ハッピークローバー
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第百十一話 チャックその十三
「色気はね」
「ないわね」
「そうよね」
「動きやすくて着やすいけれど」
「そっちはあまりないわね」
「パーカーのオーバーとかでもあるけれど」
理虹はこの服を思い出して話した。
「これも可愛い系で」
「色気はないわね」
「どうもね」
「そう思うとチャックはそうしたよさもあるわね」
「言い寄られたりされたくない時に着てもいい」
「動きやすくて着やすくて」
そしてというのだ。
「そうした服になるから」
「そうよね」
「チャックはいいわね」
「有り難いものね」
「何でもない様で」
日本人の感覚ではとだ、かな恵は話した。
「有り難いものね」
「そしてその有り難いものがある」
「幸せよね」
「そうよね」
「幸せって何でもない様なものが普通にあることかしら」
かな恵は考える顔で述べた。
「つまりは」
「そうかもね、少なくとも北朝鮮にいたら」
「不幸せね」
「その何でもない様なものがね」
それがというのだ。
「全くない国よね、北朝鮮って」
「食べものすらない」
「そんな国だから」
それでとだ、理虹も応えた。
「不幸せよね」
「不幸の極みよね」
「言論の自由とか人権とかは勿論ないしね」
「ないものばかりね」
「軍隊ばかりだしね」
「自衛隊はあってもね」
かな恵はこの組織は嫌いではない、むしろ好きである。恰好よくて災害が起こった等いざという時は自分達を助けてくれる存在だと思っている。
「あんなんじゃないし」
「馬鹿みたいにお金使ってね」
「日本そればかりじゃないし」
「どう見たって戦前の日本軍より酷いし」
「有り得ない位ね」
「あそこ大抵の人は入るか関わるか」
出生身分即ち階級による。それが悪いと入隊出来ず予備戦力にもなれずただひたすら虐げられるのだ。
「そうなるから」
「女の子でもね」
「無理矢理軍事訓練やらされるのもね」
「嫌よね」
「当然食べものないしね」
軍隊に入ってもだ。
「何か私達あの国のお話するといつもこう言ってるけれど」
「食べものがないってね」
「どうもインパクト強いからね」
「食べものがないってね」
かな恵も応えた。
「そのことが」
「それでお話するわね」
「そうよね」
「それで実際になくて」
その食べものがだ。
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