神々の塔
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第四十九話 悪魔が教えることその七
「考えていかんとな」
「あかんな」
「どうにもな」
「絶対と考えへんで」
「柔軟に考えていかなあかんな」
「結局あれやね。百人いたら百人の正義がある」
綾乃は考える顔になって述べた。
「そやね」
「吐き気を催す邪悪とかは除いて」
「どんでもない下衆とか極端な独善は例外として」
「そのうえで百人の正義がある」
「そう考えるべきやな」
「そういうことやね、そやから魔王さん達も正義やね」
悪とされる彼等もというのだ。
「そういうことやね」
「そやな」
「ほなそう考えてな」
「それでやな」
「ことを進めていくことやな」
「そうしていこうな、政でも」
こちらでもというのだ。
「法は公平にして」
「正義は一つやない」
「法を守ってるならよし」
「そう考えてな」
「十星連合に戻ってもそうして治めていこうな」
「そうしてこな、皆で」
綾乃は微笑んで話した、そうしてだった。
十人で先に進んでいった、神霊達との戦の前に今回も宿屋に泊まったがそこの魔王達に仕える岩人の親父が随分親切で。
シェリルは彼にだ、真剣な顔で尋ねた。
「ちょっとええか」
「何でしょうか」
「親父さんええ人って言われへんか」
「よく言って頂いています」
親父は優しい笑顔で答えた。
「有難いことにな」
「そうか、やっぱりな」
「それが何か」
「いや、やっぱり天使さんや悪魔さんでな」
「それで、ですか」
「善悪は決まらん」
こう言うのだった。
「もっと言えば悪魔さんの世界魔界も法があるな」
「はい、殺人や窃盗は許されません」
親父はすぐに答えた。
「詐欺や暴行も」
「他の世界と同じやな」
「この前私の弟のお隣さんが掴まりました」
「何でや」
「暴力で。お子さんに暴力を振っていたので」
「家庭内暴力やな」
「それが明るみになり」
そうしてというのだ。
「それで、です」
「掴まったか」
「警察に。おそらく裁判で有罪になり」
そうなってというのだ。
「よくて執行猶予かと」
「そうなるか」
「はい、普通に」
「魔界も法があってそうした行いは悪やな」
「そうです、生贄もです」
信仰でのそれもというのだ。
「禁止されています」
「実はやな」
「何かと言われていますが」
それでもというのだ。
「実は魔界でもです」
「生贄は禁止されてるな」
「今は」
こう言うのだった。
「残酷で意味がないと」
「残酷かいな」
「はい、無益な血は流してはいけないと」
その様にというのだ。
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