リュカ伝の外伝
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トモダチ100人できるもんかな?
(グランバニア城)
ルディーSIDE
「え~っと……USBってのは……ウルトラ……スーパー……ん~と……ブス……の事……?」
え~~~~~!?
「違う、USBってのはウルトラスーパーバカ……つまりお前の事だマリー!」
「何だと!?」
急に誰かが入ってきてマリーちゃんをディスる。
勿論声の主は直ぐ分かり、リュカ様である事が知れ渡る。
「いやぁ~ルディー、ポスター回収してくれて助かったよ。さすがウルトラスーパー利口だな。お母さん似だろうね。でも祖父さんに似ちゃうとハゲるぞ(笑)」
さすが親子だ……口が悪い。
「き、恐縮です……」
「そんな事より訂正しろ! 私のどこがウルトラスーパーバカだコノヤロー!」
当然の様にマリーちゃんは荒ぶってる。
アイリーンさんとピエッサさんは背筋を伸ばして迎えてる。僕もそうしてる。
「だってお前USBが何の略か分からないで使ってんじゃん」
「じゃぁオッサンは知ってんのかよ!」
「ユニバーサルシリアルバスの略だ。意味までは詳しく知らん! 各単語から推測は出来るだろう」
「結局オッサンも知らねーんじゃん!」
でもリュカ様が言ったように正しい単語が分かったから推測は出来そうだ。
「それにこれは“CC”って名前にした」
「CCって何よ? レモンか?」
何でレモン?
「コンパクトクリスタルの略だ。本当はコンパクトディスクにしたかったんだけど、ディスクじゃないしクリスタルで良いかなって思って……」
なるほど、確かにコンパクト・クリスタルの方が言いやすいかな。
友達に『プリ・ピーの新しいコンパクト・クリスタル聴いた?』みたいな。
「それにしても私に一声あっても良かったんじゃないの!? 私は音楽で仕事をしてるんだから、絡んでも良いはずでしょ!」
「だってお前音痴じゃん」
「音痴じゃねーわ!」
「結構な確率で音程外すじゃん!」
「い、良いんだよ私は! 可愛さを売りにしてる歌姫なんだから」
「だったら尚更お前には教えねーよ!」
「何でよ!?」
「この装置を見ろ! 完全に音楽プレイヤーだ。見た目メインのお前に役に立つ場面はない! 僕だって本当は娘のお前に協力してほしかったさ! だからもっと練習しろって言ってたのに、お前は全然練習しないし、剰え『見た目重視だから歌は良いの!』とか言い訳しやがって……なのに何だ、自分も関わりたかったとか我が儘言いやがって! じゃぁ血反吐吐くほど練習しろよ! お前はいつもいつも言い訳ばかりで……」
「わぁ!! ご、ごめんなさい! もう言いませんから説教はやめて!」
さすがのお父さんも説教を始めてしまい、聞きたくないマリーちゃんは慌てて謝り回避する。
リュカ様もちゃんとお父さんをやってるんだなぁ……
「……ふうっ、まぁいい。ところで何、今から昨日のコンサートの曲を聴くのかな?」
「あ、はい。マリーちゃんが2曲目の『男の美学』を知らないって言うから……」
僕は魔道結晶改めコンパクト・クリスタルをMPにセットしながら答える。
「良いね。僕もまた聴きたいからここで音楽鑑賞をしようか。この世界初の音楽プレイヤーだけど、元の世界の元の時代に持ち込んでも通用する音質だから、僕も鼻が高いんだよ。このプリ・ピーの音楽性も高いし♡」
“元の世界”とか“元の時代”がよく分からないが、リュカ様はMPもプリ・ピーも気に入ってらっしゃる様子だ。
アイリーンさんはリュカ様から褒められて嬉しそうだ。
それを見てるピエッサさんは羨ましそうにしてる。
なんか二人とも可愛いな……そんな失礼な事を考えながら僕はコンパクト・クリスタルを再生した。
・
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「てめー、結局『男の美学』ってアニソンじゃねーか!? ありゃぁ『ルパン三世○テーマ』だぞ!」
「でもそのタイトルだと『“ルパ○三世”って誰?』ってなるじゃん」
なりますね。“三世”と付いているから人名だとは分かりますが……
「ピエッサちゃんに見せてもらってたお前の鼻歌から興した楽譜にもこの曲は無かったから、使ったって問題ないだろう! マリー法は早い者勝ちだぞ」
「わ、私だってウルフに歌詞を見せたんだけど、やっぱりあいつも『“ル○ン三世”って誰?』ってなって……ムカつく!」
「全部他人任せにするから出遅れるんだ(笑)」
「それと! 『残酷な天使のテーゼ』は私の領分でしょ! 盗むんじゃ無いわよ!!」
さっき言われてたのにな。盗んでないって……
「ふざけるな! お前はこの歌を使って僕の愛息子を馬鹿にしただろう! あれは許せん。だから絶対にお前には歌わせたくなかったんだ! あの歌はこの世界ではもうプリ・ピーの歌。つまりアイリーンのちゃんの歌だ」
「何よぉ愛娘が歌った替え歌だって良かったわよぅ!」
「良いわけねーだろ! 僕は一人息子が大事なんだよ。大体領分なんて無い! ちゃんと練習して歌いきれる様になった者からの早い者順だ!」
リュカ様からのティミー殿下への愛を感じる。
「で、でも全部素晴らしい曲でしたよ! 僕は音楽には詳しくないのだけども、それでも感動してしましました」
ほっとくとリュカ様とマリーちゃんが喧嘩をしそうだから話題を音楽に持って行く。
「そうだろ? 一応選曲も考えたんだぜ」
「へー流石ですね。名プロデューサともなるとそこまで考えるんですね」
僕はリュカ様の言葉に、少しおべっかが過ぎるかなと思いながらも答える。
「うん。ほらさぁ……一応会場が城内カフェだろ? やっぱりさぁメイドと軍人が多いんだよね。だからどっちも夢を持って前向きに頑張ってると思ってデビュー曲は『どんなときも。』にしたんだ。何か勇気がわいてくる良い曲だからね」
「良い曲でしたわぁ社長。私ステージで歌ってたから分かりますけど、ピエは感涙を流してました」
言われてピエッサさんの方を見たら恥ずかしそうに照れていた。
可愛いです。
「2曲目の『男の美学』は完全に男性軍人をターゲットにした曲だ。男臭い格好良さ全開の歌だね。まぁあんな格好いい生き方が出来ている男が何人居るものかな?」
「なるほどなぁ皆さん、この曲のような格好いい男を目指して生きるって事ですかん?」
僕には出来そうに無いが、僕の言葉に皆さん苦笑い。
「3曲目の『なごり雪』ですけども、この曲はメイド連中……だけじゃぁなく、上京してきた女性軍人の目からも涙が零れておりましたわ。凄く切なく綺麗な歌ですわ!」
アイリーンさんはこの歌が気に入っているらしく瞳を輝かせて説明してくれた。普段は大人っぽいお姉さんだがこういうときに無邪気さを見せてくれる。
「4曲目の『酒と涙と男と女』は少し今回の選曲中じゃテイストが効かされた感じかな? 大人になると酒が無いとやってられない事もあるんだ……そんな哀愁を歌ってほしかった。勿論完璧にアイリーンちゃんは歌いきってるけどね!」
「分かります。僕はまだお酒を飲みませんが、何だか哀愁みたいなものは感じました! アイリーンさんの歌唱力のおかげだと思います!」
何故か思わず鼻息を荒くして力説してしまった(照)
「やだぁ可愛い! なにこの子ぉ……素直で可愛いんですけど社長!」
「まぁまぁ落ち着いてアイリーンちゃん。そいつの祖父はハゲマンだから……」
うぅ……お祖父様は“ハゲ”てますけどもいい人ですよ。
「んで『残酷な天使のテーゼ』なのね5曲目が!」
大人しくリュカ様の選曲理由などを聞いていたマリーちゃんが、また苛つきながら発言してきた。
もういい加減に諦めれば良いのに。
「何度も言わせんな。あの曲はお前には歌わせない。プリ・ピーの曲になった、この世界では!」
「腹立つぅ~……あんなにノリノリの曲なのにぃ!!!」
あぁ……またマリーちゃんの顔が険悪になってきた。
「そ、そういえば……今回のCCには入ってないですけど、アンコールで歌った6曲目も素晴らしかったと思います、僕は!」
「何? もう一曲あんのか! 何歌ったんだよ!? またアニソンか!?」
「アンコールされるどうか分からなかったから、今回のデビューCCには入れてなかったんだけど、一応練習用として1曲だけCCにパッケージングしてるのがあるよ。僕持ってるから聞いてみたい?」
マリーちゃんが興味を示したのでリュカ様が懐からラベルの無いCCを取り出した。
「あんの!? 聴かせてよ!」
どうやら昨晩のコンサートも色々と準備はしてあったらしくアンコールも予定のうちだった様子だ。
「じゃぁ聴きましょうか。さっきまでのもそうだけど、これらの曲はコンサート前に事前に録音してあるやつだから、ステージ上での臨場感とは違うけど、流石はプリ・ピーだけあって良い出来だぞ!」
リュカ様は自信満々にアンコール分のCCをMPに付け替えると、元のCCを僕に返してくれた。
うん。これは僕の宝物だからね!
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そして奏でられる名曲。
昨晩にコンサートで聴いたときも感動したけど、MPで聴くこの曲も素晴らしい!
あのCC……欲しいぞ!
「『サウダージ』じゃん! こ、こんな良い曲……ずるい! そ、それに悔しいけど上手い!!」
「『サウダージ』? それが曲名ですか?」
聞き慣れない言葉に思わず確認してしまったが、曲名以外には考えられないだろう。リュカ様は頷いて曲名である事を教えてくれる。
「確か“郷愁、憧憬、思慕、切なさ、愛”そんな意味合いがあるポルトガル語だったかな?」
「“ポルトガル語”?」
一つの言葉の意味が解ったら、また別の言葉の意味が解らない。まぁ僕の知らない言語っぽいかな?
「あ、あのリュカ様! この『サウダージ』のCCは何時販売されるんですか!? 僕すっごく欲しいんですけど!」
「何かプリ・ピーの大ファンになったみたいだな(笑) う~ん……取りあえず現在はメンバーもこれ以外の曲を練習中だからね。また5~6曲纏まったら発表するつもりだし、そのときになるんじゃ無いかなぁ?」
「そっかぁ~……待つしか無いですよね」
残念で仕方ない!
ルディーSIDE END
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