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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その五十二

「終わった」
「そうですか」
「それでその方は、ですか」
「その事件に関わってしまった」
「そうだったのですね」
「その時は警視だったが」 
 その階級にあったというのだ、連合の警察の階級は中央政府も各国政府も警察長官をトップとしそこから警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長、巡査長、巡査となっている。尚上級試験や一種試験と言われるものを通過した者が昇進しやすいことは他の官公庁と同じだが実力次第で昇進が可能でスポイルズシステムが導入されていること連合ならではのことであるとされている。
「どうしようもない事件でもな」
「それでもですね」
「関わってしまった」
「そのことは運がなかった」
「そうなのですね」
「そうだ、他にもだ」
 挙げた二つのこと以外にもというのだ。
「兎角だ」
「運がおありでない」
「そうなのですね」
「その方は」
「そうだ、運がないとな」
 この要素がないと、というのだ。
「非常にな」
「問題がある」
「そうだというのですね」
「そのことは」
「運がある者は強い」 
 それだけでというのだ。
「やはりな」
「それは確かに」
「運は大きいですね」
「その要素は」
「現実として」
「歴史でもそうだった」
 人類のそれでもというのだ。
「やはりな」
「ですね、東郷平八郎にしても」
「あの提督がそうでしたね」
「運がいいということで連合艦隊司令長官に選ばれまして」
「実際に運がよかったです」
「たまたまだ」
 ガラサもその東郷平八郎について話した。
「先頭の艦艇の艦橋に直撃してな」
「そうしてでしたね」
「艦橋の乗員全員が昏倒しました」
 そうして指揮を執れる者がいなくなっていたのだ。
「そこで操舵手は戦死しましたが」
「右舷か左舷に倒れ」
「そして舵をそちらに切ったままでしたが」
「その艦は先頭にあった」
 艦隊のだ。
「それでだ」
「続く艦もでしたね」
「それに続きました」
「艦隊全体の動きがそうなった」
「そこにさらに付け込むことが出来た」
「実に運がよかったです」
「黄海海戦だったな」
 日露戦争の時のそれである。
「これでロシア海軍は敗れた」
「そうでしたね」
「あれは非常に運がよかったです」
「他にも攻撃を受けても自分だけ無事だった」
「そうしたこともありましたね」
「あまりにも運がよくてだ」
 それでだったのだ。 
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