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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その五十一

「結局だ」
「そのままですか」
「迷宮入りですか」
「そうなっていましたか」
「人が入ることの出来ない排泄物を溜める場所に人が入ってだ」
 そうしてというのだ。
「凍死していた」
「人が入ることが出来ない場所にですか」
「人が入ってですか」
「そして凍死ですか」
「そうでしたか」
「肥溜めの様な場所にな」
 その排泄物を溜める場所はそうした場所だというのだ。
「人が身体を屈めでようやく中に収まるが」
「中に入ることは出来ない」
「そうした場所にですか」
「何故か人が入っていて」
「そして凍死していたのですか」
「マウリア人が超能力か魔術を使ったというが」
 それでもというのだ。
「そうしたものを使った痕跡もだ」
「なかったのですね」
「超能力や魔術を使っても痕跡は残ります」
「そうしたエネルギー反応が残ります」
「そうなりますが」
「それでもですか」
「そうした反応はなかったのですか」
「一切な、どうしてそこに人が入ったのか」
 ガラサもこの事件について眉を顰めさせて話した。
「目的は何か」
「肥溜めに入るなぞ」
「今は余程僻地でないとないですが」
 開発及び開拓の時真っ先に電気と上下水道のことは行うからだ、人類の文明には下水道も不可欠なものになっているのだ。
「その様な場所に入るなぞ」
「相当変わった嗜好だとしか」
「その時点で」
「たまたまあったそちらに入ってだ」
 そうしてというのだ。
「死んだのか、だが出入口は汲み取り場所でだ」
「人が出入り出来ない」
「そうした広さでしたか」
「そうだったのですか」
「二つあったがどちらも縦十五センチ横三十センチでだ」
 それだけの広さでというのだ。
「被害者は身長二メートル体重百十キロだった」
「絶対に入られないですか」
「それだけの体格ですと」
「そもそもそもその広さで、です」
 縦十五センチ横三十センチでというのだ。
「人が入られる筈がありません」
「絶対に」
「小人ならともかく」
「人間では」
「絶対に無理だ、兎に角どうしてそこに入ったか入れられたにしてもだ」
 どちらの場合でもというのだ。
「どうしてもだ」
「わからない」
「どうしてそこにいたのか」
「そして動機は」
「全てですね」
「わからなかった、それでだ」
 その為にというのだ。
「この事件は今言った様に迷宮入りでだ」
「犯人はわからなかった」
「謎は一切解決しなかった」
「そうなのですね」
「完全に謎の事件としてだ」
 そうしてというのだ。 
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