も高いソロプレイヤーに感心しつつもらった青いビンに入った飲み物を飲
む。うん、うまい…現実でもあればいいのに…。そのレモンの酸味がほんのりとする液体を飲んで少しずつHPが緑へと変化して
いくのを確認し一気に飛び込む。

「食らえっ!!」

二刀流共通のソードスキル《ダブル・サーキュラー》を死神にぶち当てる。が、思ったようにいい手ごたえは無くそれはHPバー
にも現れている。
グリームアイズのような馬鹿力系ボスではなくてこいつは結構頭のいいモンスターだと思う。俺とキリトの攻撃を防御、もしく
は必要以上のダメージを受けないように体をすこしだけ動かしている。そのせいで斬った感触や刺した感触が思いのほか手に伝
わらない。

「…っ…駄目か……」

大技しかない…か…?
そんなことを思いながら後ろを見ると先頭で動いていたシリカが安全エリアに入るのが見えた。あと少し時間を稼げば全員が入
るはずだ。

「…そろそろ、いいかな…」

「でも俺たちが今から下がったって追いかけてくるぞ…?」

キリトの言うとおり問題はそれだった。ジリジリと下がっているうちに向こうもジリジリと追いかけてくるのなら距離的に俺た
ちも安全エリアに入れて転移結晶で脱出できる。けどそれを許そうとはしなさそうなんだよな…中間くらいで一気に動いてきて
その後退すらも難しくなる気がする。

「キリト、一旦先に行け…」

「…なっ!?」

「大丈夫だって、たまには守らせろよ」

皆を守りたいってずっと思ってる俺も実際は全然だ。キリトには助けられてばかりだし、他もそうだ。助け助けられの関係を築
けているのはサチやユカなどの凛々の自由+アスナくらいだ。

「…一応俺も後ろについておく」

「うわぁ…信用無いな、俺」

キリトは信用していないのではなくただ単に心配なのだろう。今までだって何度も自分だけで抱え込む場所を見てきた。最初のあの第1層ボスの時、自分を悪のビーターと称し他の力のあるプレイヤーを守ったり…
心配するなって言いたかったけど無理だな…こりゃ。

「……だりゃあっ!!」

水平に跳ぶように地面から離れて死神の頭らへんに一気に跳びかかる。それを許すはずも無く死神は巨大な鎌を振り下ろしてく
るがそれの一番威力のある刃の部分ではなく、それと繋がっている長い柄の中心部分を右で打ち上げる。
ほんの少しでも驚愕しやがれ…と思って左の剣を突き刺す。さらに両方に持った剣を上下、左右をなんども縦横無尽に往復させ
るように斬り刻む。まだ2、3回しか使ったことのない《グランバースト・クエイク》よりも上、最上位の特殊二刀流ソードスキ
ル《ザ・ルナティック》。このソードスキルを作った茅場なら他に表現するものがあるだろうけどこの技を使うときは脳が焼き
切れそうになるくらい意識を両手のみに集中してるから全然わからない。何せ25連撃という他の剣技ではめったに見ない連続斬
りだ。客観的に見ろって方が無理だと思う。放っているときのソラのアドバイスは『舞うように』だそうだ。

「うぉぉぉぉぉっ!!!」

そして24撃目、恐らく両手剣スキルでは最速の速さであろう突きで通り抜けざまに一突き、ラスと25撃目今来た道を戻るように
さっきとは反対の剣である左のキャリバーンで一気に貫く!!

「……行けっ!キリト!」

「わかった!!」

俺の掛け声にキリトが安全エリアに向けてすさまじい勢いでダッシュする。一瞬の後、俺も硬直が切れてキリトを追うように安
全エリアに向けて跳ぶ。

「…よし、いける……っ!?」

と、後ろを見たときには死神の姿は無かった。前から俺の名前を呼ぶ声がするがその姿は見えない。



なぜならその死神は俺の目の前にいて持っている鎌を振り下ろそうと天井近くまで上げているからだ。

「……マジか……」

死神はその鎌を威力無く振り下ろしてきた。それに対し今の俺は剣を抜いてはいるがあまりに突然のことだったため体が反応せずスピードを殺せない。
その速くもない鎌攻撃に対して俺が出来るのはキャリバーンとオータムリリィを交差しただけのあまりに甘い防御だけだった。
スピード云々の物理系の知識が取り入れられてるのか鎌に俺のスピードの分もプラスされて絶大な威力となってしまった。

「…ぐああぁぁ!!」

もちろん後ろに飛ばされてしまい、それと同時に剣を手から落とすというやってはならないことまでしてしまった。HPがすさま
じい勢いで減っていき空っぽ……になることは無く残り1ドットという極わずかだけ残った。
だが、すでに死神が次の攻撃をしようとニタリと笑っている。まるで「お前の運命は【死】以外にありえない」とでも言ってい
るかのように…

……やっべ…せっかく、かっこつけたのにな…このまま死ぬのかな…俺…もしそれが罪滅ぼしならいいかもな…ケイタやダッカ
ーたち《月夜の黒猫団》を見殺しにしてサチに悲しい思いをさせたんだ…。ユカにも心細い思いをさせちまったし……シリカや
リズにもいろいろと迷惑かけたしな……

目の前では「冥土の土産だ」といわんばかりに高く鎌を振りかぶっている。体はまるでソラが支配しているときみたいに俺の言
うこと聞かないし…

「…ソラ…動けるか…?」

『……悪い…お前のダメージもこっちまで来た…動けそうにない……』

絶体絶命ってやつか……最後の希望だったのにな……



「ユイちゃん!!」

「おい、ユイ!行くな!」

突然、キリトとアスナの悲痛な声がこの通路に中に響き渡る。その声に思わず驚いて安全エリア入り口の方を見るとユイがテク
テクと早走りでこちらに来ていた。

「……おい…ユイ!」

俺の警告にもユイは聞こうともせず俺と死神の間に立ちこういった…

「大丈夫だよ」と…












 
 

 
後書き
いつもみたいにオリキャラとの対談…という形は今回話にしたいと思います。
一応続けて微妙に変えた52話も投稿しようと思いますが…

このたびは自分の勝手な判断で前51話、52話を消してしまい申し訳ありませんでした。すべて自分の独断です。
ただこれの理由には自分の妄想が行き過ぎてしまった、ということがあります。自分の好きなキャラを出したい、オリキャラと戦わせて見たいという安易な考えを不特定多数の方が見られる場所に投稿してしまったのが間違いだと思って今回、一旦削除いたしました。

もしかしたら前の話のほうが出来がよかった!…などという方がいるかもしれません…その方には申し訳ありません…。この話も自分では「ちょっと…」という感想を持っています…が自分のない頭ではこれが限界です。

これからは自分の妄想が行き過ぎないよう、セーブしながら執筆作業を続けていけたらな、と思っております。
もしよかったらこれからも涙カノとその作品を宜しくお願いします…。 
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