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ハッピークローバー

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第百十話 下着の素材その二

「ものは作ればいいでしょ」
「政府が決めた数だけね」
「それで質はね」
「考えてなくて」
「機械製品だと故障が多くて」
 テレビが爆発したという話もあった、品質管理まで考えていなかったのだ。
「それで他のものもね」
「質が悪かったの」
「食べものも」
 こちらもというのだ。
「お店の人が無表情でね」
「ただ作ったものを出す」
「味なんてね」 
 それこそというのだ。
「全くね」
「考えてなくて」
「一事が万事そうで」
 そうした感じで作っていてというのだ。
「下着の質もね」
「悪かったのね」
「もっと言えば服全体が」 
 下着に限らうというのだ。
「そうよ、チャックだって」
「これ?」
 一華はジャージのズボンを穿いてから上着のそれを見て言った。
「これもなの」
「なかったのよ」
 ケニアも娘は上着のそれを締めてから言った。
「日本程はね」
「そうなの」
「軍服のズボンだって」
 これもというのだ。
「チャックなかったのよ」
「そうだったの」
「そうよ、ボタンだったのよ」
 ズボンのチャックの部分はというのだ。
「それも士官なんていうね」
「立場ある人でも」
「軍服にチャックなくて」
 それでというのだ。
「着心地もね」
「悪かったのね」
「何か自衛隊の官品の制服って今一つらしいけれど」
 その着心地がだ。
「ずっとね」
「共産圏の軍服は質が悪かったのね」
「そうみたいよ」
「そうだったの」
「それで下着もってことよ」
「成程ね」
「それでね」
 一華にさらに話した。
「日本の服は仕立ても生地もね」
「いいのね」
「もっと言えばデザインもね」
 こちらもというのだ。
「まさか野暮ったい昔の面積の大きい下着とか着けたいとか思わないでしょ」
「見せるものじゃないけれど」
 一華はそれでもと答えた。
「やっぱりね」
「着けるならでしょ」
「それなりのをね」
「見えないところもね」
「お洒落しないとね」
「男の子だとね」
 それならというのだ。
「まあ別にね」
「トランクスとかボクサーなら」
「何でもいいって感じかも知れないけれど」 
 それでもというのだ。 
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